「敵意帰属バイアス」について
●敵意帰属バイアスって何?
敵意帰属バイアスとは、
認知バイアスの一種です。
敵意帰属バイアスとは、相手の言動や行動が
「悪意」や「敵意」によるものだと認識してしまう
心理的傾向のことを言います。
敵意帰属バイアスが強いと、
・話をしているだけなのに否定されたように感じる
・質問をされただけなのに嫌味を言われたように感じる
・褒められたはずなのに嫌味や皮肉を言われたように感じる
など、上記のような状態に陥りやすくなってしまいます。
心理学において、帰属とは、出来事や他人の行動や
自分の行動の原因を説明する心的過程のこと、
すなわち誰かもしくは何かのせいにすることであり
敵意に帰属させることから
敵意帰属バイアスと呼ばれます。
●敵意帰属バイアスに陥る原因
敵意帰属バイアスの原因は、認知の歪みによるもの。
認知とは、物事の考え方や捉え方のことで
これが歪んでいる状態とは
「思い込みに縛られている」状態のことです。
敵意帰属バイアスは、認知の歪みによって
実際にはない敵意を感じ取ってしまう状態のことを言います。
被害妄想も
敵意帰属バイアスの一種と言ってもいいかもしれません。
敵意帰属バイアスにとらわれやすい人の特徴として
・自分に自信がない
・自己肯定感が低い
・経験が浅い
・視野が狭い
などが挙げられます。
まとめると、
「弱い自分を守るために攻撃的になっている」
状態になっているといえます。
ただし、「思い込みに縛られている人が悪い」という
話ではないようです。
認知が歪む原因の一つとして
その人が育ってきた環境だったり
これまで関わってきた人達など様々なものがあります。
だからこそ、「誰かのせい」という考えを持つのではなく
「これこそが人間の本質」だと捉えて対処法を考えていくことが
とても大切になってきます。
●敵意帰属バイアスの対処法
ここでは、敵意帰属バイアスへの対処法を
大きく2つのパターンでまとめていきます。
・自分が敵意帰属バイアスに陥ってるパターン
・他人が敵意帰属バイアスに陥ってるパターン
①自分が敵意帰属バイアスに陥ってるパターンの対処法
●「怒り」の感情を切り離す
敵意帰属バイアスに陥っているときは
その人は「感情的に反論している」ように見えています。
そこで考えられる対処法は、
感情を切り離すということです。
特に敵意帰属バイアスに陥りやすい感情である
怒りの感情を切り離す意識を持つことです。
誰かの言動に対して「怒り」を感じたときは
反論をする前に、「怒りを感じている」という
事実に意識を集中させること。
それだけでも、怒りの感情を和らげることができます。
そうして、自分の「怒り」の感情と
相手の言動の本意を切り離して考えると
冷静な判断ができるようになるはずです。
●自分の捉え方が間違っているのではないかという前提で考えてみる
認知が歪んでいると言われても、実際にどの認知が
どのように歪んでいるのか判断するのは難しいです。
自分自身で、自分の認知の歪みをピンポイントで
見つけ出すのは不可能です。
しかし、すべての認知に対して、
「本当に正しいのかどうかを考える」ことは
できると思います。
あらゆる認知に対して、「それで合っているのか?」と
考えることによって、怒りの感情を切り離すきっかけにも
なりますし、客観的な判断ができるようになるはずです。
②他人が敵意帰属バイアスに陥ってるパターンの対処法
●説明(説得)しようとしない
他人の敵意帰属バイアスに対しての
もっともシンプルな対応は説明(説得)しようとしないことです。
敵意帰属バイアスは思い込みであり誤解ではないので
それを説明(説得)するということは、
相手の考え方を変えさせるのに等しいということになります。
相手の考え方を根本から変えるということは
とても大きなエネルギーが必要となってきます。
なので余程の覚悟がない限りは
「この人はいま敵意帰属バイアスに捉われているな」
と感じた時点で、話をやめるのもひとつの手段です。
●関わる頻度を減らしていく
敵意帰属バイアスを簡単になくすことは
不可能に近いです。
なので、敵意帰属バイアスの強い人と関わる頻度を
減らしていくことが解決策となりうる場合もあります。
●まとめ
自分の身の周りにいる人で敵意帰属バイアスに
捉われている人がいるという人は多いと思います。
(私自身の周りにも思い当たる人がいます)
また、自分自身が気づかぬうちに
敵意帰属バイアスに捉われている場合もあります。
敵意帰属バイアスに捉われている人は
本人は無自覚なことが多いとされており
それが原因で、距離を置かれてしまう原因と
なることもあります。
敵意帰属バイアスは誰でも捉われてしまう
可能性がありますので、良好な人間関係を
保つことができるよう、常に自分も敵意帰属バイアスに
捉われているのではないかということを
考えて過ごしていくことが大切です。
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