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初学者におすすめの脳画像についての書籍①

はじめまして!
「くろ」と申します。
作業療法士5年目となりました。
普段は回復期で働いています。

今回は、脳画像について勉強するときの書籍について、今まで見てきた本のなかからいくつかをご紹介できればと思います。




脳画像の勉強の方法について

まずは、今回紹介するにあたって、「脳画像の勉強はどうすれば良いのか」について、大まかに再考していきます。

〇脳画像を見る目的
脳画像を何のためにみるのか、考えてみました。
まずは、「患者様の症状や状態、予後などを予測するため」だと感じます。
脳画像を見ることで、※決して全てではない※ですが、ある程度症状や予後の予測ができます。
そのため、スムーズな評価が可能になります。
注意点ですが、脳画像が全てではないので、ある程度脳画像評価よりも広い視点での評価が必要です。
そのため、脳画像が分かり、症状が分かったといえど安心はできません。
数多の評価法からゴールドスタンダードと症状に合わせた個別な評価などの勉強が続けて必要になってきます。
そのための最初の一歩や、てらし合わせとして脳画像を見ることは意義があると感じます。

私がしてきた脳画像の勉強について

②どのように学習したか
 次は、「私がどのように脳画像、脳機能解剖などを学習してきたか」についてです。
学習するにも完全な正解はなく、人によって合ったやり方があると思うので、私の経験談を書きます。
⑴学生の頃
脳画像や高次脳機能についての授業は何も抵抗がなく、内容がするすると入ったのを覚えています。
その時から、これは自分が得意な分野なのかもしれないと感じ、学習は楽しく進みました。
脳画像の本を探してみたところ、「リハに役立つ脳画像」という書籍が学生レベルでも分かりやすく、理解しやすかったです。
まずは覚えられるところから学習し、何度も読み返し国家試験問題とれたし合わせたり、それ以上のことを覚えていきました。

⑵回復期、臨床1年目
 1年目からは、実践的な学びが欲しいと感じ、患者様の脳画像を見て、患者様をみて、を繰り返し、同じ病棟で脳画像を撮影した患者様全員の脳画像をみて、本を読み返して、講義を受けてをひたすら繰り返していました。
「リハに役立つ脳画像」は、後述しますが部位と症状についてをわかりやすく書いている本だったこともあり、初めての介入が始まるころには、見学している患者様のこの症状はこの部位辺りかな?と逆に予測がつくほどには成長していました。この繰り返しが良かったのかと思います。

⑶現在(回復期、臨床5年目)
 一通り脳画像の部位と症状がわかり、予測がつき、予後についてもエビデンスをもとにある程度の予測がつくようになりました。
同期や知り合いと、勉強会と称して脳画像や脳機能、高次脳機能障害についてを調べては資料にまとめることを繰り返していたことが学習の糧になったと感じます。しかし脳画像は、見て、場所が理解でき、症状と繋げることができて初めて、見たことによる恩恵が受けれると思います。これは様々な脳の損傷部位の方々がいらっしゃるため相当難しいことだと感じます。

脳画像の勉強本について

「リハに役立つ脳画像」

 さて、ここでようやく書籍の紹介に入りたいと思います。
初学者から学べる書籍として、「リハに役立つ脳画像」をおすすめしたいと思います!

こちらの書籍のおすすめな点は、
脳画像を部位ごとに分けて、その場所の名前と機能がセットになっていることです。これがスムーズでわかりやすく理解できます。
視床の核なども脳画像の断層ごとに分けて記載してあるため、細かいところまで評価できます。
さらに第2版になったことによって、認知症などの脳画像が例として載っています。
これで、脳画像と機能や症状との照らし合わせがすぐにでき、さらに説明が端的にまとまっていることで学習が容易となっています。
これですぐに脳画像を見ながら症状を照らし合わせたりできそうですね!
簡単にさらっと読めて、必要な時にすぐに読むのにおすすめです。


次におすすめなのは

「脳の機能解剖とリハビリテーション」


なんとこの書籍は、とてもわかりやすい書籍「脳卒中の動作分析」や「脳卒中の機能回復」を手掛けた金子先生の書籍になります。
これだけでも買いですが、中身はより一層素晴らしいものになっています。
医学書院の商品ページにある、序文にも、以下のような思いから書き上げたという成り立ちがあります。

