4位入賞! 遊戯王2012.9制限 ゲートボール 調整の軌跡
1.はじめに
初めまして。主に過去レギュレーションの2011.3制限ゲートボール(以下1103と記載)で遊戯王をやっていますSENTIMENTAL StepSと申します。
本記事は2012年9月禁止制限で行われる熱波亭レギュレーション(以下1209と記載)での解説記事となります。
以下は1103で筆者が書いた過去記事になります。
※過去記事も本記事も全文無料の投げ銭方式です。
是非ご一読頂ければと思います。
この環境ではCSへ出始めておりましたが、環境デッキを使っていても雑な手なりプレイの為、当然戦績も奮いませんでした。それから今まで様々な繋がりや紆余曲折を経ながら遊戯王を取り組んでいたお陰で知識やプレイも身につき、今では当時の自分が如何に適当な手なりプレイをしていたか思い返せる程度には成長出来たように思います。この1209環境は自分がCSの参加に熱中していた時期でもあり、ゲートボールの中でも特に思い入れが強いです。直近のゲートボールは1103が主流ですが、今回同1103大会を頻繁に開催している寒波亭様が主催する1209大会と言う事もあり、普段はチーム戦しか出場しない筆者も参加する事を決めました。
1103では【ガジェット】を筆頭として様々なデッキが存在し、【TG代行天使】や【暗黒界】の優勝等を皮切りにメタが大会毎に目まぐるしく変化しています。1103(選考会)当時では開催日と収録パックが同日で”PHOTON SHOCKWAVE"使用不可の為か≪エヴォルカイザー・ラギア≫を主体とする【ラギア】が存在していなかったように、僅かな期間の差で使えなかったカードや≪血の代償≫の特別レギュレーション変更等で当時と今の分布が全く違っていたり、当時と今のプレイヤーの思考も変わっていたりでカードプールに一切の変化もない中、毎大会毎に全く同じ分布(比率)にはならない奥深さが非常に面白いところだと思っています。
そんな中、筆者が今回熱波亭に3回参加し
2023/10/08 第一回 熱波亭ベスト8 (代償マシンガジェ)
2023/11/23 第二回 熱波亭予選落ち(代償マシンガジェ)
2023/12/03 第三回熱波亭(3人チーム戦) ベスト4
優勝こそ出来なかったものの、2/3決勝トーナメントへ進出出来ました。この環境のnoteや過去文献も少なく、ここまで必死に調整した事もあり軌跡を残そうと本記事を執筆しました。過去記事同様、この記事もゲートボール活性化の為に全文無料の投げ銭方式にて公開しております。投げ銭頂ければ次回の記事の執筆の励みになります。途中カード名を省略する事がありますがご容赦ください。デッキ構築や考え方の一助になれば幸いです。
2.環境デッキ評価
環境に存在するデッキの筆者の評価です。プレイする環境や採用カードによって異なります。
※個人的な考えです
S
【炎星】(≪立炎星ートウケイ≫が入ったアーキタイプのもの)
A
【炎星】(≪立炎星ートウケイ≫が入っていないアーキタイプのもの)【水精鱗】【ゼンマイ】【ガジェット】【ヴェルズ】
B
【カオスドラゴン】【セイクリッド】【魔導】 【HERO】【アライブHERO】 【ギアギア】【暗黒界】【炎王】【聖刻】【甲虫装機】【TG】【カラクリ】【インフェルニティ】
以上の評価です。記載されていないデッキもあるかと思いますが、トーナメントシーンでよく見かけるアーキタイプのみに絞り今回は記載します。
評価基準としては
①メインギミックの成立における安定感
②メインギミックの成立までに必要な不純物(極力素引きしたくないカード)の枚数
③致命的なメタカードの有無と、環境の中でのそのカードの採用率
④自由枠の多さ
⑤≪エフェクト・ヴェーラー≫や≪増殖するG≫等の手札誘発に対する耐性
になります。人によって評価基準も異なり、あくまで筆者個人での評価基準と評価です。
3.10/08第一回熱波亭でのガジェットのデッキ選択理由
1209を取り組むにあたり、1103との相違点が幾つかあります。ざっと挙げると
①≪大嵐≫の存在
②モンスターのパワーが全体的に上がった事
③≪エフェクト・ヴェーラー≫の採用率や≪増殖するG≫の存在
④≪激流葬≫≪聖なるバリアーミラーフォースー≫が2枚ずつ使える事
⑤≪氷結界の龍 ブリューナク≫≪氷結界の龍 トリシューラ≫の禁止化
これらを踏まえてデッキ選定に入ります。
全てのデッキをある程度回したところで、とりわけ上位tierのデッキは以下の点が気になって選択肢から外しました。ただ、勿論それぞれのデッキのメリットもあります。
