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平凡でめまぐるしい日々〜本のひととき〜

「タイニー・タイニー・ハッピー」飛鳥井千砂

もう何度読み返しているだろう。デビュー作の「はるがいったら」は読んでいた。こちらは友人に薦められたのがきっかけだ。折にふれて読みたくなり、本棚から引っ張り出す。

タイトルにある「タイニー・タイニー・ハッピー」は大型ショッピングセンターの名称で通称「タニハピ」。利便性もあり、親しまれている。

登場するのは「タニハピ」で働く20~30代の男女。なにせ250ものテナントが入る商業施設。職種も立場もさまざま。全8話の群像劇だ。

働く日常。そこに恋愛が絡んでいく。話ごとに主役が入れ替わるので、同じ場面を違う視点で感じることができる。現実には気づきづらい心の裏側。綺麗事にはならないドロドロした部分もちゃんと描かれる。

そんな場面もあるのだが、不思議とさわやかな気持ちで閉じられる。

毎日いろいろあるのは当たりまえ。働いて遊んで恋もして。人と関わる以上、気持ちが動くのは当たりまえのことだ。それをどう飼い慣らすのか。自分のご機嫌をとるために試行錯誤する。

幸せって、目に見える大きなものを思いがちだ。

でもそれは、きっと小さな幸せの集合体で。いやもっと「小さな小さな幸せ」かもしれない。

ふとした瞬間に、それに気づける自分でいたいなと思った。



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