『フィスト・オブ・ノーススター 北斗の拳』ダブルキャストに関する覚書 前編

 4日までアーカイブ視聴可の『フィスト・オブ・ノーススター 北斗の拳』配信を、ダブルキャストのどちらで観るか迷っている方の参考になれば、と思って覚書を兼ねて記事を書きました。
 前編(リン、トキ、シン)、後編(ラオウ、ユリア、レイ、ジュウザ役替わり)予定の、まずは前編です。役柄前につけるキャスト名については敬称略です。 


ダブルキャストに関する覚書 前編

① リン(近藤華さん、山﨑玲奈さん)
 華奢で健気な一少女(近藤リン)と、カリスマ性のある聖少女(山﨑リン)という印象です。芯の強さや聡明さは2人のリンに共通しているけれど、山﨑リンは強さが外から見てもわかる形で出てきている未来のリーダー感があり、近藤リンは勇気を出して一歩を踏み出したばかり。
 拳王軍に村人たちが立ち向かう場面で、その違いが顕著です。
 村人たちの反撃のきっかけが、山﨑リンの時は「この子について、立ちあがろう!」で、近藤リンの時は「この子を死なせるわけにはいかない!」なんです。近藤リンの時の方が、村人たちの必死さが感じられました。
 ミスミじいが(犠牲になるなら若者より自分が先に!)と思えば、若者たちは(弱い者より自分が前に出る!)と。特にそれを感じたのが、梯子を持って反撃に出る瞬間、一人の女性が凄い勢いでリンを引き戻すところです。(ここ、撮影アングルの違いだけでなく、山﨑リンバージョンにはなかったような……)
 歌声も山﨑リンは劇場を震わせる力強さがあり、近藤リンは少女の心の揺らぎのままの繊細さが魅力です。
 観ているうちに、2人のリンは「レ・ミゼラブル」のガブローシュとアンジョルラスじゃないか? と思いました。 

 どちらも魅力的で迷ってしまう……けど、近藤リンに一票。『「永訣の時』で、トキがラオウに歌いかける時、二人をじっと見つめる眼差しに心奪われました。

② トキ(加藤和樹さん、小野田龍之介さん)
 お二人とも歌が上手くて、耳福です。レイ(伊礼彼方さんor上原理生さん)とのデュエットが耳福のダブル!
 加藤トキは薄命、薄幸感が強く、兄弟への愛は深いが、その他の人についてはややクールな印象。小野田トキは歌声からして慈愛の人で、悟りを得た人のよう。加藤トキは宿命に殉じ、小野田トキは兄弟愛に殉じたのかもしれません。

 このお二人は選び難く、一方を観るともう一方を観たくなる魔のエンドレスダブルキャストです。

③ シン(植原卓也さん、上田堪大さん)
 全くタイプの違うシンでした。上田シンは実は良い人なんじゃないかと思わせ、植原シンは粘着質で心底性格悪そう(←誉めてます)です。拳王軍に交じってのダンスでは、上田シンは武道の型を決めていくようなストイックな格好良さがあり、植原シンはキレキレダンスがナルシスティックで(←誉めてます)目を引きました。歌は上田シンの方が安定していましたが、片手側転で植原シンに一票を。
 いずれのシンにしましても、前半の最低男ぶりに反して、後半の覚悟、とりわけケンシロウとの戦いは格好良かったです。


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