優しさとは修羅の道。
私たちは皆、生まれたときには心に優しさを宿している。だが、ある時、気がつくのだ。優しさとは、決して平坦な道ではなく、むしろ険しい道のりであることを。さらに言えば、人に優しくするよりも、人に優しくされる側の方がはるかに楽だと。
だから、優しさはいつしか心の奥に仕舞われ、ホコリを被り、色褪せていく。局所的に優しい気持ちを持つことは誰にでもできる。街角で、普段は粗暴な態度を取るチンピラが、捨て犬にそっと手を差し伸べるように。だが、それは一瞬の優しさに過ぎない。
「人に優しく、自分に優しく」などと簡単に言うが、その気持ちを持ち続けることは並大抵のことではない。だからこそ、優しさを保ち続ける人は、何にも勝る価値を持っているのだ。
優しさを持ち続ける者は、光の道を歩むのではなく、苦しみと闘いながら進む修羅の道を選んでいるのだと、改めて感じる。