PdMが忙殺されないために。プロダクトオプス・プロダクトオペレーション(Product Operations)について知りたい。
一言で
PdMが本来のプロダクトマネージャーの仕事に集中してさらに価値を発揮するために色々やるロールのことみたい。
自己紹介
B2B SaaSでプロダクトマネージャーをやってます。
きっかけ
著名なPodcastやニュースレターを見ていると「Product Ops」「Product Operations Manager」などと出てくることが増えた。
が、日本語で調べてもあんまり情報は出てこない。
あと、数年来憧れてきたプロダクトマネージャーを自分でやってみてマジでやることが幅広くて驚いた。そこをカバーするってこと?興味あるんですけど!と思って。
プロダクトオプスとは何か
プロダクトマネージャーが本来的にやるべき仕事をできるように”オペレーション周り”を効率化する役割のことっぽい。
多くの会社が擁立しているロールではあるようだが、サービスや会社のステージによってもカバーする範囲は異なるよう。
より詳しい内容、定義という意味では2つのソースを挙げておきたい。
若干異なるが、「プロダクトマネージャーが本来的にやるべき仕事をできるように”オペレーション周り”を効率化する」という意味では一緒。
Melissa Perri and Denise Tillesが語るプロダクトオプス
最近本を出版した2人。未読だが、Podcastに出演して内容について話していた。
Lenny's Podcast様様である。
基本的には役割が増えてしまうことによって、カバーする範囲が重複することはなく、プロダクトマネージャーが本来やるべき業務に集中できるよう、業務を巻き取ったり効率化するのがプロダクトオプスの役割。
「どういった領域でプロダクトオプスが貢献するのか」について著者2名は以下の3本柱としている。
ビジネス・データのインサイト
カスタマー・マーケットのインサイト
プロセスの効率化
上記では曖昧模糊としてわからないが、具体的な業務は以下の内容が挙げられていた。エンタープライズなのかスタートアップなのか、プロダクトのフェーズはどこかによって必要な職能も異なってくるという。
・CPO、VPoPらが複数領域をまたがってマネジメントできるようにプロセスの整備やテンプレートの作成
・リサーチ業務効率化のためのツール開発
・PdMが効果的な意思決定をできるためのデータによるインサイトの提供
等々
Pendo社が語るプロダクトオプス
ユーザーの利用状況を明らかにする分析プラットフォームを提供するPendo。プロダクトオプスを積極的に活用しているようでウェブサイトに簡潔にまとまっている。
プロダクトオプスがやることとして以下と定義している。
Melissa PerriとDenise Tillesの三本柱と大きくことなるのは戦略と実験の2点?「カスタマー・マーケットのインサイト」の詳細とも取れる。実際に意思決定をするのはプロダクトオプスではなく、整えた情報を提供するところまでがプロダクトオプスの業務という点では同じ。
プロダクトオプスとは何でないか
プロダクトマネージャーの仕事はプロダクトオプスの仕事ではない。
Marty Cagenによると
INSPIERDの著者Marty CaganはPodcastに出演した中でプロダクトを冠するロール、プロダクトに関連するロールが増えていることに警鐘を鳴らしている。特に新しい概念だからか、プロダクトオプスは名指しで言及しており、プロダクトマネージャーの核となる業務は渡してはならないと話す。
肝心のプロダクトマネージャーの仕事と、渡してはならないことは以下としている。
プロダクトマネージャーの仕事
価値があって、使いやすくて、実現可能で、持続可能な(valuable, usable, feasible, viable)なソリューションを作ること。
プロダクトマネージャーから他者へ渡すべきではないこと
ユーザーとカスタマーへの直接的なアクセス
エンジニアへの直接的なアクセス
ステークホルダーへの直接的なアクセス
ユーザーの課題を理解し、課題をいかに解決するかを意思決定し、デリバリーしていくためのプロセスはプロダクトマネージャーが依然として責任持って取り組むということなのだろう。
新しくロールとして擁立する場合にはそれぞれの責任を明確にしておかないと逆に効率が落ちそうではある。
各社の事例
Rippling
コンパウンドスタートアップで有名なRippling社。複雑に絡み合うであろう複数のプロダクト群をゴリゴリ開発していれば考えないといけないことも多そう。
Rippling社のオープンになっているポジションは見つからなかったが、過去の求人ぽいものを見つけた
データの活用、社内のステークホルダーマネジメントがメインの業務になっていそう。PdMの業務にするとやりきれない部分も専任を置くことで蔑ろにならず、サービスの核となるバリューにつながりそ。
Pendo
前述のPendo社についてはChristine ItwaruがPodcastに出演して語っている
組織構造とか、ロールを擁立するきっかけについて語っている。
セキュリティ関連のプロダクトオプスアナリストの求人がオープンになっている。
https://www.google.com/about/careers/applications/jobs/results/80582988758164166-product-operations-analyst-privacy-safety-and-security
タイトルにAnalystとある通り、プロダクトオプスのカバー範囲のうちの分析を中心に扱うよう。データを扱える状態にすることや、ファイナンス・製品のデータ等、分析のことならかなり幅広く対応しそう。
プロダクトオプスにフィットしやすい人材として戦略コンサルが挙げられることが多いが、このポジションについてはより技術的な素養も求められそうな雰囲気。
前述したように会社やサービスのフェーズによって求められるものは異なるが、Googleほど大きくなっているとサービス毎、職能ごとに尖った人材をプロダクトオプスとして配置していそう。
もっと知りたいこと
よくわからないこともまだまだあるなあ。
日本の会社ですでに取り組んでいる事例があれば聞いてみたい。
・各専門チームとの棲み分け
→アナリティクスチームやリサーチチームを構えている場合の棲み分けが絶妙に難しそう。プロセスを効率化するにおいては、プロダクトオプスはPMとだけ仕事するわけでもなく各専門チームともやり取りが発生しそう。
・キャリアパス
→PMの登竜門的な役割もあるのか?コンサルタントから転職してくる事例が多いようだが、プロダクトマネージャーへいきなりなるのではなく、プロダクトサイドの仕事へのファーストステップにもなりそう。
・toBtoCとの差異
→toCではデータ分析、toBではドメインのキャッチアップがプロダクトマネージャー、特に新任のプロダクトマネージャーにとっては大変そうなので、それぞれを厚くプロダクトオプスが持ったりするのだろうか。ドメインナレッジの組織知化とかは業務の範囲に書かれていないけど効果発揮しそうだ。
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