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【読書メモ・要約】新・リーダーのための教養講座(佐藤優)【#11】
こういう大学生に向かって講義している風の書籍を読むと、大学生の時にもっと勉強しておけばよかったなと後悔するばかりです。留年はしなかったので、当時は当時なりに、ある程度はしていたと思うのですが、今から考えると遊んでばっかりだったなと反省しきりです。
こういうことを考えるのは歳をとった証拠です。
理系の部分は今の専門とも重なるのでよく分かったのですが、前半の世界史と外交のところが全く身に付いていません。過去にも佐藤さんの本は読んでいるのですが、読み流すことはできても、年号や名称を暗記していないのがはっきり分かりました。
感想はここまでで、これ以降は前半のメモ書きです。ディベートの部分も参考になりますし、後半の理系の部分はクリスパー・キャス9やシンギュラリティが出てきて面白いです。本書をお読みください。
エリック・ボブズボウムによる意味の上での19世紀は、1789年(フランス革命)から1914年(第一次世界大戦勃発)まで。20世紀は、ヒトラーがポーランドに侵攻した1939年(第二次世界大戦勃発)から1991年(ソ連崩壊)まで。第一次世界大戦と第二次世界大戦は分けられないという考え方があり「20世紀の31年戦争」と言われる。日本への原爆投下は1945年、広島がウラン型、長崎がプルトニウム型。
1945年8月15日は終戦の日だが、国際法的にはポツダム宣言を受諾した8月14日が重要。連合国との停戦が成立したのは9月2日、ミズーリ号にて降伏文書に調印して、停戦(戦争状態は持続)になった。1951年9月に締結されたサンフランシスコ平和条約が、1952年4月28日に発効することで戦争状態が終了し独立が回復した。
ウェストファリア条約、1648年に締結された30年戦争の講和条約で、主権国家という概念ができてヨーロッパの秩序が形成された。
1989年、ベルリンの壁崩壊(冷戦の終了)と昭和が平成になった年。
1991年12月25日、ソ連崩壊
1951年サンフランシスコ平和条約にて、吉田全権の受諾演説の中に3つのポイントがあった。
1. 千島列島と南樺太は、日本が侵略によって奪取した領土ではなく、合法的に日本領となった
2. 千島列島は、南千島と北千島に分かれ、南千島は国後島と択捉島。北千島と南千島が日本領になった経緯は異なる
3. 歯舞群島と色丹島は、北海道の一部を構成する付属諸島である
スターリン、グロムイコはサンフランシスコ平和条約に署名しなかった。
1992年3月、コズィレフ外務大臣の極秘提案。
1. 56年宣言で引渡しが決まっている歯舞・色丹二島についての引渡し交渉をまず始める
2. 合意を得たら、法的に二島が日本に引き渡される協定を締結する
3. これにならった形で、国後・択捉についての交渉を行う
4. 合意したら、四島の問題を解決する平和条約を結ぶ。
日本の交渉が失敗する原因は、相手が譲歩した善意を「弱さ」と見て、居丈高にほんの少しハードルを上げてしまう。極秘提案の情報に対して、四島一括とハードルを上げたために交渉が決裂し、エリツィンは訪日をドタキャンする事態になった。
1993年10月、エリツィンが来日し細川護煕総理との間で「東京宣言」が署名された。領土問題を、北方四島の名前を挙げてその帰属を確認し、領土問題解決のための交渉指針を示すという内容だった。
1997年11月、橋本龍太郎総理とエリツィンの間で、東京宣言に基づき、2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすという「クラスノヤルスク合意」が結ばれた。
1998年4月にエリツィンが来日、択捉島とその北にある得撫島の間で国境線を引く。あとは現状のままで良いという「川奈提案」が日本側から出された。
2001年3月、森喜朗総理とプーチン大統領の間で「イルクーツク声明」が出された。1956年の日ソ共同宣言こそが交渉のプロセスの出発点を設定した法的文書であることと、東京宣言に基づいて四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結することの両方を確認した。
2014年、ウクライナが内戦状態になり、ロシアがクリミアを併合した。
2016年12月、プーチンが来日し安倍晋三総理と2枚の合意ペーパーを出した。1つは北方領土の元住民がもっと頻繁に墓参できる新しいメカニズムを作る。もう一つは、新しい共同経済活動。
外務省国際法局の立場としては、四島は不法占拠なので国民に対しては北方領土に行かないでくださいとなっている。民間協定として、昆布漁、ビザなし交流、墓参、四島周辺漁業協定、人道支援、自由訪問がある。
51対49。外交官は、51%譲ったというくらいの自己意識を持っていないと、実際には8割、9割要求していることになる。相手より多く譲るという心構えを持っていてやっと五分五分になる。
終わり
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