【詩】胸の海
この胸にためた涙を
このまま涸らさず
いつか甘い蜜に変わったら
お祝の蜂蜜酒をこしらえましょう
指ですくって
くちびるにそっと
愛をあげましょう
空を引き止めた情熱は
焼き付いた目をこわばらせて
いつか曇ってしまった
風がさらうよりやさしく
腕の中に抱いて
できるだけの透明な愛を
過信せず悲観せず
誰よりも愛をあげる
夢見がちな稚拙な
そんなものより確かな
誰も見た事がない色をあげる
胸の海は今はまだ
小さく寄せては返す波
いつか凪になったら
目を閉じていて
冷めていく終わった愛を
静かに沈めてしまうから
影は焦げ付いて
胸のどこかを軋ませるけど
あなたを透明な愛で包んで