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【読書メモ】「やりがいのある仕事」という幻想(森博嗣)【#4】

小説ではなく、エッセイです。この新書がちょうど10冊目になるということですが、いつもの森さんのごとく、だからと言って特に意気込みはないというところから始まります。

第1章の仕事への大いなる勘違いと第2章の自分に合った仕事はどこにある?を読めば森さんが言いたいことの全てが分かります。あとは付録のようなものです。特に2章については、僕もほぼ同じ意見を持っていたので、うなずきながら読みました。

第4章ではQ&Aが続きます。僕のような理系からすると当たり前の考え方なのですが、きっとドライで冷たいように感じる人が多いんだろうなと思いながら読んでいました。他のエッセイにも、自分(森博嗣)はよく冷たいと思われると書いてあったので。そしたら、あとがきに絶妙な文章が載っていて、さもありなんと思いました。

最後に少し長いですが引用しておきます。

こんな突き放したようなことをあっさり書いてしまうから、「難しい人間だ」とか「冷たい人間だ」と思われているようだ。
「難しい」というのは、よくわからない。わかりやすく書いているつもりだからだ。上手ばかり言って、飾った言葉で褒めそやして、そのくせ本当のことをなかなか正直に語らない人が多い。そういう人の方が僕は「難しい」と思う。
それから、「冷たい」というのは、まあ、そのとおりかもしれない。どうしてかというと、温かいことに興味がないからだ。温かい言葉とか、温かい態度とか、そういうものがはっきりいって嫌いである。面倒くさいと思う。「ぬくもり」なんて言葉も胡散臭い。そもそも「温かさ」というのは、人にかけるものではなくて、自分で感じるものだろう。たとえば、子供が無邪気に遊んでいたり、犬が走り回っている様子を見ると、心が温まる。しかし、子供も犬も、温かい態度を取っているわけではない。見ている者が、自分で自分の心を温めるのだ。したがって、僕が冷たいと感じる人は、自分の心が冷たいということに気づいただけである。

おわり


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クロネコ@太極拳から学ぶ会
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