見出し画像

#いい歯のために



 1

 

小生の年齢はすでに古稀を過ぎている。
40年以上懸命に働き、ようやく小泰を得るに至ったように感じている。歯はまだ28本残っているが、これは親知らずを含めた数であり、充填や被せ物をした歯、抜けてしまった歯もある。

 月に一度、峠の山の中にある温泉に通っている。その途中、馴染みの飯屋で食事をとるのが恒例だ。この店のイワシの天ぷらが特にお気に入りである。若い頃から食べることが好きで、今もそれを楽しめるのは大きな幸せだと思う。昨日も峠の温泉に行ってきたが、サウナ室で温泉友達と「歯」の話になった。 

若い頃は梅干しの種を歯で割るくらい丈夫だったんだ。歯医者には『油断してはいけない』と言われていたけど、ご飯と一緒に食べていると梅干しの種のことを忘れてしまって、ガツンと噛んで歯が割れてしまった。それで一本がダメになると隣の歯も悪くなり、次々に悪化したんだよ。歯の膿が鼻に回って蓄膿症にもなってしまった。それがきっかけで体も壊してしまったんだ。」

温泉友達の話を聞いて、小生もかつての体験を思い出した。現役時代、寿司屋で酒を飲みながら寿司を食べていたときのことだ。突然、奥歯に衝撃が走った。口から食べ物を出してみると、小さな白い石が混じっていた。それから歯が痛み始め、かかりつけの歯医者に行き、差し歯にしてもらった。しかし、その歯は次第に動揺が激しくなり、結局抜歯することになった。

食べることが大好きな小生だが、奥歯が一本抜けただけで噛む力が大きく低下したのを実感した。義歯を試してみたものの、どうにも違和感が拭えず、結局使うのをやめてしまった。このままでは二本目の歯がダメになったら取り返しがつかない、と強く思い、それ以来、歯のケアに本格的に取り組むようになった。

 


50歳を過ぎた頃、関西から東京へ引っ越した。住まいは大井町駅から池上通りを少し歩いたところにあった。便利な立地で、近所で必要なものはほとんど揃った。小生には妻と娘がおり、彼女たちも一緒だった。

妻の母は30代で総入れ歯になったと聞いている。その影響もあってか、妻は結婚当初から「歯が悪い」とよくこぼしていた。妻の歯は白く大きめで一見丈夫そうだったが、実際は問題を抱えていた。職場の近くにあまり流行っていない歯科医院があった。しかし、ウチの職場では評判よかったので、小生は妻をその歯科医院に連れて行き、治療を受けさせることにした。治療は痛みを伴うこともあったが、2年以上かけて徹底的に悪い箇所を治してもらった。その後も何度か歯の問題が生じたが、その都度お世話になり、おかげで妻は現在も入れ歯なしで生活できている。

 ところが、東京に引っ越してから妻の前歯が痛み始めた。マンションから歩いて2分もかからないところに2軒の歯科医院が並んでいた。どちらに行くべきか迷った。一軒は日曜祝日休みなしであった。あと一軒は普通の目立たない歯科医院だった。小生たちは目立たない普通の歯科医院を選んだ。 

院長は若手の先生で親切で丁寧な治療をしてくれる人だった。家内の治療済みの歯をみて絶賛してくれたらしい。妻の歯根は先が曲がっているらしいのだが、神経をとったその先まできっちり充填されていること、それから被せ物の縁が歯質とぴったりあっていることが素晴らしいとの理由だった。

お蔭で20年以上、妻の歯は大丈夫だった。

その後、先生から治療対象の前歯について説明を受けた。妻の右の前歯は先端が少し隣の歯に交差して前へ出ていた。気にするほどでないと小生は思っていたが、妻はずっと気にしていたらしい。いくつになってもきれいになりたいらしい。妻はオールセラミックの歯を選択した。右の前から2番目の歯も人工の白い歯だったが、歯茎が少し黒ずんでいた。主治医によると、オールセラミックであれば歯茎の黒ずみをほとんど防げるとの説明だった。費用は高かったが、払えない額ではなかった。東京の住まいは狭く、まとまった休みがとれると旅行に出かけていたが、旅行を一回やめることで捻出できる程度だった。治療後、オールセラミックの歯がきれいに仕上がり、妻のお気に入となった。あれから10年以上経つが、今でも変わらずきれいである。歯茎の変色もおきていない。 

