車椅子を押して•••
2007/09/19
(この記事は2007年、母がまだレビー小体型認知症と診断される前のものです)
母のために購入した車椅子が届いたのは、もうずっと前なのに、結局この夏は暑すぎて、車椅子で出かけることはなかった。
やっと今日の午後、延び延びになっていた近所の医者へ初めての受診に、車椅子に乗って出かけることにした。途中車椅子を降りて少し歩き、また乗ったりして、ゆっくりと15分近くかけて行った。
午後3時からの診察に、なぜか患者さんは全然いなくって超ラッキー。先生は評判どおり、とっても良い方で感動。母もすっかり嬉しくなってしまった。
母が尿検査(結局1滴も出ず、できずじまいだったが)の間、先生は私に、認知症についての検査をしに、専門の病院を受診するのも必要ではないかという話をする。
アルツハイマーであれば、初期ならばかなり効果のある薬があるし、ということだった。私もそれはもちろん考えたことはあるけれど、特に激しい物忘れというほどではなく、過去の記憶の取り違いや、誤った記憶、唐突にいきなり具体的な話を始めるので、何の話をしているのかさっぱり解からないといったことが増えたくらいだ。
先生は一応、認知症の簡単な問診をした。物の名前を記憶するのも、繰り下がりの引き算も、母はすべて全問正解だった。
介護保険の申請について先生の話を聞いた。要介護は認知症がなければ難しくなっているのが現実だけど、母の場合、要支援ならOKではないかということで、近いうち、申請に行ってこようと思っている。
好きなものだけでいいから、とにかく一生懸命食べること。一日中、家の中でもいいからよく歩くこと。そして援助を受けて、人と話す機会を増やすこと。
当たり前のことだけど、本当にその通り。それを医師の口(特に男性ね)から言われると、母の世代の人間は、実に深く心に沁みるものだ。
「嫌じゃなかったら、ワタシの顔を見に、仕事だと思って通ってください」とおっしゃる。母はもう、すっかり舞い上がっている。「すっかり気持ちがラクになりました」などと言っている。
1週間後にとりあえず、血液検査の予約を入れてもらった。別に入れなくてもいいんだろうけど、先にはっきりした予定があったほうが義務感で頑張れる人なので、私が提案した。
これでとりあえず一歩前進。ああ、でも私は久しぶりに、人格者を見つけた気がする。良かったなあ…。