特撮戦隊モノのキャラクターを作ろうと思ったらオープニング曲を作っていたお話
先に聞いてもらった方が早いので…
(上記はiMovieで簡易的に作ったものです)
歌詞
何か作るならこつらに頼め
デザイン、企画、保守、メンテ、明朗会計で
作るというけれど、やり方が不明?
ウォーターフォールもアジャイルも作れば同じでしょ?
敵は悪の軍団「バグズ帝国」
タスクと今の矛盾に向かって!
略語とカタカナを必死に覚えてみても
使わなくなるものさ
努力のリターンが少ないぜ!
ネットがあればどこでも作れるさ
夜中も休みも開発戦隊ディベロンジャー
きっかけ
以前、戦隊ロゴを作ろうと思ったらfontを作っていた話を記載しましたが、せっかくロゴができたなら「アプリのサンプル用素材として動く2Dや3Dのキャラクターでも作るかなぁ」と思っていたのですが…
キャラ作る以前に「設定」がないじゃん…
いつものあれです…
そう…
キャラクターを作るにあたっての具体的なものが全くないのです。(何人いて何色がいるさえ構想なし)
大体、開発戦隊ディベロンジャーって「なんだそれ?」って話です。
しかも、ロゴの下側に漢字を使いたいが為にdevelopとdebateを掛けて「討論者」とか行き当たりばったりで作ったもんだから酷いもんです。
うーん設定考えるの面倒だなぁ…
が、そこでひらめきました。
あー、オープニングテーマがあればいいじゃん?
と。
特撮モノのオープニングって、まだ出てきてない敵の組織名とかが歌詞で出てくるとか、まだ見ぬ味方ロボットが出てくるとかネタバレ感満載だったりしますよね。
なので、適当に
「ホーン(トランペットとか)が目立つ曲を1番だけ作ればいいんでしょ?」
って軽い考えで曲を作ることにしました。(あくまでよくある安っぽい戦隊モノパロディ曲を作るということです。俗に言う「コミックソング」ですね。)
ある程度作曲経験のある方であれば、1分半ぐらいの歌メロと雰囲気掴めるデモ程度の音源であれば15分以内で作れると思います。私も「トータル作業時間を1時間を目安にしよう!」というそんなノリです。
曲の仕様(?)を決めよう
軽い気持ちで作ろうと思ったロゴと同じですが、ある程度「っぽく」はしたいところ…
とはいえ、戦隊モノの楽曲なんて幼少期の3〜4年間くらいに見てきたものしか知りません。
まして特撮のオープニング曲(以下OP)を音楽的に解析した経験なんてないわけです。(それでも脳裏に焼き付いてる楽曲の凄さには感服です!)
私の場合、今までの作曲の経験上こういう「○○風の曲を作る」という時って元ネタの音楽を聞いたら絶対にダメなんです。(じっくり腰を据えれば別ですが、大概知らず知らずフレーズをパクっちゃったり「まんまじゃん!」ってなるんです。)
なので、前述した
・ホーン多め
・ギターは入れない(ユニゾンチョーキングとか入れたかった)
・ベースはほぼ8分ルートの刻みだけ
・ドラムは4つ打ち
・Bメロかサビに敵の名前を入れる
・マイナーキーで作る
・サビはメジャーキーにする
・サビか終わりに「ディベロンジャー」って入れる
・Mixはあくまでデモ音源と割り切ってボーカルが浮いてても許容する
これを元に、さらに「っぽく」するため尺(曲の秒数)も決めます。
アニソンなどのOPは90秒(実際は89秒)という決まりがあるのは知っていたのでそれに合わせて作ることにしました。(この縛りが後にフラグになるとは思ってもいませんでした。)
もちろん、お仕事として曲を作る場合は歌メロの音域も尺と同じくらい重要になったりするんですが、戦隊モノ歌ってる人ってなんとなく実力派シンガーが多いイメージ(影山さんとか)なので音域は1オクターブ半ぐらいという甘々な仕様でいきます。
構想タイム(深夜の子育てタイム)スタート
ウチでは、生後2ヶ月の長女の子守で大変な妻の熟睡時間を極力作るため23時ぐらいから3時(週末などは5時)までは私が娘の面倒を見る時間としています。(フルリモートワークのなせる技!)
必然的にその時間は私の「ものづくり構想タイム」になります。娘をあやす時間やオムツ替え、ミルクをあげる時間を使ってメロディが降ってくるのを待ちます。
不思議なことにこういう遊び?の曲の方がすぐにフレーズが降りてくるってのはなんなんでしょうね。
まぁ、最初に浮かんできたのはイントロでしたけど。(いつもはサビから思い浮かぶのになぁ…)
仕事用Macでそれは…
さて、イントロに続いてAメロBメロが降ってきたのでメモとして「よし!譜面書くか!」って思ってmacbookを起動して思い出しました。
「あ、このPCにcubase(音楽作成ソフト)入れてない、というか音源入れるディスク容量がない…」と。(音源で有名なKompleteとか推奨容量800GB以上ですからね)
私は音楽作成や動画編集にはデスクトップのwindowsとmac miniを使っており根っからのデスクトップ野郎です。
ただ、目の前にあるのは会社支給のmacbook…
会社支給のマシンに個人ライセンスのcubaseや音源入れるのは流石に…というか、なにより手持ちのソフトや音源が最新OSのbig surに対応してるのも怪しい…(そもそもそんなマシンで業務時間外とは言え「ガッツリ曲を作るな!」って話です。)
なので、この段階で考えられる手法は3つ
1. 子供の抱っこをやめてデスクトップのある部屋へGo!
