「やりたい係活動」なら「がんばろう」がなくてもがんばれる
僕にとって1年ぶりの担任。育休が明けていよいよ子どもたちとの日常が戻ってきました!今年は4年生の担任兼学年主任。この日を心待ちにしていました^^
一週間を終えた最初の感想は、
「このクラス、すっごく元気!エネルギーに溢れている!」
「すっごいゴソゴソしてる!笑」
そんな印象です^^;
ただ、育休中に学んだり経験したりしたことは、自分が想像しているよりも大きな変化だったようで。
どんな子がいても
「まあ何とかなる、大丈夫」
「むしろ何の反応もない子どもたちよりも、
好奇心旺盛でおもしろそうだ!」
と受け入れられる根拠なき自信がついていました^^
そして、自分の口から出てくる言葉にも、かなりの変化がありました。
簡単に言うと、
「このようにします」
「このようにしなさい(してください)」
という言葉が減り、
「みんなはどうしたい?」
「こうするのはどう?」
という言葉が増えました。
これには自分でも、
「自分の思考ってこんなにも変わっていたんだ」
と驚きました。
8ヵ月の育休中のインプットとアウトプットの中で、自分の思考の軸を「子どもたち主体」に据えられていたようです。アウトプットするって大事だなと改めて感じました。
そんな担任の様子を見て、子どもたちも
「今までの先生と何かちがうぞ?」
と感じてくれたようです。
学級開きを終えた後の子どもたちが、次にソワソワするのは係活動決めです。半年間の係を左右する大切な係を決めるのは、子どもたちにとって年度の最初の一大イベントです。係決めにおいて、僕と子どもたちとのやり取りの中で起きた嬉しかった出来事を紹介していきたいと思います。
ちなみにこの記事は、「係決めはこうすべし」というものではなく、僕が個人的に「嬉しかったこと」の記録です。ご理解ください。
➣係活動って何のためにするの?
僕は係決めの前に、子どもたちに聞きました。
「係って何のためにするの?」
「みんなのため」
「学校のため」
「先生のため」
と子どもたちが答えます。
「人の役に立つお仕事をすることが係活動だね」
と簡潔にまとめました。そして、
「どんな係が人の役に立つと思う?」
と聞いてみました。
「学級委員!」
「手紙を取りに行く人」
「電気をつけたり消したり、窓を開けたりする人」
「先生の授業の準備を手伝う人」
「給食の準備や片付けをサポートをする人」
「次の日の予定を分かるようにする人」
・・・
子どもたちは、3年生までの経験から、次々に今までにあった係を言ってくれました。一通り出そろったところで、
「これらの係は、人の役に立つことで、みんながスムーズに学校の生活を送るためになくてはならない、大事な係の『お仕事』だね」
とまとめました。
➣「人を喜ばせる係」って作れないかな?
そして僕は、こんなことを言ってみました。
「でもね、この中にはみんなが『やりたい係』と『やりたくない係』があると思うんだよね。先生は、せっかくみんなの大事な時間を使って学校に来ているんだから、できるだけみんなが『やりたい係』をやってほしいと思ってる」
「大人になればいろんな『お仕事』があってね。『人の役に立つ仕事』ってやらされて嫌な仕事ばかりじゃないんだ。自分の好きなことや得意なことを生かして『仕事』にしている人もいる。サッカーが好きならサッカー選手、絵が好きなら漫画家。そうやって『人を喜ばせること』をお仕事にしている人もいるんだよ」
と語ってみました。
子どもたちは予想外の展開にポカンとしています(笑)僕は気にせずに続けます。
「自分の好きなことや得意なことを生かして、『人を喜ばせる係』って作れないかな?」
と聞きました。
「係を作る」というおそらく今まで聞いてこなかった言葉に、子どもたちは頭を悩ませましたが、少しずつアイデアが出てきました。
「レクを計画するとか?」
「お絵かきとか、飾りとか・・・
ぬりえを作ったり、折り紙で教室を飾ったりする」
「計算?算数を教えてあげたり・・・」
「本をつくってみんなに読んでもらいたい」
こうして、少しずつおもしろそうな係が出てきました。
➣係決めの最大の敵は「定員」
さて、たくさんの係がでそろったところでいよいよ係決めです。僕の中で、係決めの最大の敵は「定員」です。
○○係は何人
という定員を設けることで、一人当たりの仕事量の均一化をはかりますが、これが『やらされる係』になってしまう根本的な原因となります。
つまり、
人気のある係に立候補 → 定員オーバー → じゃんけんで負ける → 残り物の係 → やらされる係になる
という誰かが不幸を感じてしまう決め方となってしまいます。
僕は、できるだけじゃんけんで決めて、やりたくもない係にハマることがないようにしたいと思っています。
➣「やらされる係活動」から「自らやる係活動」へ
そこで、係に定員を設けずに決めてみました。子どもたちはずっと「○○係って何人入れるの?」と聞いてきます^^;
どうしたかというと、生活に欠かせない係に人がいない時は、希望者が多いところが2つの係を兼ねるということにしました。
例えば、後ろの黒板に予定を書く「連絡係」を希望する子が7人もいました。そのうち3人は仲が良い友達だったので、3人そろって「計算係」へ移ってくれました。今までになかった係を友達とワイワイ言いながらやれるので、その子たちにとっては「やりたい係」になりました。残る4人はみんな連絡係がやりたいので、学校生活に欠かせない「電気・窓係」や「整頓係」を兼ねてくれないか交渉しました。すると、男の子2人は「連絡と電気・窓係」、女の子2人は「連絡と整頓係」ということで納得してくれました。
僕としては連絡係は4人もいらないのですが、曜日ごとに担当を分けるなど分業しつつ、他の係との兼業で手を打つことで、その子たちにとって「やりたい係」とすることができました。
こうして、学級委員だけは学校の規定で定員があるので、投票で決めたものの、係活動はじゃんけんなしで決めることができました。子どもたちの納得した顔を見て僕も誇らしく思いました。
そして、本係や計算係、お絵かき係、マンガ係、おわらい係など、ユニークな係が立ち上がりました。
➣「やりたい係」は「がんばろう」がなくてもがんばれる
翌朝、緊急の打ち合わせがあって、教室に行くのがかなり遅れました。
黒板に、
「今日から係活動スタート!がんばろう!」
というようなメッセージを書こうと思っていたのに…
悔しい思いで教室に行くと、子どもたちが大半の係活動を済ませて座っていました。
「がんばろう」なんて必要なかったみたいです。
やる気に満ちた姿を見て嬉しくなり、いっぱい褒めました。
すると、
「本係で、どんなお題の本を書いて欲しいかアンケートを取りたい」
と言ってくる子や、
「イラスト係で、みんながどんなぬり絵が欲しいか調査したい」
と言う子が休み時間にも続々と出てきました。
やりたいことは、「がんばろう」と言われなくてもがんばれるのが子どもです。受け身ではない、本当の「子どもたち主体」の良さを実感しました。
もちろん、これからやる気がなくなってしまったり、仕事をわすれてしまったりすることもあるでしょうが、「みんなの役に立ち、喜んでもらえる仕事をする」という目的に立ち返って、子どもたちの心と向き合っていこうと思います^^