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映画「詩季織々」

随所の作画が繊細で心を惹きつけ、登場人物たちの心情と見事に重なり、気持ちが揺さぶられる名作です。

あらすじ

陽だまりの朝食
北京で働く青年シャオミンは、ただ漠然と繰り返す日々に自身の心が渇いていくのを感じていた。ある雨の朝の通勤途中、シャオミンはふと故郷・湖南省での日々を思い出すー
祖母と過ごした田舎での暮らし、通学路で感じた恋の気配や学校での出来事…ささやかな事にも真剣に一喜一憂した子供時代の思い出の傍には、いつも温かい、心のこもったビーフンがあった。
しかし都会の北京では、街も人も、そしてビーフンとの距離までも遠く感じてしまう。そんな中、シャオミンの祖母が体調を崩したとの電話が入る。

小さなファッションショー
広州の姉妹、ファッションモデルのイリンと専門学生のルル。幼くして両親を亡くした2人は、共に助け合いながらマンションで一緒に暮らしていた。
モデルとして成功したイリンだが、その人気が旬を過ぎつつある事を感じていく日々。人間関係も悪化し仕事に悩み、恋人とも別れてしまう。うまくいかないイリンはついルルに八つ当たりしてしまい、2人の仲に次第に溝ができていく…
そんなある日、無理を重ねたイリンが仕事中に倒れる。それをきっかけに姉妹はとうとう大喧嘩をしてしまうが…

上海恋
1990年代の上海。石庫門(せきこもん)に住むリモは、幼馴染のシャオユに淡い思いを抱きながら、いつも一緒に過ごしていた。
成長し、高校受験で忙しさが増す中でも、カセットテープを交換し合って2人だけの交流を続けていた。しかし、受験での出来事がきっかけでリモは石庫門から遠くへ出ていき、互いの距離と気持ちは離れていく。
そして現代、社会人になったリモは仕事につまづき、状況を変えようと引っ越しをする。その時、荷物の中に持っているハズの無いあの時のカセットテープを見つけてしまう。

※公式サイトからの引用

「君の名は」や「秒速5センチメートル」の作品で知られるコミックス・ウェーブ・フィルムと中国のアニメ業界をリードするブランドHaolinersがコラボレーションして作った作品です。

中国の会社は知らないですけど、日本の会社については有名作品を多数作っている新海誠さん率いるとこなので知っています。

感想「陽だまりの朝食」

一言で表すなら、綺麗で切なくて優しい話でした。

個人的な見解ですが、この話のメインテーマは食べ物と街並みになるのかなと思います。あらすじにもあるようにビーフン濃いめです。ビーフンよくわからないけど食べてみたくなりました。
あとは街並みですけど、ここが自分たちの生活と妙にマッチして感情移入しやすかったです。勝手なイメージですけど、北京て東京のような感じなのかな?もしくは都市部だと当たり前?仕事に追われ、表面上は明るく振る舞っていても窮屈な感じで息苦しさのある生活…そんな感じです。
当方、私は田舎育ち田舎在住なので都会へは遊びに行ったことしかない程度の知識です。きっと偏りも半端ないでしょう。都会人の方々間違っているようでしたらすいません。

そういう視点では、都会の街並み、人混みの窮屈さがよく描かれていたと思います。さすが、「君の名は」を作ったコミックス・ウェーブ・フィルムですね。絵柄が綺麗で繊細が故にどこか儚さ、寂しさが際立ちます。

ちなみに私は「言の葉の庭」が大好きです。情景に心情を表すのがとても上手だと思います。

陽だまりの朝食を見ているときは言の葉の庭の時のような切なさがあるけど、どこか暖かいそんな話でした。

ただ、言の葉の庭はどちらかというと悲しいお話でしたので、念の為補足しておきますが全体を通していうと温かいお話です。

では、初めに触れた食べ物「ビーフン」の話をします。
こちらは、話の軸なだけあって重要ポジションです。話中にもたくさん出てきました。そのビーフンなんですが、これもとても綺麗な映像なんですよね。綺麗が故に食べ物の思い出がとても美しいものであることを思い出しました。
食べ物は匂いや味はもちろん温度があります。改めて考えると意識する機会は少ないけど、これ懐かしい味だなとかうろ覚えではっきりしないけれど胸が温かくなる味って言うものは皆何かしらあると思います。それを、映像を通して改めて意識させてくれました。

熱く語りましたが、これくらいビーフンの熱量はすごかったです。
一回美味しいのを食べてみたい…

こんな感じで、「陽だまりと朝食」は映像美に惹かれ、感情移入し、最後はほんのりと温かく終えることのできるいいお話でした。

感想「小さなファッションショー」

こちらは、前回の話と比べて前向きで明るいストーリーです。
良くも悪くも割とよく見るアニメみたいな王道って感じです。ネガティブだったりマイナスからポジティブ、プラスへと変わっていく様が王道だぁと感じました。

悪い感じで書きましたけど、別に嫌いってわけではないです。
しいて言えば、普通です…

ファッションモデルがいまいち感情移入しにくいところかなと思いました。
でも、姉妹間でのやりとりはよかったです。姉妹ゆえにぶつかってしまい感情的になる様子や伝えあわなくともお互いを思う様子など姉妹だからこその要素だと思います。

こんな言い方してはいけないとは思いますが、三話あるうちの間に入ることで王道的展開という明るさ強めは気分的にもよかったです。

感想「上海恋」

最終話は青春です。キラキラしていて羨ましいぐらいでした。

ですが、ただキラキラしている綺麗事みたいな話ではないです。色々葛藤があったり、暗い事情があったり所謂、暗の部分もしっかりと描かれています。それゆえに、影あるところに光さす。明るい部分がグッとくるものに仕上がっていました。

幼馴染ってのもいいポイントですよね。わかりやすくて入り込みやすいです。
ちなみに、幼馴染が主人公とその想い人、あと仲の良い男です。この仲の良い男がいいんですよね。場を和ませてくれるし、主人公を助けたりするし。幼馴染の中ではただのモブ的立ち位置なのにめっちゃ良いやつです。

こちらの作品は、新海誠作品で君の名は。天気の子。が好きであれば良いんじゃないでしょうか。個人的には君の名は。天気の子。に少し暗さが入って、より明るさが鮮明になったような印象です。

まとめ

一話目で一気に世界観を確立していて、映像と内容が繊細で引き込まれました。
見る前は一話目で惹かれなければ見るのをやめる予定でしたが、そんなことはなくとてもよかったです。二話目は個人的にそんなに引き込まれる要素はなく淡々と見ていた感じです。最終話は二話目とは打って変わり、幼馴染な要素や暗い部分があり引き込まれました。最終的に明るい終わり方出来たのもよかったです。

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