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外形だけでない属性による人材の多様化を

明後日には元号が平成から令和へと変わりますが、同日に30% Club Japanが始動します。2016年に公的年金のGPIFが30% Clubにオブザーバーとして加盟したことでも話題となりましたが、日本版の創設に至ったようです。

30% Clubは2010年に英国で創設された役員に占める女性の割合を向上を目的としたキャンペーンです。現在はオーストラリア、ブラジル、カナダ、東アフリカ、アラブ諸国、香港、アイルランド、イタリア、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国でも展開しており、日本は14番目の国・地域となります。

創設時の英国ではこのキャンペーンが必ずしも歓迎されたわけではありませんでした。まず想起されたのは北欧のクォータ制でした。クォータ制は企業の幹部の一定割合を女性とすることを義務付けることで、経営の自由度が失われるといった指摘がなされていました。同キャンペーンは義務ではなく、あくまで推奨であることを強調し、このような誤解を解き、成功しました。英国の大企業が含まれるFTSE 100の女性役員比率は2010年の12.6%から2018年にはキャンペーンの目標である30%を超えたとのことです。日本の主要100社の同比率は約6.5%で、2020年に10%、2030年に30%を目標とするとしています。

ただし多様性の観点は性別に限るべきではありません。人種、年齢、障害など外形的に判断しやすいものに加え、宗教、性的嗜好など個人の価値観に根差すものも考慮に入れる必要があります。またクォータ制を想起した批判にあったように企業にとっては収益機会の拡大やリスクマネジメントに大いに貢献できる人材の獲得が第一義的に重要で、女性活躍はその一つの手段に過ぎません。その目的達成の一助としてスキルマトリックスの有効性をあらためて強調したいと思います。


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