【創作大賞2024応募作恋愛小説部門】リスト (8)
8.
<平成二十六年十一月十一日>
電車が鶴岡駅に近づくに連れて、精一の緊張は高まってきた。ホームに滑り込んだ時には、心臓の高鳴りは痛みに近いものになっていた。
「心臓によくないな」
「ん、何か言った?」
「いや何でもない。お前、何だか嬉しそうだな」
「だって久々の遠出ですもの」
「遊びじゃないぞ」
「いいじゃない、少しぐらいうきうきしても」
「子どもみたいなやつだな」
亜希子は意に介する様子もない。
私の手柄よと亜由美は言い張っていたが、今回は平日でかつ遠いと