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恋の行き先。〈2〉

どうして抱かれるとこんなに身体がだるくなってしまうのだろう。
汗ばむぐらい身体が熱くなっていき、頂点までいくと一気に力が抜けてしまう。
ベッドに倒れ込んだまま動けない。

彼は少し休むとキッチンに行った。
男女の違い?
どうして動けるの?
年齢差?

冷えたミネラルウオーターをグラスに入れて持って来てくれた。
彼は音楽を鳴らした。
あ!
この曲。

私「二人が一緒にいるとき、この曲みたいだなと思うやつがあるの。歌詞の意味はわからないけど。」
敦史「へえ?誰の曲?」
私「ENHYPENのBills(別れの歌っぽいけど)。」
敦史「はっ!まさかのKPOP!ええーっ?」
私「メンバーに敦史に似た感じの人居るよ。」
敦史「マジ⁉︎」

そのまさかの曲をiPadで鳴らしてくれている。
この曲が入っていたCDは知人がくれたものだった。
私が自分の車を運転する時は、音楽を聴く時間でもあり、
もらったCDをかけてみると、案外良かった。
アルバムの中にはピンと来る曲があるものだけど、
惹かれる曲がBillsだった。
私はその曲を聴くと何故か敦史との時間を思い出した。

敦史「聴いてみたら、いいメロディだと思ったよ。でも、別れの歌詞は嫌だね。
…そろそろ身体洗ってあげようか?動ける?」

なすがままに全身をボディソープで洗われていると、泡のついた指を膣に入れた。
私「ダメ、そこは粘膜で、石鹸で洗えないの。痛くなるから」
敦史「そうだったんだ!初めて知った!」
そんなに濯がなくていいし、じっと見なくていいよ…。

バスタオルで身体を吹き上げられ、敦史のスウエットの上下を着せられた。
自分の服をだぶらせて着ている私を気に入っているようだ。

ああ、すっかり忘れていたが、彼が買おうとしているハイエースの話しをして、止めないといけなかった。
私「そこのカタログにある車、ダメだよ、勿体ないから。それにね、もう会わ…んンッ」
舌を吸われてしまって、喋れない。

敦史「その話しは終わり。
もう少し身体がしゃんとしたら、カラオケにちょっとだけ行ってみない?気分変えたいから。」

カラオケ店に着いた。
私は歌でハイエース棚上げを抗議することにした。
しかし、レパートリーが少ない。
よし!とりあえずこれだ!
歌唱力など関係ない。
この歌、古くてわからないでしょ?

曲名 マイ・ラブ

離れても  君のことは忘れないよ
愛は今も
I  gave  you  my  love

(あっ、ちょっとマズい歌詞だった?
彼、もしかして気に障っちゃう?)

別れても 君を想い生きてるよ
愛は今も
I  gave  you  my  love

(ああ〜、これからの二人を連想しすぎて気まずい…)

敦史「何その歌?」
ムッとして、

敦史「これ歌って、踊って。」
画面に現れたマイケル  ジャクソンの、ビート・イット。
敦史「ゲリラダンスで踊ったんでしょ、まだ踊れるはず。始まってるよ、早くぅ!」

うう、仕返しっぽい。
ゲリラダンスのことは話さなければよかった。


つづく


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