黒うさぎ

詩が好きです。紡いだ言葉たちをそっと放っていこうと思います。拙い言葉の羅列でも誰かが見ていてくれたら。

黒うさぎ

詩が好きです。紡いだ言葉たちをそっと放っていこうと思います。拙い言葉の羅列でも誰かが見ていてくれたら。

最近の記事

  • 固定された記事

はじめまして。黒うさぎです。

はじめまして。黒うさぎです。 note、始めます。 初めての投稿なので、まずはご挨拶。 詩が好きです。 初めて詩を読んだのは小学校の教科書で。 そこから見よう見まねで、自分でも詩のようなものを書き始めました。 昔の詩を掘り起こして そっとこの場に放っていこうと思います。 どこかで誰かが読んでくれたらうれしいです。

    • 【詩】睡蓮とアマガエル

      真夏の暑い日中に お寺の池では睡蓮が咲く 暑くてぼやけた視界に 大きなみどり大きなみどり 無造作な手洗い場の 蛇口をひねって水をだす 指でふさいで睡蓮に水をまく ばらばらばらばらばら 夕立みたいな音がして 睡蓮が水を玉にしてはじく アマガエルが困った顔で となりの葉へゆっくり動く 夏はそこいらじゅう光だらけで どうして何もかもまぶしくするんだろう あなたがまぶしく見えたのも 照り返しの乱反射が 差し出した手の上で 色とりどりだったから 木陰で左をむくと 見たこともな

      • 【詩】ヘッドフォン2

        肝心な言葉抜きで 遠回しな疎通 役柄をきちんと演じきれている? 疑っている のではない それすら介在しない未来を 欲するこの欲の塊 失いたくないもの 失ってしかたないもの きちんと整理して 自分の頭でかんがえて 答えを導き出す時期 傷ついて泣く覚悟も もう少しでできる マフラーで口元を覆う キスを思い出しながら ヘッドフォンのヴォリュームを上げた

        • 【詩】遠くへ

          最たるものの果ては ある詩人の死によって 永遠の謎となったのであった 私の手のひらの生命線 この指紋のゆるやかなカーブ 幾重にもまるで年輪か 甘いにおいのバウムクーヘンのように 死ぬまで変わらぬ文様 刻まれたのはいくつ目の細胞が 何度目の分裂をした時であったか ハロウィーン前夜の 染み付くような夜空の雲 月の明かりで金色の裏打 こめかみが引き攣るような 奇妙な山のような雲 あんなにも、あんなにも、 熱病のように浮かされた名が もうどこにも見当たらない あんなにも、あん

        • 固定された記事

        はじめまして。黒うさぎです。

          【詩】崩壊の魔法

          まぶたの裏に貼りついた 星雲 M35は静かに押し黙って 足元の冷たい石ころ達に 手を伸ばした 星が流れたようにみえたあの空は 満点の星空 還りたいと細胞が 震えながら分裂する 夢の中で落ちた 果実 ついばんだのは 黒いあたしのくちびる てのひらで膨張して 蕩ける液体は 白の 崩壊の魔法 冷たい石ころは 規則正しく 法則に則って 佇むあたしの肢体に ぼこぼこと穴をあける

          【詩】崩壊の魔法

          【詩】暴行

          まるで動物のあたしは ひたすらに高まって 音を立てて あなたを飲み込みたい 終わる冬の夜は 沈丁花が 内側の白を見せびらかして 挑発の芳香 淫らなあなたの 首の付け根 毛皮を剥いだところで 真実はおとなしく なつくはずもないのだから 有無を言わさず 引きちぎってしまえ カリントウによく似た味の 甘く苦い汗を垂らして あたしに乱暴にのしかかって

          【詩】暴行

          【詩】気紛れと従順

          手の内は明かさない、との事 あけすけに見せている素振りはお上手で それ故、またしても まんまと夢見心地 ほくそ笑む 後ろ姿 取り残される私の呆けた顔 馬鹿らしい 目の前に出されて 並べられたごちそうは 鮮やかで香しく それでも 待てというならば仕方ない 従順な犬のように 愛され方を覚えることに必死で ただ濡れた目で 誉められることだけに集中する 上手な愛され方があるならば 上手な愛し方があるならば それを完璧にこなせるならば 愛おしい手がスイッチへ手をかける 小さ

          【詩】気紛れと従順

          【詩】綿雲

          あんなにも やさしい言葉を紡げるのは ふかふかの愛が あるべきところに きちんとおさまって あなたをくるんでいるからです 胸がしめつけられるような 泣きたいほどの幸せを知っている 知っているだけではだめかな

