信用が、甘い話に負ける時。
信用とは、一度失えば取り戻すのが難しいものだ。だからこそ、私たちは慎重にならざるを得ない。人と生きていく以上、自分を信用してもらう必要があるし、他人をある程度信用することも求められる。しかし、誰彼構わず信用してしまうのは危険だ。
少なくとも、その人の名前や出身地、好きなもの、何を見て笑い、何を見て泣くのか。それくらいを知らずに信用するのはリスクが高い。不思議なことに、名前しか知らない相手を簡単に信用してしまう人もいる。
例えば、「これを買えば幸せになれる」という決まり文句と共に、実際に壺やブレスレットを売りつけてくる話だ。そんな胡散臭い相手の話を簡単に信じる人は、立ち止まって考えてほしい。
真摯に人付き合いをするなら、相手の背景や価値観を知る努力を怠ってはいけない。何も知らない相手の言葉を鵜呑みにする一方で、少なからず関係を構築した上で、忠告する友人や家族の声には耳を貸さない。それは奇妙な光景ではないだろうか。
人のことを全て知るのは到底無理だが、知ろうとする意識は欠かせない。その努力なくして、信用は生まれない。少なくとも私はそう思う。