新技
三連休最終日、ダンナサンは大好きな駅伝を観ていた。
出雲駅伝だ。
私が、その番組に出ていたアナウンサーを見て
久しぶりに見るけどフリーになってるのかな
と調べてみるとテレビ局を辞めていないことがわかった。
テレビ局のアナウンサーを長く続けている人がこの局は他にもいると、
同じ局の他のアナウンサーの名前を出そうと思ってるのに出てこないらしい。
そんなことは、アラカン夫婦の会話では日常茶飯事である。
ほら、男の人で、こんな体格の人で…○○に似た顔で…
そのヒントでは何もわからないけど、言いたいことはわかった。
それでもこちらも出てこない。
はいはい。
あの人でしょ。
あれに出てた。
こんな会話も日常茶飯事だ。
名前が出てこない時、できるだけ自力で思い出したくて、検索するのをぐっと我慢して
我々夫婦はそれぞれ頭の中で
あ…い…う…
と五十音を順番に辿っていき、思い出すきっかけを探っている。
でも、この日の私は違った。
ふふふはん
と声に出して言う。
音階付きで。
たまに、ぼんやり音の感覚で思い出すことがある。
ふふふはん
え、なになに⁈
とダンナサン。
ふふふはん
こわいこわい
と私を見る。
ふふふさん
はへへさん
はふへさん
!
かるべさん‼︎
すごい!
とダンナサン。
吐き出すように生み出すように
前傾姿勢になってポンと出た。
はー
すっきり。
で、なんの話だっけ?
となるのもいつものこと。