4歳長女とジェンダー教育
➣だれでもトイレ
育休が終わる少し前に、ちょっとお高いおしゃれなカフェに行きました。
そこのトイレにこんな標識がありました。
だれでもトイレ。
多目的トイレはよく見かけますが、だれでもトイレというものは初めてお目にかかりました。特に真ん中の虹色の服をまとった人が気になります。男性と女性を混ぜたような形も特徴的です。
お察しの通り、こちらのトイレは男女の性別など関係なく使用することができます。
部屋の中は、普通の多目的トイレと同じでした。多目的トイレと違うところは、入り口の標識のみ。あえて性別に焦点をあてて「だれでもトイレ」と名付けたところに、意味があるのだと思います。
このカフェは観光地にあることも関係して、このような標識のトイレを設置したのではないかと思います。
トイレだけではありません。
ファッションやメイク、社会的な地位や仕事など、様々なところで「ジェンダーフリー」や「ジェンダーレス」の考え方が広がってきています。
最初は難しいと思ったLGBTという言葉も、今やスラスラと言えるようになったし、セクシュアルマイノリティとかややこしい言葉もよく耳にするようになってきました。
長女が社会人として世の中に出る頃には、今よりもっとジェンダーに対する意識も変わっていることでしょう。それこそ、職を探すときからジェンダーフリーの意識をもって選んでいくのではないかと思います。
➣男の子だから 女の子だから
そもそも、私たちの性に対する認識は、どのようにして育っていくのでしょうか?
4歳の長女の様子をみてみましょう。
例えば何かプレゼントをくれるときは、
「パパは男の子だからかっこいいのにしたんだ」
と言います。
一緒に折り紙をするときも、
「パパは男の子だから黒ね」
「わたしは女の子だからピンク」
宝さがしでは、
「パパは男の子だから王様のかんむりだよ」
「わたしは女の子だから指輪がいい」
おぉっと。「男の子だから」「女の子だから」を連発しているではありませんか。
ジェンダーフリーを意識するどころか、すでに性別の違いをゴリゴリに意識して遊んでいるようです。
なんでこうなったんだ?
思い返せば、長女がまだ3歳の頃。「なぜなぜ期」の真っ盛りで、果てしなく続く質問攻めに悪戦苦闘していました。
「パパ、なんでヒゲそってるの?」
「パパ、なんでメイクしないの?」
「パパ、なんでおっぱいないの?」
「パパ、なんで黒が好きなの?」
「パパはなんでそっちのトイレなの?」
・・・
こんな質問攻めに毎日あっているうちに、僕の答えはこうなりました。
「男の子だからだよ」
うおぉー!
自分が一番言ってた!!
長女にジェンダー意識を刷り込みまくっていたのは自分でした!
しまったなぁ。
これからの時代は、ジェンダーフリーで教えていかないといけないと思っていたのに。
パパとして少し反省しました。
➣ジェンダー教育の順番とは
しかし、長女が性別の違いを認識するのは家だけではありません。
男の子は仮面ライダーが好き
女の子はプリキュア
男の子はきょうりゅう
女の子はかわいい犬や猫
保育園での生活で、自然に性別による好みの違いも学んでくるようです。これは先生から教えてもらうわけではなく、自分で識別しているみたいです。
このことから、ジェンダー意識は生活の中で自然に育っていくものだと分かりました。そこに僕の勘違いがありました。
僕は小さい頃からジェンダーフリーの考えで接していけば、子どもも自然と性の違いなど意識せず、ジェンダーフリーの意識が身に付くと思っていました。
しかし実際には、ジェンダーとは何か、性によってどんな違いをもつのかを認識することから始まるようです。
現代の子育てにおいては、子どもに最初からジェンダーフリーを教え込んでいけるほど、社会の構造が発展していません。トイレや温泉をはじめ、服の売り場も男女別に分けられています。男の子向けのおもちゃを女の子がCMで宣伝することもないし、その逆もありません。
子どもが「男の子だから」とか「女の子だから」という理由で、性の違いを認識することは、もはや必然的です。
それならば、一旦男女の違いを認識させた上で、中性的な視点を教えていく方が自然なのではないでしょうか。すなわち、僕たちが学んできた順番と同じでいい、というわけです。
それを少ーし早めに教えていってあげる。
社会の変化に対応できるように、成長の時期を見て、少しずつ少しずつ。
少なくとも、自分の仕事を真剣に考える時期になる前にはしっかり教えてあげたいなと思います。女性の職選びにジェンダーフリーの考えは大きく影響すると思うからです。
➣まずは大人がアップデートを
この記事を書いていて、自分自身のジェンダーに対する知識のなさに呆れてしまいました。子どもにジェンダーフリーの考えをもって欲しいと願う前に、親である自分がジェンダーについて無知であっては話になりません。
僕はそもそも、ジェンダーフリーとジェンダーレスの違いも分かっていませんでした。
ジェンダーフリーは、性別による社会的な差別や構造をなくしていこうとする考え方です。女性は家で家事をする、男性が一家の大黒柱として働きに出る、こうした性差をなくしていく考え方がジェンダーフリーです。僕が育休を取得したのも、ジェンダーフリーの考え方では肯定的だと言えますね。
一方、ジェンダーレスは、性別による境界線をなくしていこうという考え方です。男性、女性とはっきりと線で分けるのではなく、中性的な立場も認めていく考え方です。冒頭のトイレの標識が虹色だったのは、おそらくジェンダーレスの考え方によるものでしょう。まさに虹のように、性の色も様々あるというメッセージを感じますね。
ジェンダーだけでなく、職業、結婚、出産、持ち家など、人生の大事な選択が昔の価値観と大きく変化しているものはたくさんあります。
長女がそのときを迎えるまで、まだまだ時間はかかりますが、その間に僕の見方もどんどんアップデートしておこうと思います。
さらには、それが娘だけでなく、担任する子どもたちにも何かしら影響を与えるところが、教師のおもしろみだなと感じます。