「話したい」と言えたのに泣いていた
「バーコードハゲって、
本当にバーコード打てるんよ~」
この電話越しの相手は
私が歯を食いしばって
ぼろぼろと泣いているなんて夢にも思わないだろう。
豆知識を披露し続ける相手に
うんうん、と顔を歪ませながら
相槌をうつ。
めずらしく2回連続で電話をしていた。
どうしてもどうしても、その人と話がしたかったから。
「電話どしたん」
「すこし話したい」
返事を待たずして
「い」の部分でドッと涙が溢れた。
話したいことなど何もない。
ただただ人と繋がりたかった。
電話でもいい。
この漠然とした寂しさを
薄れさせてほしかった。
ごめんね
わたし、まだあなたの前では泣けない。
でも、ありがとう。
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