金融緩和の一番簡単な理解
例えば、あなたが1万円持っていて、あなたの友人は1円も持ってないとする。そしてお店でコメを1袋5000円で売っていたとする。あなたはコメを買うことができるが、友人は買うことができない。つまりあなたは裕福だが、友人は一文無しである。そのとき、どうするか。
1つには、あなたが友人に5000円をあげるという方法がある。そうすればあなたも友人も5000円づつだから、2人ともコメを買うことができる。二人とも中程度の豊かさである。これを再分配という。
しかしこの方法だと、あなたもあなたの友人も、1袋のコメを食べてしまったら、そのあとは何も買えない。
もっといい方法がある。1万円札を1枚印刷して友人に渡す方法である。そうすれば、あなたもあなたの友人も1万円づつ持てるから、コメを2袋買うことができる。つまり2人とも裕福になる。
あなたが1万円札を印刷したら通貨偽造になってしまうが、日本銀行が印刷する分には問題ない。
金融緩和などと小難しい言葉を使うが、煎じ詰めればこれだけのことだ。日銀がお金を刷って国民に配る。それによって国民が豊かになる。
なんだか錬金術のようで、騙されたような気分になるかもしれない。もちろん、デメリットがない訳ではなく、無制限にできるわけでもない。
お店からしたら、2人ともが1万円持っているので、少し値上げして1袋6000円にしても売れるだろうと思うかもしれない。実際、6000円でも1袋であれば2人とも買うことができる。しかし1袋食べてしまったら、そのあとは2人ともコメを買うことはできない。これがインフレであり、金融緩和のデメリットである。
だから日本銀行がお金を刷ると言っても、コメがあまり上がり過ぎない程度に注意する必要がある。
欧米では昨年から、原油高や輸送コストの増大などでかなり高いインフレが起きているが、日本は全く別の世界である。今の日本では、目立つようなインフレは起きていない。
であれば、金融緩和を躊躇する理由はない。
お金がなければ刷ればよい。デメリットであるインフレだけに注意すればよい。そして今デメリットは起きていない。
たったこれだけのことが何故世間の常識とならないか、不思議で仕方がない。