
鳥山検校もいた「惣録屋敷」はここだ!
「べらぼう」登場場所はここだ!
「江戸歩き案内人」のガイド・一覧
大河べらぼう第8回。
冒頭、蔦重の細見が売れますようにと祈る、花の井改め瀬川の切ない表情。そうとも知らずやってきた蔦重は自慢げに売り切れた風呂敷を瀬川に見せます。舞い上がっている蔦重を瀬川が嗜めると、「お前が喜ぶと思って一番に来たのによ」と蔦重は不貞腐れますが、内心「一番に」が嬉しい瀬川は控えめに微笑みます。
いやー、この辺の小芝風花ちゃんいいなあ。いい。
その後、瀬川が花の井と知った平賀源内が、蔦重が瀬川をどう思っているのか鎌をかけますが、相変わらずの鈍感蔦重。「虚しい話だねえ」と呟く源内に「そうっすよねえ」と同意する蔦重だが、「お前じゃねえよ」言われてもなんのことやら、との表情。
細見のおかげで瀬川目当ての客が押し寄せますが、その皺寄せは本人はもちろん周囲にも。
そして家に戻った鱗形屋は「金々先生栄華夢」を完成させ、どん底からの逆転を狙います。新趣向の青本として出版したこの本は大ヒットし、のちに黄表紙本の走りとされます。
ドラマでは、蔦重がリサーチした内容を盛り込んで出版したことになっていますが、筆者の恋川春町がまだ出てきませんねえ。配役は決まっているのでいずれ出てくるのでしょう。のちに耕書堂の最重要著者になるので、どのように引き合わせるのか。
そして瀬川の客に鳥山検校(けんぎょう)登場! 史実の検校はのちに強引な借金取り立てで財産没収の上、追放となりますが、堂々たる風格の人物として描かれていました。
検校とは、平安時代ごろは荘園の役人のことでしたが、次第に盲人の役職名となり、江戸時代には最高位の盲人を指していました。日本は不思議な国で、古くから盲人に特権を与えてきました。一種の福祉政策なのでしょうか。琵琶法師は盲人の特権で、その後鍼灸や金貸しも盲人にだけ認められるようになります。
これら盲人は組織化され、当道座と呼ばれました。この元締は惣検校と呼ばれ京都に職屋敷という役所を構えていましたが、五代将軍綱吉の頃に、関東は本所惣録屋敷の惣録検校が治める事になります。
鳥山検校は惣録検校ではありませんでしたが、最高位の検校の一人でしたから、惣録屋敷での寄り合いにも出かけたことでしょう。
その場所はここ!
墨田区千歳1-8-2

今は江島杉山神社となっています。正確にいうと神社の境内を含む1-8ととなりの1-13にかけて惣録屋敷がありました。これは幕末まで続きます。
この杉山というのは、綱吉からこの屋敷を賜った杉山検校のことで、管鍼法という現代にもつながる鍼灸術を編み出した鍼灸界の大偉人です。綱吉の治療をしたとの伝説が残りますが、現代で言う福祉政策を推進した綱吉に見出されて抜擢されたのでしょう。
杉山検校はこの場所に、世界初の盲人職業訓練校とされる「杉山流鍼治導引稽古所」を解説します。
神社は杉山検校が信心した弁財天が祀られ、弁天洞もあります。検校が最も信心したのは江ノ島弁財天で、彼は藤沢あたりの参詣道沿いに盲人でもわかるように彫りの深い道標を建て、今でもその一部が残って文化財指定されています。
本当は鳥山検校の屋敷を載せたかったのですが分かりませんでした。以前「百川」の場所として紹介した浮世小路にも屋敷はあったようですが、本邸がどこなのかはっきりしませんでした。

次回、この鳥山検校が瀬川を身請けすることになり、大騒動となります。
一方、蔦重の地本問屋入りの話は鶴屋らの意地悪であっさり覆され、怒った吉原の忘八親父たちは「出入り禁止だ!」と啖呵を切り、吉原対地本問屋の全面戦争風になります。史実ではこんなことはなかったはずなのですが、今後どのように展開するのでしょう?
史実で蔦重が株を買って日本橋に進出するのは1783年で、まだ8年先です。
いいなと思ったら応援しよう!
