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これから輝く「スペシャリストタイプ」の生き方

「あなたの特技は何ですか?得意なことはありますか?」

この質問ってけっこう困ったりしませんか?
僕はこのタイプの質問は苦手で、書いている手が止まってしまいます。

例えば、
「サッカーが好きで自分の能力の中では得意な方なんだけど、他の人よりは全然うまくないから…」とか。
「胸を張って特技って言えるようなものなどもっておりません…」とか。
そんな余計な心理が邪魔をして、一旦手が止まるのです。

この質問は学校の教育相談アンケートなんかにも載っていることがあり、おそらくその人の自己肯定感なるものを図りたいから聞くんだと思うんですが。
僕みたいな人は逆に自分が惨めになり、自己肯定感がさらに下がってしまいそうな質問でもあります…。

それはさておき。
教師をしている仕事柄か、人の得意、不得意について思うところがあります。
それは子どもたちにも僕たち教師にも言えるのですが、人の能力にはざっくり分けて2つのタイプがあるということです。

その2つのタイプとは「オールラウンドタイプ」と「スペシャリストタイプ」。そしてこれからの教師、あるいは社会においても、求められるのは「スペシャリストタイプ」ではないかと考えています。

ちなみにこの2つのタイプは、僕が勝手に名付けただけです。これから書く内容も何の科学的根拠もなく、僕の勝手なイメージで書き進めていきます。悪しからず…。

➣「オールラウンドタイプ」とは

何でもそつなくこなす優等生タイプ。
おおよそすべてのことに70~80点くらいの結果は出すことができる。
1つの能力を他の能力に応用させたりすることもできる器用さもある。
しかし、突出したものがなく、目立つ存在ではない。
通知表だとオール2といったところ。
裏を返すと器用貧乏。

僕は間違いなくこのタイプでしょう。
仕事をする上で、できなさ過ぎて困る経験はあまりありませんが、突出してできるものがあるわけではない。「なんでもできる」とも捉えられるし、「全部中途半端」とも捉えられる。そこは表裏一体です。

だから「得意なこと」と聞かれるとちょっと困ります。

だいたいのことをそつなくこなせるので、人から頼りにされますが、仕事をいいように振られやすいです。

小学校の先生はこのタイプが多いかもしれません。
仕事上、全ての教科を教える可能性があります。
「音楽は不得意だからできません」とか言ってられませんから、イヤでもそれなりに身に付いていきます。
教える内容もそこまで複雑なものではありませんので、苦手なものでもそれなりにやればそれなりに教えることができます。


➣「スペシャリストタイプ」とは

自分が得意なことに全力を注ぐカリスマ性がある。
得意と苦手がはっきりしている。
得意なことは常に100点を叩き出すが、それ以外は平均かそれ以下。
得意なことに絶対的な自信を持ち、とことん追求する。そして素晴らしい結果を出す。
しかし苦手なことには時間がかかったりクオリティが下がったりする。手をつけようとしないことも。
通知表だと3と1が散見する。
得意なことに自信をもってやるが、うまくいかないとやる気を失うこともある。

このタイプの人は自分の得意なことを充分に理解しており、専門性を生かして活躍することができます。
僕の中では、専門教科を教える中学・高校の先生はこのイメージです。(もちろん中学・高校にもオールラウンドな方はいらっしゃいます)

周りからも「この人はこれが得意」と認められており、自分の得意な仕事を任されやすいです。
そしてその分野で突出した結果を出していきます。

ただそこで輝けないと、他は平均並みかそれ以下ですから、諸刃の剣でもあります。

自信をもって得意だと言えることがない僕は、「スペシャリストタイプ」の人を羨ましくも感じます。


➣「スペシャリストタイプ」の需要が高まっている

ここ数年議論されていることですが、2022年度から小学校高学年において教科担任制を本格導入する指針が発表されました。

それに加えて英語やプログラミングの必修化、一人1台タブレットの導入など、専門性を必要とする新しい時代に対応する教育スタイルの実現に向けて進んでいます。

それはつまり「スペシャリストタイプ」の需要が高まっているということです。

教科担任制の良さもまさにそこです。
子どもたちが専門的な知識のある教員からより深い学びを得ることができるようになります。

ですから教師側もそれに対応する必要があります。

自分の得意なことや専門性を伸ばし、「これだけは誰にも負けない」という武器を今のうちにつくっておくと、それを生かしやすい環境が次第に整っていくのではないでしょうか。

個人的にはそのうち教科指導と担任の役割が分かれるのも有りかなと思っています。
ホームルーム、学活、道徳、総合を担当する「担任」という専門的な役割ができると、子どもたちをじっくりと見守ることができそうです。


➣「スペシャリストタイプ」な子を育てる学校に変わっていく

今までの学校は「オールラウンドタイプ」を育てるのに適した環境でした。

一斉授業では、みんな同じ進度で学習を進め、勝手に先に進むことは許されません。宿題は個々の習熟度に関係なく、みんな同じものを提出します。
言わばみんなを平等に扱い、平均にならそうとするスタイルが好まれていました。

この方法は明治初期に「学制」が始まった頃からあまり変わっていないそうです。それが時代とともにようやく変わってきています。

新しい学習指導要領では子どもたちが「主体的」に取り組めるようにする指導が求められるようになりました。

一人1台のタブレットや単元内自由進度学習を始めとする新しい教育スタイルにより、自分に合った進め方で自主的に学ぶことも可能になってきています。自分の心の中の「問い」と向き合いながら、興味のあることをとことん追求することもできます。

従来とは違う、こうした新しい教育スタイルは「スペシャリストタイプ」を育てるのに適しています。

その中で培われる「自己学習力」と呼ばれる力は社会でも大いに役立つと期待されています。

ただこういった流れも急速に加速するわけではないでしょう。

それは小学校教員の多くが「オールラウンドタイプ」の人なので、ほとんどが「スペシャリストタイプ」の育て方を知らないからです。


まとめ

それでも世の中が、着実に「スペシャリスト」を求める流れであることは確かです。

会社に属し、「オールラウンド」に仕事をこなす人がいる一方で、個人事業主となり「スペシャリスト」として自分の専門性を生かしている人も増えています。

そういう人たちは、自分に足りない能力をよく分かっており補い合います。
自分に足りないものがあれば、それを専門とする人に頼ればいいことを知っているからです。

これからの未来を生きる子どもたちにも、自分の得意や強みを見つけ、生かしていける力を身につけてあげたいものです。

強みがあれば自信になります。

自分もそんな強みを手に入れて進んでいきたいと思います。

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