はかれないものに囲まれて生きている〜本のひととき〜
「はかれないものをはかる」工藤あゆみ
柔らかなタッチの生き物はネコだろうか。
出会いは美術館で観た絵本原画展だった。
会場に見本があり、その時も欲しかったのだけど、こうして数年経ってから手に入れることになった。
絵本である。
絵柄は子どもが眺めていても楽しいと思う。
でも内容は大人向き。
大人の方が響くのではないか、そんな深さがある。
一遍の詩のようなことば。
簡単なようでいて、核心をついている。
ページをめくるたびに思いを馳せてほしい。
数字や数値で表せるものが、この世にはどれくらいあるだろう。
私が覚えている単位なんて微々たるものだ、きっと。
それ以外のほうが多い。
明確に表せないものの数が。
数字では割り切れないもののほうが。
はかれないものたちを考える。
果たして、それはどのくらいだろうか。
この本に含まれている優しさや勇気や希望を、ふと考える。