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【映画メモ】レベル・リッジ【#68】
解説は映画.comさんより
「ブルー・リベンジ」「グリーンルーム」のジェレミー・ソルニエが監督・脚本を手がけ、小さな田舎町にはびこる腐敗に立ち向かう元海兵隊員の戦いを描いたサスペンスアクション。
テリー・リッチモンドは従弟の保釈を申請するため田舎町シェルビー・スプリングスを訪れるが、路上で警官から因縁をつけられ、保釈金として用意していた現金を不当に押収されてしまう。従弟はギャングが起こした事件の証人となったために報復される可能性が高く、刑務所へ移送される前に保釈させる必要があった。テリーは裁判所職員サマーの協力を得て、警察署長バーン率いる悪徳警官たちに立ち向かうことを決意するが……。
「オールド」のアーロン・ピエールがテリー役で主演を務め、「ソウル・サーファー」のアナソフィア・ロブが裁判所職員サマー、「ジャンゴ 繋がれざる者」のドン・ジョンソンが警察署長バーンを演じた。Netflixで2024年9月6日から配信。
『ゲット・アウト』でも感じた黒人への嫌な差別意識が出てきます。気分悪い始まり方です。まあ、たぶんアメリカではそういうのが当たり前なのでしょう。そして、田舎の警察署長が嫌な奴なのも定番です。こんなに同じ類型で描かれているんだから、アメリカの田舎って想像を絶するくらい日本の常識では想像できないようなパワーバランスで出来ているんだと思います。日本の取り残された田舎もたいがい酷そうですが。
主人公のテリーは、素手で闘う海兵隊の格闘技「MCMAP」の指導教官です。「MCMAP」というのは、「海兵隊マーシャルアーツプログラム(Marine Corps Martial Arts Program)」の略称で、状況を見て臨機応変に繰り出す接近格闘術のことだそうです。
リアルだと感じたのは、他の映画みたいにバンバン撃って、悪い奴は皆殺し!みたいなカタルシスはありません。主人公のテリーはひたすら低姿勢に、文句も言わず、理不尽に耐えます。警察な理不尽な横暴にも、相手を傷つけない、制圧するだけの技で対応します。暴力は振るいますが、銃で撃って傷つけるようなことは一回もありませんでした。むしろ悪徳署長が裏切った部下の足を撃ってます。いくら正しくても、相手を撃ってしまったら、そこで終わりなんだと思います。銃社会の感覚は分かりませんが、現代のリアルな正義の味方は、低姿勢で、理不尽に耐えて、相手を傷つけず、悪いことの証拠を掴むという、一昔前のヒーロー像とは全く異なっているということがなんとなく理解できました。
低姿勢で、理不尽に耐えて、でも溜まったものが一気に爆発してしまったら『ジョーカー』(【#67】)になってしまうように感じました。
自分の置かれた境遇や問題について、何とか解決できる仲間や、能力や、体力があれば『レベル・リッジ』のテリーに、そういうものが無く、ただただ鬱屈していってしまうと『ジョーカー』のアーサーに、そんな分かれ道を見た気がします。
おわり
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