娘もこの先生の診察を受けた。歯が痛くなったのがきっかけだったが、前歯のねじれが気になると話し、矯正を希望した。小生は「気にするほどではない」と反対したが、娘は意志を曲げなかった。働いていた娘は自分で費用を負担すると言い、矯正治療を始めた。治療は忍耐が必要で、上下4本の歯を抜き、アーチ状のワイヤーを装着した。最初は特にワイヤーの調整ごとに痛みがあったようだが、1年ほどで見違えるほど美しい歯並びになり、表情もよくなったように感じた。その後も保定装置を装着し、トータルで2年近くかかったが、娘は大変満足していた。

特に良かったのは、矯正をきっかけに娘が自分の歯を大事にするようになったことだ。歯間ブラシやデンタルフロスを使い、丁寧に手入れをする習慣が身についた。今も娘のきれいな歯並びは保持できている。

こうして、小生も妻も娘も、名医に恵まれたおかげで、現在も自分の歯で食事を楽しむことができている。これは本当にありがたいことだ。

 


3 


小生の歯磨きツール


我が家の歯に関しての思い出を語ってきたが、歳をとるとますます歯は大事だと思うようになった。年齢相応に歯も傷んできているが、何とか現状を維持するために努力をするようになった。以下に、小生が実践している歯のケアについてまとめてみる。

1)     食後の歯磨きとぶくぶくうがい 

基本的に、食事やお菓子を食べた後は必ず歯を磨くようにしている。歯を磨かないと気持ちが悪く、余程のことがない限り、食後歯を磨いている。

ぶくぶくうがい、これは意外にも効果があるように思う。口に含んだ水を歯の間に勢いよく通す要領でうがいをする。1分も続けられないが3回はトライするようにしている。
歯磨きの前にこのぶくぶくうがいをするようになってから悪い歯の調子がよい。小生の左下の大臼歯は差し歯で治療をしてもらったが、歯根が割れているらしい。油断すると直ぐに疼いて歯茎が腫れる。それが3カ月に一回ぐらいの割合で起こっていたが、このぶくぶくうがいをするようになってから腫れて痛むことがなくなった。 

2)     磨き方を工夫する 

歯と同時に、歯茎や口蓋、舌など口腔全体をブラッシングしている。特に歯周病が心配なので、歯茎のブラッシングは入念に行っている。

3)     歯ブラシや歯磨き粉の選択、ベストなものを探すこと 

歯ブラシは用途に応じて2種類を使い分けている。

  • つまようじ歯ブラシ
    歯と歯の間に入りやすく、歯の間の汚れをしっかり落とせるブラシです。歯科医院で箱買いして使っている。

  • ザプレミアム歯ブラシ
    先の細い毛を密集させた歯ブラシで、汚れがよく落ちるうえ、歯茎にも優しいのが特徴です。これで磨くと歯が驚くほどツルツルになり、もっと早く出会いたかったと感じるほど気に入っている。

 また、デンタルフロスや歯間ブラシも併用している。歯間ブラシは3種類を揃え、部位ごとに使い分ける。カバーをつけて保管すれば劣化が少なく、長く使える。歯磨き粉は2種類を用意し、その日の気分や状態に応じて使い分けている。  

4)     定期的な歯科検診 

歯医者での定期検診も欠かさないこと。歯と歯肉の境目のポケットに溜まる歯垢は、自分では清掃できないため、歯科医院でクリーニングしてもらう。

 


以上が、私が実践している歯のケアです。「芸能人は歯が命」というフレーズが一時期話題になりましたが、年を重ねるほどに、自分の歯を守る努力がいかに重要かを実感しています。健康な歯で食事を楽しめることに、感謝の気持ちを忘れず、これからもケアを続けていきたいと思います。

 

 

いいなと思ったら応援しよう!