見出し画像

『「複雑系」入門 カオス、フラクタルから生命の謎まで』金重明(2023・ブルーバックス/講談社)

複雑系ってよく聞くけど、アレなんだろう?
春から工学部に通う長女。入学前課題の一つ「理系本1冊選んで要約したまえ」を横から眺めさせていただく。

少し前に橋爪先生の構造主義入門を読んだ頃から興味津々。自然科学の分野でも数学や物理学で利用される方法論が応用され、皆仲良く足並みそろえて発展してきた・・・・みたいなコトが書いてあったよーな気がする。

↓ こちらは娘のレポート。母にも読ませてネ。
ついでに貼っつけとこう。忘れるから。


第1章 近代のパラダイム
人類黎明期における宗教と科学のはじまりは世界を説明しようとする試みであったが、両者の間にはまだ区別がなく混然一体としていた。18世紀に科学革命が起こり科学は神を必要としなくなる(近代のはじまり)。1930年代、武谷三男が「現象論」「実体論」「本質論」という物理学発展の「三段階論」を提唱。現象を各要素に分解し攪乱要素を取り除きより純粋な形で観察しその本質を抉り出そうというこの方法論は「還元論」と呼ばれるが、著者はこれを「近代のパラダイム」と呼ぶこととする。

第2章 カオス
「バタフライ効果(初期条件の微細な変化が結果に大きな差をもたらす現象)」を引き起こす力学系が「カオス」と名づけられた。
近代のパラダイムによる世界観はいわば時計仕掛けの世界だった。生物も、社会も、宇宙はニュートンの法則に従って永遠に整然と運動し続け、それらが突拍子もない運動をしたとしてもそう思うのは人類がまだその法則を知らないからでありその本質を見極めれば全てを理解し予測することができると考えられていた。が、カオスの発見によりそれが崩れる。
バタフライ効果は近代のパラダイムの牙城を破る第一の矢であった。

第3章 フラクタル
部分が全体と相似になっている図形を「フラクタル」という。フラクタルとは「整数ではない次元を持つ図形」。自然界の中におびただしい数のフラクタルをみつけることができる(雲、ブロッコリー、言語、肺胞、脳など)。フラクタルは近代のパラダイムを射る第二の矢。近代のパラダイムではいくら拡大しても複雑さが完璧に維持されるフラクタルを解明することはできないが、それでも近代のパラダイムの本質は健在である。

第4章 ライフゲーム
コンウェイが考案した「ライフゲーム」は極めて単純な規則で作られた決定論的な世界である。自己再生が可能でそのパターンは自分自身よりも複雑なパターンを生成することも可能。そこには生命とも言いうる自己再生パターンが生息している。

第5章 カオスの縁
「世界の複雑さの下には潜在的な秩序構造が潜んでいる」。今までの科学が見落としていたものをカオス理論が暴きだした。複雑系の理論は21世紀の科学。
「カオスの縁」で知られるラングトンが提唱した人工生命は、自己組織化、創発のおびただしいモデルをコンピュータ上で実現した。それらのひとつひとつが複雑系に大きく寄与していった。

第6章 生命
複雑系の科学が目指すものは人類最大の謎「生命」。そしてその生命がつくり出した社会、歴史、経済である。
近代のパラダイムはエルゴード的宇宙で大成功を収めた。ニュートンの運動方式、アインシュタインの相対性理論、ボーアの量子力学はこの宇宙のほとんどすべてを解明したと思われたが、それによって複雑系を解明することはできない。複雑系の科学は、ニュートン、アインシュタイン、ボーアを超えていく。複雑系の科学はまだ始まったばかり。

第7章 経済・歴史・社会
経済、歴史、社会もまた複雑系である。


面白かったがいかんせんこれを理解できるよーな知能が足りない。アタマよく生まれてこれた人って人生楽しいだろうな~~。羨ましい限りである!


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集