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「知っておきたいあの話vol.11」を終えて〜中国の医療制度と製薬業界の基本のキ〜

隣のアノ人ってどんな仕事をしているの?という素朴な疑問から始まったこの企画。今回で無事11回目の開催も終えることができました。20回に向けての一歩を歩み始めました。

今回は増席を2度し、全て満席となりました。本当にありがたいです!
参加して下さって皆様も本当にありがとうございます。

<登壇者のご紹介>
ジャスミンさんは、難病担当の自治体行政保健師→外資系CRO台湾オフィス勤務→日系米国バイオテック企業APAC市場担当BD/国立台湾大学GMBA在籍というキャリアを歩んで来られています。メディア「中華製薬なび」を運営もされ、日英中を駆使し、中国市場での生の声を届けられています。

今回のイベント概要は以下のイベントサイトに詳しくありますので、ご覧になって貰えると嬉しいです!

前書き

中国についてを知ることには正直大きなハードルがあるのを身を持って知っているので、今回のように全体像を知る機会というのは本当に有難い機会だなぁと再確認しました。

今回もTwitter経由で知り合ったジャスミンさんとWebで話す機会があり、それを機に今回の登壇依頼をしました。あるあるですが、直接お会いしたことはありませんが、発表を引き受けてくれました。ありがたいです。
下のTweetが登壇が決まった瞬間を捉えたTweetになります。

今回の私の学び

医療制度についての話ももちろん勉強になったのですが、中国における現状の医薬品開発~上市関連の話題が仕事柄非常に勉強になりました。とくに、承認されて上市するまでにある過酷な薬価交渉の現状を考えると各国の製薬企業はかなりご苦労されているのだろうと想像することができました。中国に進出している企業は、将来のポテンシャルに賭けているのが現状なのだろうと思います。適応症や薬価がフィットすれば、大きな市場として捉えることは可能だと感じましたが、政府の対応は予測が難しいので慎重な判断と粘り強い働きかけが本当に大切なんでしょうね。ご担当されている方のご苦労が垣間見える会でした。

黒坂のイベントメモ

当日は34名の方が実際に参加して頂きました。本当にありがとうございました。どのような業種からご参加頂いたかと言いますと、以下のような感じになっています。

参加業種アンケート結果(Slidoでの集計)

今回はIntroductionを含む6点についてお話がありました。

個人的にとても興味深い内容についてピックアップしてメモします。

医療制度については、全く知らなかったので勉強になりました。人口14億人を誇る中国の95%が加入していると聞けばかなりのボリューム感を感じずにはいられません…
そして他のスライドで、中国の医療の質が世界平均指数の60.8を超えて80に迫る勢いになって来ていると聞いて、中国にいる友人たちが何かあっても大丈夫だなと安心しました。

中国には保険償還できる医薬品リストがあります。正式には「国家基本医療保険、労働災害保険、出産保険医薬品目録(国家医療保険医薬品リスト)」と言うそうで、このリストに載ることで薬価償還されることになります。

で、このスライドが今回衝撃を参加者に与えたと思います。なにせ、スピンラザの薬価1/20になってるんですもの…

現状中国の医薬品市場の薬40%はジェネリック/バイオシミラーといことですが、ベイジーンなどの新薬企業も出てきているというのが現状のようです。

そして中国で医薬品開発をする場合は、中国に独自の会社を作るとかライセンスアウト、共同研究にはリスクがあるとういうのが浮き彫りになりました。なので、塩野義、エーザイ、武田などは現地企業と連携もしくはJVを設立するような動きをしています。

それもこれも外国企業への投資や輸出入制限があるためのようです。この点は中国での臨床試験においても影響がある部分のようです。

薬価交渉のタフさや企業活動の制限を考えるとビジネスとして続行するのはとても大変な国なのだなというのが分かりました。

講演中の質問内容(抜粋)

  • 中国ではプログラム医療機器のような、治療用アプリの薬価収載は進んでいるんでしょうか?

  • 国家医療保険医薬品リスト外の医薬品の価格は、製薬企業が自由に決定できるのでしょうか?

  • 薬価がかなり下がるのであれば中国では売らない、という選択肢もあると思うのですが、そういう事例は発生しているのでしょうか?

  • 承認後、薬価収載、上市までの期間が大分短縮されてきていると言われていましたが、平均どの位かかるのでしょうか?

  • 中国外の企業が、中国における事業開発を考える際に、特許や再審査期間(8−10年間)の考え方・取り扱いは、欧米先進国と同様と考えて良いのでしょうか?

  • 輸出入規制に関して、中国外で製造された医薬品が承認された場合に、何らかの規制(国家医療保険医薬品リストに収載されない、など)があるのでしょうか?

  • 薬価の観点で中国産、が優遇されることはありますか?

  • 承認申請という観点で、中国の制度は整備されているのでしょうか?

  • 医師のレベルは、欧米や日本と同じくらいですか?

参加者の方へのアンケートでのご回答内容(抜粋)

  • とても勉強になりました!中国の承認申請は中々厳しいことは、現会社でも肌で感じでいましたが、今日の話で更に理解できました。

  • 中国の医療制度や医薬品ビジネスについては知りたいと思いつつ調べることが出来ていなかったので、大変ありがたかった。医薬品リストへの収載・薬価については非常に参考になった。

  • 中国の市場規模に抱いていた漠然とした期待感を引き締められました。中国の医薬品市場の情勢が広くまとめられており、非常に勉強になりました。

  • 普段得られない視点と知識が得られて大変満足しました。

  • とても勉強になるとともに、中国へ進出する難しさを感じました


ジャスミンさん、ご登壇ありがとうございました!

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黒坂宗久(黒坂図書館 館長)
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