          【詩】綿雲

          【詩】魔法の呪文

          正しく生きようとするほど 脳みそが腐るような気がする そんなばかな 悲しみが耳を後ろへひっぱっていく 呼んでるんだ 嘘のような声で 手ざわりのいいクマと一緒に 毛布にくるんで抱いてくれたらいいのに 光速の毎日と 思うほど進まない秒針と 閉じてほしい時には ちっとも重くならないまぶた 仕方なくアイスコーヒーを作る 記憶を捏造するように 愛も作れたらいいのに 紙芝居が終わるように 嘘が終わったらいいのに 耳に這わせた舌のように はにかんで笑えばいいのに 相対的な社会

          【詩】魔法の呪文

          【詩】水を呼ぶ

          薄型の肺に 詰め込むだけ 詰め込んだのは 薄紫の煙 汚されると思うから 汚染される 口惜しいとぼやくなら 抱けばいいのに 風船のイメージで 怖い程の快楽をもたらしてよ 果てたところで失うのは ミネラルと水分と ほんの少しの体液だけだわ 指やあなたで埋まるだけの 現象を指してるなら 浅はかな戯れ言でしょう? 背骨が震えてよじれると どうしても 甘い水で胸が詰まる 失われた体液のぶんだけ この胸に満ちる甘い水は あなたしか呼ぶことができない

          【詩】水を呼ぶ

          【詩】シャングリラ

          新しい朝を なにげなく迎えて 昨日もその前も すべてなかったことにする 翳りある過去ならば 紙くず同然にまるめて この犬歯で引きちぎる覚悟 噛み砕いて飲み込んで すべてなかったことにする 前を見て 後ろを見て 右を見て 左を見て この右手がつかんでいたもの 結露する未来をふきとって すべてなかったことにする

          【詩】シャングリラ

          【詩】胸の海

          この胸にためた涙を このまま涸らさず いつか甘い蜜に変わったら お祝の蜂蜜酒をこしらえましょう 指ですくって くちびるにそっと 愛をあげましょう 空を引き止めた情熱は 焼き付いた目をこわばらせて いつか曇ってしまった 風がさらうよりやさしく 腕の中に抱いて できるだけの透明な愛を 過信せず悲観せず 誰よりも愛をあげる 夢見がちな稚拙な そんなものより確かな 誰も見た事がない色をあげる 胸の海は今はまだ 小さく寄せては返す波 いつか凪になったら 目を閉じていて 冷

          【詩】胸の海

          【詩】夜のぬるい寓話

          ゆるくステップを踏んで らららと刻めば 長針は短針を追い抜いて 見えてくる世界の果て ころがる想いが ドミソと歌うよ 月はいつのまにオレンジ まるくまるく 膨張するクレーター 紺色の夜風に レファラと歌うよ 雲が加速しながら形を変えて 意味も名前も失っていく かたつむりのおうちの トビラを一緒に叩こうよ

          【詩】夜のぬるい寓話

          【詩】侵食の森

          数え終わってしまったしあわせには なんの興味もないけど はなびらに埋もれていく感じ 陶酔というより めまい 迷宮のようなあなたの仕種に 足元をすくわれる またしても 解けない謎ばかり 砕ける奇跡の音 来年はここも森へと飲み込まれる

          【詩】侵食の森

          【詩】千代田

          実は甘い物好きなあなたと 江戸時代の甘味屋を訪れたい 冷やし甘酒と塩かりんとう 地下水は遙か昔は名水で 地下室の梁には麹菌が住み着いているという ラッキーな電報が 身ぐるみ剥がして 幸運を盗み見る 神田明神はお好き? 酉の市はお好き? 北斎はお好き? ラムネの瓶にあなたを透かしたら 青みがかったあなたが 笑い顔で腕を広げてくれやしないかと そんなことを思う 初夏

          【詩】千代田

          【詩】ガニメデの憂鬱

          冬の白い日曜の幸福 輪郭もなく 包むだけの光 克服というストイックじみた意志 石はとうめいに輝いて とおいむかしから 水晶と呼ばれた 私たちの自由は 思うよりずっと儚い 見た目よりずっと幼い 手触りのいい檻はいらない 立ち向かうのは 風と果て 強くなってと言った あなたこそが 曖昧な逃げ足 そんな人だと思わなかった と 決め付けたりはしないけど 持て余す余白のような幸福を 退屈な不幸せと言って ベッドにころがって 窓から薄青を眺めている さらさらと空の音だけが聞

          【詩】ガニメデの憂鬱