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曖昧な感情も言葉にしてみよう。そこには言葉にならない気持ちを言葉にする「喜び」があるから。

文章を書いていると、ただ単に「おもしろかった」や「楽しかった」だけでは言い表せない自分の気持ちに気づくときはないでしょうか?

8回目は「気持ちを言語化して書く方法」について書いていきます。


その気持ちに「なぜ?」と問いかけよう

僕たちの感情が湧いてくる過程には、

目の前で出来事が起こる

自分なりの信念や
価値観にもとづいて
出来事を解釈をする

感情が湧いてくる

このような流れがあります。

そのため、パッと湧き上がった感情でさえ「なんでそう思ったの?」と自分に問いかけると、その理由原因にたどり着きます。

たとえば、こんな文章があったとします。

ここのカフェはコーヒーもおいしいし、ケーキだっておいしい。なんとなく居心地がよくて、ついつい長居してしまった。

この文章では「なんとなく居心地がいい」という感情が湧き上がった理由が明確ではありません。

そこで「なぜ、居心地がよかったのか?」と自分に問いかけてみます。

✅BGMにはジャズが流れていて、優雅な気持ちにさせてくれた
✅隣からの視線が気にならないように座席の空間が確保されていた
✅スタッフさんの声がけや所作が丁寧で「おもてなし」の心遣いを感じた

きっと、このように自分なりに「居心地がいい」と感じた理由が挙がるのではないでしょうか。

すると、先ほどの文章もこんなふうに変わります。

ここのカフェはコーヒーもおいしいし、ケーキもおいしい。BGMにはジャズが流れ、座席の間隔も広い。このカフェだけゆったりとした時間が流れているように感じた。なによりスタッフさんの「おもてなし」の心遣いがよく、居心地がよかったので、ついつい長居してしまった。

感情が湧き上がった理由や原因を掘り下げ、具体的な言葉にすることで「うれしい」や「楽しい」などのありきたりな言葉ではなく、自分だけの言葉で感情を表現できます。

つまり、感情の言語化とは自分の感情を理解することにつながります。

感情と一緒に「状態」も表現しよう

その感情が湧いてきたときの体の状態や動作、表情のことを文章にすると、もっと深く感情を表情できます。

感情を掘り下げることは自分の内側にあるものを言葉にします。

一方で体の状態や動作、表情は感情とともに自分の外側に表われたものを言葉にすることになるからです。

つまり自分の内側にあるもの、自分の外側に発したもの、その両方が揃うことで感情を豊かに表現できるようになります。

たとえば、先ほどのカフェの例文に体の状態や動作を付け加えてみますね。

ここのカフェはコーヒーもおいしいし、ケーキもおいしい。特にベイクドチーズケーキは絶品。そのおいしさは思わずガッツポーズするほど!

BGMにはジャズが流れ、座席の間隔も広い。
このカフェだけゆったりとした時間が流れているように感じた。ついついソファに身を沈めて目を瞑ってしまいたくなる。

なによりスタッフさんの「おもてなし」の心遣いがよく、居心地がよかった。気がつけば2杯目のコーヒーを注文していた。

太字になった部分が体の状態や動作、表情を表した部分です。

特に最後の部分は「長居してしまった」と書くよりも「2杯目のコーヒーを注文していた」と書くほうが長居したくなる気持ちを表せると思いました。

このように感情と一緒に「自分の状態」を描写すれば、ただ単に「なんとなく居心地がよかった」と書くよりも鮮明にシーンを思い出すことができるのではないでしょうか。

僕の好きな本『めんどくさがりなきみのための文章教室』に、こんな言葉があります。

自分の気持ちを知るだけで、感性は豊かになる。感性が豊かになると、自然に表現できる。

感情が湧いてくる「理由」と、感情が湧いてきたときの「状態」。この2つを合わせれば感情を自然と表現できるようになると思います。

感情を言語化するためのワーク

では、最後に感情を言語化するためのワークをやってみたいと思います。

このワークは1人で実践することもできますが、2人以上で実践すると盛り上がります。

親子で、カップルで、または友だち同士でやってみてくださいね。

①10文字くらい書ける大きさのメモ用紙を20枚用意します(なければ付せんでもOK)

②20枚すべてのメモ用紙に1枚ずつ「ドキドキ」「ワクワク」など思いついた気持ちを書きます

③気持ちを書いたメモ用紙を1人が引きます。たとえば「ドキドキ」と書かれたメモ用紙を引いたとしましょう。

④メモ用紙を引いた人は「ドキドキ」の言葉を使わずに「私が(僕が)この気持ちになるのは〇〇のときです」とエピソードを伝えます。

⑤聞いている人は、そのエピソードをもとに、そのメモ用紙に書かれている気持ちを当てていきます。

このワークには3つの効果があります。

  1. 自分の感情を伝えるために必要な語彙力が鍛えられる

  2. 自分が「こんなときに、こんな気持ちになるのか」と気づける

  3. 「そんなこともあるよね」と共感してもらえる喜びを味わえる

自分の感情を言葉にすることの楽しさを、このワークで体感してみてくださいね。

自分なりの言葉にする「喜び」がある

子どものころ、僕は画用紙に迷路を書くことが好きでした。

分かれ道を作ったり、宝箱を置いたり、罠を仕掛けたり。自分の想像した世界を思うままに表現していました。

周りにどう思われるかなんて気にもせず、純粋に、ご機嫌に、迷路づくりを楽しんでいました。

描く。歌う。撮る。作る。本来、何かを表現することには喜びがつきものです。感情を文章で表現することだって同じです。

うまく言い表せない自分の気持ちを、「そうそう!こう言いたかったんだよ!」と自分なりの言葉で表現できたときの喜びを、ぜひ味わってみてください。

今回の記事がその参考になれば幸いです😆

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