本書は,脳の機能解剖の基礎知識と臨床現場のギャップを埋めることを最優先に考えて構成しました.私自身,新人1年目から脳の機能解剖に深く没頭しましたが,5年目頃になると臨床への応用に限界を感じ,不安になりました.
 ギャップの原因は次のように考えられます.
 1. 脳の機能解剖に関する知識に偏りがちで,実際の臨床場面を想像する学習スタイルが確立されていない.
 2. 大脳皮質や大脳基底核などの勉強が中心で,脳幹などの細かな部位や神経ネットワークを十分に考慮していないため,点と点の知識が線や面につながっていかない.
 3. 臨床では,特定の症状(半側空間無視や痙縮など)が多く,脳の機能解剖の基礎知識が後回しにされる.結果的に知識が曖昧なまま年月が経ってしまう.
 4. 脳の機能解剖とリハビリテーションを統合した内容を一冊で完結させる書籍が少なく,複数の教科書を参照する必要があるため,学習するには非効率であり,臨床での迅速な利用も限られてしまう.
 5. テキストでの学習は疲労時に継続できず,記憶に定着しない.

 上記5点を解決すべく,本書では各セクションの冒頭に脳の機能解剖の基礎知識を配置し,それに加え,臨床の課題解決の糸口となるような観察ポイントと臨床へのヒントなどを,なるべく見開きとなるよう配置しました.特に観察ポイントは,まさに臨床実践の源泉のため,アイデアの捻出に苦労しました.また,大脳皮質や大脳基底核にとどまらず,脳幹や脊髄に至るまで,脳神経全体を網羅することに努めました.各領域を神経ネットワークで結びつけながら解説することにより,患者の損傷部位にとどまらず,各領域との結びつきを知ることができ,臨床アイデアを広げることにつながると考えます.この各領域の結びつきを解説するうえでは,大学病院勤務時代に,脳幹や脊髄障害まで幅広く患者を担当してきた経験が大きいです.

金子唯史 脳の機能解剖とリハビリテーション 2024 序文から抜粋

さて、内容についてですが、脳の一つ一つの部位について、詳細に記されています。
また、部位とその説明、観察ポイント、臨床へのヒント、エビデンス、新人さんはここに注意!などが分かれて書いてあり、新人さんから中堅、ベテランまでわかりやすく学びの深い書籍となっています。
じっくり読むのにおすすめです!!


「高次脳機能障害の理解と診察」

こちらは、言語、視覚、聴覚など、障害される機能ごとに章を分け、解剖と生理、MRIによる同定、個々の症状などを解説しています。
詳細に載っているので、初学者には少し難しく感じられるかもしれません。
また、同じ図が多く、なかなか進まないページもあります。
しかし、細かい所まで載っていて、さらにMRI画像などもあるため、脳画像と高次脳機能を深く学習する本としては良いと思います。


「脳機能の基礎知識と神経症候ケーススタディ」

こちらの本では、脳部位の説明や機能解剖だけでなく、症例についても説明しています。症例としては運動開始困難や運動無視など、見落としがちな神経症候も多数紹介しています。また、正確な症状評価の重要性を強調し、症例の特徴を活かしたリハビリテーション・アプローチ方法の立案に役立つ情報を提供しています!
様々な症状を知りたい!という方にも適していると思います!


「脳機能 入門」

こちらの書籍では、総論として脳機能の基礎知識、機能局在、白質神経線維など。各論として機能別に、機能概要、機能局在、回復過程、症例紹介などを解説しています。
簡単に言うと、脳の機能とその障害について、図や症例ビデオを用いて分かりやすく解説した、医療従事者必携の1冊となっております!
個人的には白質線維が載っている所がGOODですね!

いかがだったでしょうか!
初学者編でまとめてみましたが、少し難しい物もあるかもしれません。
現在は立ち読み機能や試し読み機能など便利な機能があるので、ぜひ出版社のサイトまで行ってのぞいてみてください。
皆さんに合った一冊が見つかりますように。

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