2. Studio ONEのフリー版を入れる
3. GarageBandを使ってみる
1をやったら確実に家庭が崩壊するのでNGです。無難なのは2ですが、そうなるとプラグインとか使いたくなって絶対1時間じゃ終わらなくなるの間違いなし!
…消去法によりMacに標準で入っているGarageBandを初めて使ってみることにしました。
と言っても、私の楽曲作成方法の最初の工程は無料の楽譜作成ソフト「MuseScore」で各パートの譜面を書きあげmidiにエクスポートして、cubaseに取り込む手法です。
これならば音楽作成のソフトが変わってもmidiをインポートするだけでいけるはずです。(20年以上経ってもピアノロールに慣れない…)
GarageBandの実力は分かりませんでしたが、仮にエフェクトや音源がチープになっても、それはそれで面白いですし、MIXやフリー音源に拘ると一気に沼一直線になるので…
音楽的問題1 (降りてきたサビのキーが違う)
(申し訳ないのですが、この章?は音楽的な用語が出てくるので興味がない方は飛ばしてもらって大丈夫です。)
さて、譜面を書いてる途中で娘が泣き出したので、とりあえず「サビのメロディどうするかなぁ」と思ってました、そこで降りてきたのがこのメロディと歌詞です。
略語とカタカナを必死に覚えてみても
忘れられるものなのさ
努力のリターンが少ないぜ!
これの何が問題かと言うと、イントロ、AメロBメロはGm(ジーマイナー)というキーで作っていたんですが、思いついたサビのメロディがCメジャーという残念感。
元々の仕様の通り、サビはメジャーキーにしようと思っていたのですが、普通なら5度圏で転調しやすいのにするのが王道です。
「Cメジャーかよ!平行調でB♭にするのもいかにもだし、属調が無難なはずだったのになぁ…やっぱり先にコード進行から考えておけば…」
とか脳内で会議してましたが、私のように音楽理論が中途半端な人がよく言う逃げ台詞の代名詞
「音楽なんて理論より感覚が大事よね!」
ってことでサビ前に無理矢理なブリッジを入れてCメジャーのまま強行しました。
ようやく全貌が見えたはずが…
娘を抱っこしたりしながら、脳内の音を適当に譜面にして具現化する事約10分、無事に手抜きのデモ音源ができました。
そこで、思ったのです。
戦隊モノって
最初に「語り」と「○○戦隊○○レンジャー(マン)」って入ってるよね…
と。
この時点でパソコンを閉じたくなりました。
ほぼ、間違いなく
戦隊モノのOPって89秒じゃない、もっと短い…
と、直感で認識したからです。
作曲をした経験がある方には分かると思うのですが曲って長くするのは比較的簡単なんですが、短くするのって大変ですよね?(私だけ?)
で、恐る恐るyoutubeなどで確認してみると、どれも曲部分は1分15秒ぐらい、つまり75秒ぐらいだったわけです。
これは完全に「詰んだ!」と思いました。
音楽的問題2 (尺を間違えていた)
「削れ!とにかく削れ!」(by バグズ帝国デグレ参謀)
ここから地獄の時間でした。
とりあえず曲のテンポ(BPM)を上げれるだけ上げます。
ぶっちゃけ155ぐらいだったのを175にしました。
ピンとこない方は身長で考えてください、155cmと175cmじゃぁ別人です。
それでも75秒に収まらずこぼれます。
そうなると、イントロの繰り返し部分を削り、転調の繋ぎを削り、エンディングを削るしかなくなります。
↓のエンディングは1番切りたくなかったのですが、尺の方が大事なのです!
そうこうしているうちに40分くらい時間が過ぎてました。こんな曲?に結局1時間もかかるとは…
おかげでベースやドラムのアレンジをする時間がなくなってしまいました。(センスがないのである意味ラッキー)
常々会社のメンバーに「ちゃんと仕様書読んだ?設計ミスると大変だよ?」とか言っている自分がこんなんじゃぁ立つ背がないなぁと反省してました。
というか、私は何と戦ってるんでしょう…
ボーカルをどうするか?
