短歌 自撰(五月〜六月)
延びすぎたアイビーを刈る捨てた枝
拾う矛盾を一人笑いつ
新しいアプリ血流心拍数
見えない愛の見える化いつか
影ひとつ持ち歩く道石畳
明暗ゆるく振り向く犬の
古葉書かたむく文字の零れ落つ
置き去りにした友情ひとつ
竹箒シャラシャラ道の夏落ち葉
過去現在の絡まりを掃く
蜻蛉よその透明な翅のよな
ころも欲しくてシアー纏うよ
ドビュッシー聴く土曜日の朝トマト
薄くスライス水紋みたいだ
パン袋ぱんと叩いて開ける子の
得意気パンはペチャンコだけど
花の椅子二人の世界撮すらし
瞳に映る瞳こそ花
“東京は夜よ”案内され歩く
ネオンと風の夏の旅なる
白百合の白きが舞えり波打てり
バレエ組曲始まるように
街角の梢を渡るヴァイオリン
華やげる音に風は震える
生きること迷路のようで地下鉄の
出口探すよ息がしたくて