【エッセンシャル思考③】「しくみ化する技術」で人生を変える
僕の教員人生を変えた名著「エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする」(著 グレッグ・マキューン)から学んだことを自分に定着させるために、記事にしてまとめています。
前回の記事はこちらです⇩⇩⇩
▶しくみ化する技術
捨てる基準が定まり、捨てる技術が身に付いたとして、それを毎回行うのはとてもエネルギーがいる作業になります。捨てることは、相手に「ノー」を言うこと。過去や現状の自分を否定すること。ここに多くのエネルギーを消費したくないなら、「しくみ化する技術」が必要です。
「しくみ化する技術」とは、なるべく努力や根性がいらないように自動的に仕事の成功を実現するようなしくみを作ることです。捨てる基準を明確に定め、いつ、どこに、どのように処分するのかをしくみ化しておきます。そうすることで雑多な仕事があふれて散らかることを未然に防ぐことができます。
➣バッファをとる
私たちの生きる世の中はどんどん余裕がなくなっています。
それは車間距離を5センチしかとらずに時速100キロで疾走しているようなもの。前の車が少しでも速度をゆるめたら、たちまち大きな事故になります。一瞬のミスも許されません。そのため、何をするにもストレスがかかり、つねに追い詰められている感じがします。
あなたの一日のスケジュールはどうでしょうか?
分刻みのスケジュールに追われ、Todoリストが山積みになり、夕方にはそれが減っているどころが増えている。こんな経験は、僕もたくさん思い当たるところがあります。
このような状況を脱け出して、人間らしい余裕を取り戻すために、万が一に備えてバッファ(緩衝)を組み、予定外のことがあってもペースを取り戻せるようにしておきます。
バッファをつくるコツが3つあります。
①徹底的に準備する
②見積もりは1.5倍で考える
③最悪の事態を想定してリスクを軽減する
自分のスケジュールをうまく回すために一番重要なことは、②見積もりは1.5倍で考えるではないでしょうか。ここでの見積もりとは、「1つの作業にかかる時間の見積もり」のことです。
心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマンは、「計画錯誤」という言葉を提唱しました。作業にかかる時間を短く見積もりすぎる傾向のことです。私たちはたとえ経験のある作業だとしても、当初の想定より遅れる傾向があるのです。
これってすごく心当たりありませんか?
たとえば授業。45分で終わり切らない。それから会議。1時間で終わる予定が1時間半になってしまう。そして、移動。余裕をもって行ったつもりが、なぜかギリギリに着いてしまう。
こうした見積もりの誤差が、後の仕事に影響を与えます。そして時間に追われ心の余裕をなくし、余計なミスを増やしてしまいます。
神奈川県にあるヒミツキチ森学園という小学校では、金曜日の時間割の中に「よはくの時間」という時間を設けているそうです。一週間の終わりに、こうした時間をあらかじめ取っておくことで、子どもたちにも、教師にも、学校全体にも余裕が生まれる感じがしますよね。バッファの重要性を意識した時間割の組み方だと思いました。
➣小さな一歩を積み重ねる
心理学の研究によると、人間のモチベーションに対してもっとも効果的なのは「前に進んでいる」という感覚だそうです。小さくても前進しているという手応えがあれば、未来の成功を信じられ、そのまま進みつづけようという力になります。
重要なことをやり遂げるコツは小さく始めること。小さな成功をほめて、地道な作業を促進する具体的なテクニックがあります。
①最小限の進歩を重ねる
②「早く小さく」始める
③進歩を目に見える形にする
余計なことを考えず、今すぐできる最小限の準備を始めておきます。少しずつ進めば無駄な努力をしなくてすむでしょう。
子どもの頃に使った、目標達成のためのすごろくシートのようなものは大人でも有効です。小さな達成を繰り返すことで、目標までの道のりは楽しく、満足感に満ちたものとなります。
➣「今、何が重要か」を考える
教材研究、メールチェック、お便りやプリント、会議資料の作成、保護者連絡など、やることが多く、何から手をつければいいか分からない。やり始めたはいいものの、あれこれ気になって、今の作業に集中できていない。
僕が職場でよく感じていることです。
こんな時にやるべきことは、とにかく頭の中にあるものをすべて紙に書き出すことです。頭の中にあれこれ詰まっていると、今この瞬間に集中できません。紙に書き出すことで、「覚えているうちに何かやらなくては」という漠然とした焦りを感じなくてすみます。
そして、「今、この瞬間」に集中します。これはマインドフルネスの実践でもあります。
「クロノス」と「カイロス」という古代ギリシャの時間を表す2種類の言葉が「エッセンシャル思考」のマンガ編で取り上げられています。
「クロノス」は時計の針の動きそのままの時間を意味します。「カイロス」は夢中になっていたらあっという間に時間が過ぎていた、というようなその人その人のもつ主観的な時間感覚を意味します。
私たちが考えるべきことは、「カイロス」の時間を生きることです。それは、そもそも私たちには「今」しかなく、私たちの行動がなんらかの力を持つのは、今ここにおいてだけだからです。
➣エッセンシャル思考で人生を変えよう
エッセンシャル思考との出会いは、僕の人生を大きく変える出来事となりました。仕事に追われ、過去を引きずり、未来に不安しかなかった僕が、今まだ教師としていられるのは、エッセンシャル思考なしには考えられないことです。
エッセンシャル思考は、僕に大きな衝撃を与え、凝り固まった思考そのものを変えていきました。そして、「本当の意味で自分の人生を歩もう」という勇気が湧いてきました。
それでも、また多忙な日々になれば非エッセンシャル思考へと逆戻りしてしまうかもしれません。それでもなお、エッセンシャル思考でいられるように、何度も本書やこれまでの記事を読み返し、自分の思考の隅々まで染みこませていこうと思います。
そして昔の僕のように、非エッセンシャル思考で悩み苦しむ仲間に、手を差し伸べ、救い出してあげられる力と余裕を身に付けたいと思います。
ここまで読んでくださった皆さんの人生も幸せなものとなりますよう、願っています。
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