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諸行無常

私がよく知る、敬愛する方は、諸行無常という言葉を出されて、うつろいゆくこの世の切なさを話される時があります。

何か物に出会ったとき、例えば、ぬいぐるみを手にしたとき、その喜びもありますが、同時にいつかそれと別れる時が来ることを感じて切なくなると言います。

もしかしたらそれは人にも当てはまるのかもしれません。例えば親しい知人ができた、それは嬉しいですが、同時にいつか別れる時がくることを考えて、切なくなってしまうこともあるようです。

諸行無常」、仏教用語ですが、「世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはないということ」、確かにこれは真理であり、切なくなることは理解できます。
その方の心の中を知ることなどできませんが、この論理が底辺にあるとしたら、ちょっと考えてしまいます。

松下電器(現パナソニック)を創業した、松下幸之助の言葉に以下のようなものがあります。

“諸行”とは“万物”ということであり、“無常”とは“流転”というようにも考えられますから、諸行無常とは、すなわち万物流転であり、生成発展ということであると解釈したらどうかと思うのです。いいかえますとお釈迦さまは、日に新たでなければならないぞ、ということを教えられたのだということです。 

松下幸之助『人生としての成功』から

私は無常ということに切なさを感じることも理解しますが、この松下幸之助の言う万物流転という解釈に従いたいと思います。まったく別の禅宗の仏教用語で、「日日是好日」という言葉がありますが、これもやや似たような意味ではないかと思います。

物事がいつか失われることを憂うのではなく、物事は発展して流転していく、今風に言うなら、アップデート、アップグレードされていくことに希望を持ちたいということです。

ぬいぐるみや出会った人とはいつか別れが来るかもしれませんが、別れがきたその時には、また新たな出会いや発見がやってくるはずです。そう思えば、切なさに暮れるよりも、それまでの時間を精一杯楽しめばいいじゃないでしょうか。

私は、切なくなる時もありますが、もしできるものであれば、前向き、上昇志向の生き方で生きていきたいなと思います。


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