さて、しょぼしょぼなデモができた所で、一番の目玉?のボーカル部分です。
昨今の流行を鑑みるなら「ボカロ」一択なのでしょうが、会社支給のMacに(以下略)…
しかも私が持ってるボカロってミクが流行る前の初期型のMEIKOしか持ってません、なのでそれ系の楽曲を作る際にはUTAUを使っていたのですが、そもそも脳内で曲を作った時は、水木一郎さんの声で作っていましたので「ケロケロボイス」とはかけ離れてしまう上に調教していたら時間が足りません。
というか、歌詞がない…
またしても問題です。そもそも「ちゃんとした歌詞を書いてない」ことに気付きました。この時点である歌詞なんてサビの一部分だけです。
「そうだよなぁ、自分で考えるしかないかぁ」と覚悟したものの脳内では「特撮モノの曲って詞先なのかなぁ?曲先なのかなぁ?」とか無駄なことを考えてしまい全く歌詞が浮かびません。
今までの音楽人生でも曲ばかり書いて「詞は歌う人に任せて逃げてきた」のでこっちの方が大変でした。
(尚、サビの部分の「夜中も休みもー」の部分は曲ができたのが週末の夜中だったからです)
当初は曲作りを通してもっと設定が入ると思っていたのですが、歌詞で決まった設定はバグズ帝国だけでした。(プログラムのバグの複数形が由来)
親戚の子を犠牲に…
やっとアレなクオリティ?の詞ができたので、歌い手の事を考える番になりました。
「うーん、歌手…歌手…」
音楽をやっていた時代のツテとか使えばいるにはいるんですが、こんな遊びの楽曲の為にお願いするのは流石にNGだろうなぁと。
そこで、思いついたのが前から「歌ってみた」をやってみたいと言っていた地元の親戚の子Kazumaくんです。
↑のようなやりとりをした後、通話でコミックソングと言うことは一切伏せて「ちょっとオリジナル作ったから歌ってみない?」とだけ伝えると「面白そうなのでやります」的な返事が来たので内心「釣れたー!」状態でした。(後ほどコミックソングってネタバラシになっても問題ない感じでしたが…)
初めてオリジナルを歌う難しさ
他人のオリジナルを歌った経験が一度もない人に歌ってもらうのはハードルが高い作業です。(Kazumaごめんね)
しかも私が歌メロを適当に作っていたために「Bメロが分かりづらいです」と返事をもらい確認したところ渡した音源の符割りが間違っていました。
こうなると、仮歌(誰かがメロディに合わせて歌ったもの)が必要になります。(楽譜を渡したところで細かいニュアンスは伝わらないですね)
いよいよボカロかUTAUの出番?
私が仮歌入れるぐらい歌が上手かったらいいんですけどね、そもそも子育て中の深夜にそんなこと不可能です。
となると、いよいよボカロかUTAUの出番ですが、せっかくGarageBandを使うという新しい事をやったので「何かないかなぁ」とググったところhttp://www.sinsy.jpを見つけました。
しかも、Musescoreと相性バッチリなので願ったり叶ったりです。
ということで、送ったのがこんな感じのデータです。
集まれ、ディベロンジャー(仮)よ!
さて、純朴な親戚の子をアラフォーの毒牙で騙し「歌入れの問題」は去ったので、あとは「語り」と「開発戦隊」「ディベロンジャー」の叫び?を適当な社員に言ってもらうだけでした。
その成果が最初にあるものです。
結果と反省点
お聞きの通り戦隊モノのオープニングじゃないものができちゃった…
いやー、これタツノコプロアニメのオープニングじゃん…
以下、言い訳的な反省
GarageBandの使い方が全然分からずmidiで作った音量変更ができないorz
Cubase使いたい
モニターヘッドフォン使いたい
Melodyne使いたい…(使わないとボーカル録り初めての人は可哀想orz)
ボーカル録りのディレクションはやらないと可哀想
この時期花粉症大変だね
有料音源と有料エフェクト使いたい
MIXって大事!
MIXって大事!!
MIXって大事!!!
協力してくれたみんな、こんなお遊びに付き合ってくれてありがとう。
少し真面目な話
以前のフォントの記事にも書きましたが、スマホに限らずライブ配信系のアプリやゲームを開発する時「音」をどうするか?はUXに置いて非常に大きな割合を占めると思います。
「プッシュ通知の音」や「呼び出し音」も開発する上で大事な要素の一つですし、リラクゼーション系のアプリにはナレーションが入ったりもします。
音量やタイミング、音色、和音など「ものづくり」をする上で軽視できない部分です。
プログラミングやデザインだけクオリティが高くても我々のかがげている「MONOZUKURI Platform」には足りません。当たり前を超え、同じようなアプリやサービスと差別化する、まだ見たことない世の中にないものを作るのは、フォントも音楽もアプリも一緒です。
作れる技術や経験を持った上で「自分たちで作るのか、ありものを使うのか?」の取捨選択ができるのとできないのでは大きな差があります。
まぁ、略語とカタカナ必死に覚えてもリターンが少ないですけどね。
いつものように最後は真面目に書きましたが、歌詞にあるIT系の言葉って「略語やカタカタ覚えるの大変だなぁ」と共感した方は「いいね!」いただけると幸いです。