「聞こえる」と「聴く」の違いで脳は変化する ‐パスバンド理論‐
”パスバンド”
という用語がある。
または”通過帯域”と言って
人間が聴きとることのできる音の領域を示します。
オーディオ業界でも使われる用語。
人間が聴きとれる周波数は、
20~20,000Hz
と言われています。
すべての人がこの周波数帯を聴きとれるわけではなく、
成長過程によって聴きとれる領域が変わってきます。
その周波数帯、
”パスバンド”は、3歳までに決るという学術もあります。
僕らの生活の中で例を挙げると、
「外国語が聞き取れない」
「歌がうまく歌えない」
「話し声が小さい」
「人の話を覚えられない」
「曲の中で楽器を聞き分けられない」
などの原因に
”パスバンド”が関係していると言われています。
そのパスバンド理論を唱えたのが、
フランスの耳鼻咽喉科医の”フランス アルフレッド・トマティス”
という人物。
彼が言うには、
人間の「きく」という動作には2パターンあり、
「聞く」と「聴く」があると。
「相手の話を聞いているだけ」
「一生懸命に話を聴く」
この2つが「聞く」と「聴く」違いで、
英語でいうと「hear」と「listen to」で区別するもの。
視覚でいうと、
「見えているだけ」=「see」
「しっかり見る」=「look at」
といったように
「聴く」と「見る」には、
しっかりとした意思と意欲が込められている。
人は、「見たい」や「聴きたい」といったものがあれば、
目の焦点を合わせ、
自然と耳を傾けるのです。
そういった意識の差で、
脳に届く情報量は変わってくるのです。
そこで冒頭に述べた”パスバンド”が関係します。
視覚については比較例で述べましたが、
「聴く」という意思を持つことで、
脳に届く”周波数帯”は変化してくると
トマティス博士は言います。
子供は社会からの洗脳がまだ弱く、
物事に対するフィルターが薄いことで
好奇心が沸き上がり、
「聴きたい」「見たい」という意思のもと、
沢山の情報を素直にキャッチできると言われています。
そして、
”パスバンド”は、3歳までの
「聴きたい」「見たい」
という意欲による吸収量で決まると言われています。
聴覚と発生の三原理
彼は”聴覚と発生の三原理”という学術を
次のように唱えています。
第1法則
「人間の声には、耳で聞いたものしか含まれない」
これは、1957年3月にフランス科学アカデミーで「トマティス効果」として、同年6月にパリ国立医学アカデミーで「聴覚を起源とする発声の変化と生理学的臨床的適用例」として報告されています。
第2法則
「認識していなかった周波数を正しく聴きとれるようになると、その新しい周波数は発声の際、無意識的、瞬発的に声で再現される」
1957年6月のパリ国立医学アカデミーの報告の中で、この第2法則を「トマティス効果の生理学的、生理病理学的帰結」としています。
第3法則
「聴覚刺激を一定の期間与えると、残留現象により、本人の聴きとりに関する姿勢が変わり、結果的に発声が変わる」
耳の中で聴こえた音が、唇を動かし、口を横に引っ張る力を制御して発声 に影響を与える。これが「残留の法則」といわれています。
「聞こえる」ではなく、
「聴く」という意思をもっていれば、
自然と脳に周波数が届きトレーニング次第で、
”パスバンド”は広げられると
トマティスは言います。
つまり、
「3歳までに聴きとれる周波数帯が決まる」
というのは意思、意欲という
好奇心の差なのです。
大人になるにつれて知っている情報が多くなり、
無意識に新しい周波数を
古い周波数で補ってしまうのです。
別の記事、
はじめましての” パンチ力 ” ‐ 第一印象 ‐でも述べたもので
”相手に好意を持つために、妄想をする”
ということを実践できれば、
コミュニケーションの場でも
「ただ聞こえている」から「しっかり聴く」
という好奇心に変わり、
脳でキャッチできる情報量が増えて
新しい感覚や人間関係を
ゲットできる機会に変わるのではないでしょうか。
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