5月の日記
庭の花を生けてみた。
薔薇のピエールドゥロンサールとニコルだ。
きっかけは、行きつけの珈琲店の2階で器のセールが行われていたこと。
有田焼やステンドグラス、地元作家の品が並んだ棚の中、目が止まったのはフチが大きく波打った硝子の器。
中には赤と青、黄色の硝子が気泡と一緒に散りばめられている。
料理もいいけれど、花を生けるのにも良さそう。
そう思ったら、この器に花を入れてみたくなった。
店を出るときには、両手に抱えるほどの大きな箱を持ち帰っていた。
そうして今、薔薇を浮かべて眺めている。
家の中で何だかここだけ、フランスのロココ調になったみたい。
そんな物珍しさを楽しみつつ、柔らかな花の色と、透き通った器の美しさにうっとりとしている。
今、こんなことをしているのが不思議なくらい、先月は色んなことがあった。
その後、母は無事に退院し、多少の不便は抱えつつも予後は順調だ。
仕事の方も何だかんだで首が繋がり、来月からまた少し忙しくなる。
日常が戻ってきた。
有り難いことである。
今回のことで色々と思うことがあったが、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはまさしく。
つくづく自分も懲りないものだ。
月頭にあった長い休みでは、久方ぶりに十年来の友人たちと連絡を取った。
みんなそれぞれ大変そうで、だけれど楽しい日々を送っているようだった。
自分と同じ時間を生きていても、刻まれる時の1点1点は全く違う座標にある。
かつて共に過ごした日々を思うと寂しく思うが、今は違っているからお互いの刺激となって楽しいのだ。
何より、気心の知れた心地よい仲に感謝をしている。
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さて。外はきれいな青空だ。
裏のハーブ園用に買ったカレープランツと、3年目の悲願で買ったチョコレートコスモス ー どちらもお腹の虫が騒ぎそうな植物だ ー をいい加減、買ったままにしているので植えてやらねばならい。
5月の庭は賑やかだ。
薔薇に芍薬、ガーデンセージにネモフィラ。ラベンダーにウェストリンギア、ナスタチウム…書き出すと切りがないほどの花々が咲いている。
月桂樹や萩の木々も、若い葉をつけて庭が明るい色彩に溢れている。
畑の片隅で土仕事をしている母の姿もある。
ああ、なんていい季節なんだろう。