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「とわの庭」とクロウタドリ

小川糸さんの作品は、動物と植物と匂いと音の描写が心地良くて、図書館の日本語コーナーで見かけると読んでいます。先週末に見つけた「とわの庭」も、借りた夜に読み始めたら、主人公のとわがどうなるのか知りたくて、夜更かしして大急ぎで読み進めてしまいました。

とわは、お母さんと二人で住んでいる盲目の少女です。愛情をたっぷり注いでくれるお母さんと、クロウタドリがさえずる庭のあるお家で、大好きなパンケーキを食べたり、本を読んでもらったりしながら、幸せに暮らしています。でも、ちょっと読み進んでいくうちに、おかしな描写がさりげなく、彼女の目線で説明されていきます。はらはら、どきどき、彼女の苦難に私まで胸が苦しくなっていきました。

後半、とわに大きな転機が訪れます。その道のりの相棒として、盲導犬のジョイが登場します。そして、彼女を支える人たちの力を借りて、時にはお母さんとの思い出をたどりながら、人生の新しい扉を開けていきます。

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目が見えないとわは、匂いや音に敏感です。鳥のさえずりや植物の香りで、季節や時間を知ります。その表現はとても個性的なのですが、的確な比喩で描写されているので、私まで一緒に感じることができます。

このお話では、クロウタドリ(私のハンドルネーム!)が重要な役割を果たします。「あれ、日本にクロウタドリがいたっけ?」と思って、読み終わってから調べたら、ヨーロッパで一般的なクロウタドリとは別の種類がアジア大陸から迷い込むことがあるぐらいで、一般的な存在ではないようです。

ニュージーランドでよく見かけるクロウタドリ、英語の通称、Black Birdは、19世紀に移民たちに連れてこられました。通常は1羽、あるいはつがいで生活し、繁殖期のオスの鳴き声は、とても華やかで、いい音色です。とわの庭を訪れる黒歌鳥合唱団は、さぞかし、美しい歌声を奏でることでしょう。

そして、なんといっても、小川糸さんの作品は、どれも食べ物の描写が素晴らしい。今回は特に、傷心の友人のために、とわが心を込めて作る牛丼が、ほかほかに湯気が出て、半熟の卵がとろりと肉にからまって、なんともおいしそうでした。

結末が知りたくてあわてて読んだので、返却日までにゆっくり、文章を味わいながらもう一度、読み返してみたいと思います。

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これは、我が家の庭にやってきたクロウタドリ。植えたばかりの苗を掘り返して引きちぎったり、食べごろになった果物を先についばんだりする困った存在ですが、ナメクジやカタツムリを食べてくれるガーデニング援軍でもあります。野鳥の寿命は1、2年と、人間から見たら短い一生です。これまで、一体何羽、何代のクロウタドリが私の庭に訪れてくれたのでしょうか。ネットを張ったりして共存のための対策を講じ、水飲み・水浴び場を提供して、この庭でなるべく楽しく、心地良く過ごしてほしいと思っています。




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