ファンレターみたいな書評『点滴ポール 生き抜くという旗印』岩崎航・著 齋藤陽道・写真(ナナロク社)
岩崎航さんの本を買ったきっかけはオンライン朗読会「お盆はおうちで谷川俊太郎さんと朗読の会」だった。そこで詩人の岩崎航さんの詩の朗読を聞いて、居留守は出来ないっていうフレーズに惹かれてもっと知りたいと思った。
最近の自分は本の読み方を変えて歌集とか詩集、小説などを読むときに気に入ったものに〇を書き込んでいくようになった。〇をつけたものを「本のあとさき帖」に書き写すようになった。この本では〇が70個ついた。五行詩を70個書いてnoteに向かっている。
前回、「ファンレターみたいな書評」を書いた時は歌人の宇都宮敦さんの歌集『ピクニック』を書いた。その時に下記短歌を強く覚えていて今回の岩崎航さんにも雲雀が出てきて「ファンレターみたいな書評②」を書こうと思った。
雲雀揚げきる冬空の勘違いするなよ これは勇気の話だ/宇都宮敦『ピクニック』(現代短歌社)
鳥籠の中の
「小心翼々」
解き放てば
雲雀のように
天高く
/岩崎航
前回は揚げ雲雀という音楽があるんだなぐらいしか調べなかったけど、揚げ雲雀とは繁殖期を迎えた雄の雲雀の縄張り宣言の行動らしい。小さい雲雀が鳴きながら真っ青な空を昇っていく姿はたしかに勇気だと思った。この本にはこういう自身を奮い立たせるような詩がたくさんある。自身を奮い立たせるような詩だから読者を奮い立たせるのだと思う。
岩崎航さんの本を読んでまったく同じように思います、感じますとは言えない。下記の呼吸器の音の詩は自分には書けない。でもその下の、書いてみるの詩は自分にも重なる部分があると思った。共振したい。
呼吸器の音
常夜灯の光
ささやき声
夜の
体位変換
/岩崎航
書いてみる
意外に書ける
萎えていたのは
手じゃない
思いの力
/岩崎航
齋藤陽道さんの写真もどれも素敵だった。P175の写真は朗読会で見たあの目力だと思った。良いなと思う詩はたくさんあってP78~P84あたりのお母さんについての詩もすごかった。全部を紹介は出来ないけどあと強く紹介したいのはP93の勝負事を、P119 の本を手で、P134のまず、反応として、P136の誰かにとっての、P140のこころの 窓に、P141の抱え込む~の詩。もし興味をお持ちになられたら読んでみてください。おすすめです。すっかりファンになりました。
五行詩は短歌に似てる。似てるから違いは定型の韻律だと思った。短歌でできること五行詩でできることそれぞれ良さがあると思う。短歌は定型を守ると丸くなると思っていて五行詩は自由だから思いの強さが出ると思った。
<参考サイト>
古今東西歴史音楽文学そぞろ歩き ・三好達治『鳥の歌』の中の「揚げ雲雀」のこと