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百合とゾンビ
はじめに
文学フリマ東京38で購入した一冊。
自分も出店していたのですが、前のブースが気になる…気になる…。
そんな心を読まれたのか、撤収作業中に声をかけていただき、「夏休みは時計仕掛け」を購入いただいた。これは! 気になっていた御本を! と思い、自分も購入させていただきました。
内容もさることながら、作者さま自身も気になる一冊です。
作者さまは小説家になろうでも文章をお書きになっているので、気になる方はまずはそちらへ!
あらすじと感想
あらすじ
タイトルの通り、何某かのウィルスのせいでゾンビが蔓延る世界。
そんな世界で生きる一人の女性「百合」が主人公だ。
百合はゾンビに噛まれたが、何故か理性が残っており、ゾンビの蔓延る世界の中、一人孤独に過ごす。
理性はあるものの、ゾンビに噛まれゾンビ化しているのか、ゾンビは百合を追いかけない。
まったりとした終末の中、百合は一人の女性「仁菜」(ニーナかもしれません…)と出会う。
二人はゾンビの蔓延る終末世界でどのように生きるのか。
ジャンルは百合となりますが、そこまで直接的な表現はなく、ライトで読みやすいです。どちらかというと、終末世界の雰囲気、ゾンビに侵された世界、二人の行末。そんなシリアスな物語です。
感想
ここからはネタバレになります。
ゾンビものではあるけれど、銃や剣でバッタバッタゾンビを殺すようなものではなく、しっとりとした終末感。その雰囲気がとても良かったです。
生存者の少ない世界の中、二人は同性だが恋人同士になっていく。
清楚な出立の仁菜だが、結構グイグイ来るところが意外性あって可愛かったです。
達観した雰囲気を持つ百合も格好良くて好き。達観した世界観を持っているからこそ、百合は自分の最後を受け入れられたのかもしれない。
仁菜は百合ほど達観していないが、その感情や行動はとてもリアルだと思う。
百合の最後も、悲痛だ。人間ではなく、人型のゾンビでもなくなる。ワームと呼ばれる、醜い怪物。そして遺体すら残らない死。
二人は小さな希望であるワクチンの存在を知るが、その希望に縋ることなく、死を受け入れる。
なんとも終末らしく、そして物悲しい。
願わくば、彼女らが天国で幸せになることを。
そんな気持ちにさせてくれる物語でした。
世界観に没入し、一気に読んでしまいました。楽しかったです。
また、表紙、本編にも百合と仁菜のイラストがあり、二人のビジュアルが可愛くて良かったです。百合は格好いいし仁菜は可愛い。
二人の絡みのイラストも見たい!
さいごに
自分にも創作意欲が湧いてくる作品って、いい作品だと思うのです。はい、ゾンビもの書きたくなりました(笑)
終末って凄く特殊だけれど魅力的な世界だと思っていて、いつか書きたいと思っていたのですが、ゾンビものって確かに終末感あるなぁと。
アメリカ映画のゾンビものだと、大体めっちゃバトルになるのであんまりしっとりとした雰囲気は想像できませんでした。
ちなみに、自分はゾンビもの好きでして、映画とか結構観ます。一時期ゾンビ分類とか調べてたなぁ。
和式?ゾンビだと、有名どころは小野不由美さんの屍鬼ですね。屍鬼も好きです。小説が。漫画は、個人的には微妙でした。
文フリは色々な出会いがあって良いですね!
素敵な物語でした!