【水精鱗】→≪ソウルドレイン≫≪増殖するG≫≪スカル・マイスター≫と言った(比較的辛いまたは致命的な)メタカードの存在。デッキ内に素引きしたくないカードの枚数が他デッキより多く引きムラが発生する点、それらを軽減する為に行うデッキ枚数の増量がより安定感の低下に繋がっている事やメタカードへの回答を引く確率の低下を招いている事。
【ゼンマイ】→相手の盤面によるキルルートの変化、デッキ内ゼンマイ枚数によるルートの多岐化によって行う長期戦での疲弊。一部ケア出来る状況もありますが、≪増殖するG≫≪群雄割拠≫や≪激流葬≫等メタカードへの耐性。また、【炎星】というギミック的に相性不利寄りな対面が環境で非常に多い事。
【ヴェルズ】→≪レスキューラビット≫が絡まない一発目に出すエクシーズモンスターへの召喚無効、除去がとても重い1:2交換になってしまう事。先攻ならそれらは無視出来るものの、後手をとった際に常にそれらの罠を超えないといけないハードルの高さや≪聖なるあかり≫≪群雄割拠≫等の比較的きつい(致命的な)メタカードの存在。【ゼンマイ】同様【炎星】というギミック的に相性不利寄りな対面が環境で非常に多い事。
様々なデッキを触り【炎星】のデッキパワーが頭一つ抜けていると感じましたが、他に感触の良かったデッキが今回使う【ガジェット】です。【ガジェット】のアーキタイプの説明についてはここでは割愛しますが、【ガジェット】は1103同様に構築の自由度が高い事と致命的なメタカードの少なさを評価しています。また、2.環境デッキ評価項の評価基準①〜⑤を【ガジェット】は全てを満たしていると感じています。ただメリットばかりでなく、メインギミックを達成するにあたって環境に多いであろう【炎星】の存在が明らかに向かい風です。【炎星】の存在も含めて、ギミックの成立にあたっての懸念事項は以下だと考えます。
①トップシェアが予想される【炎星】の≪暗炎星ーユウシ≫≪勇炎星ーエンショウ≫、【水精鱗】の≪海皇の狙撃兵≫効果発動のトリガーにされやすい。
②≪ライオウ≫の存在
③≪大嵐≫への耐性
上記懸念事項はありましたが、①は攻撃反応等罠を増やす事で対応。ガジェットを戦闘破壊から守るカードを増やす事は実質的には≪二重召喚≫や≪ブリキンギョ≫の増量と同義だと考えています。②に関しては≪ライオウ≫自体が【炎星】に効きづらい事や、無理なく採用出来るデッキもいなかったり、≪ライオウ≫1枚でゲームが決まるようなデッキも少なく≪ライオウ≫自体の採用がほとんどないのではないかと予想しました。仮に1本目先攻で≪ライオウ≫をプレイされたとしても①でメインデッキの攻撃反応系を増している為≪ライオウ1枚で詰むことも考えづらいです。③に関しては罠を採用する以上、相手の≪大嵐≫の発動がそのまま負けに直結するリスクを覚悟せざるを得ません。リスクより罠を採用する事でのリターンを重要視し、罠の採用を決めました。初手6枚目までに≪大嵐≫を素引きする確率は15%程度(≪強欲で謙虚な壺で捲れる確率や、中盤での素引きは除く)であり、数字だけを見れば≪大嵐≫を割り切った85%のゲームに勝機を見出すゲームプランの方が全体的な勝率が高くなると考えました。当然、確率を飛び越え≪大嵐≫を何回も被弾する事はあるとは思いますが、運が悪かったと諦めましょう。こちらが大嵐に対抗出来る≪神の宣告≫を引く確率もイーブンであり、自分が≪大嵐≫を引く確率も考慮すると総合的な勝率は≪大嵐≫を割り切るゲームプランの方が高いと考えています。第一回大会で構築が読まれづらい事や、【炎星】の構築やプレイ方針も完成されていないだろうと考え、そこに隙を突けそうな【ガジェット】を選択しました。
これらを踏まえて実際に10/8第一回熱波亭に持ち込んだ構築が以下になります。
4.使用構築及び構築意図
①10/8第1回熱波亭使用構築
■・メインデッキの≪マシンナーズ・ギアフレーム≫と≪マシンナーズ・フォートレス≫の枚数について
ガジェットを9枚採用する都合上、手札に来たガジェットを捌く為に≪マシンナーズ・フォートレス≫を1枚採用する事は確定でした。1103では複数枚積まれる事が多いこの組み合わせですが、1209では≪ギアギガントX≫で≪マシンナーズ・ギアフレーム≫をサーチ出来る事から1枚ずつでの採用です。
・≪ブリキンギョ≫と≪二重召喚≫の枚数について
≪ブリキンギョ≫は≪エフェクト・ヴェーラー≫を発動されてこちらの展開や返しを妨害される事を懸念したのと、≪ギアギガントX≫からサーチ(サルベージ)も可能な事から2枚での採用です。実際の運用面では≪ブリキンギョ≫2枚採用は気になりませんでした。≪二重召喚≫は≪エフェクト・ヴェーラー≫の影響を受けづらい点を評価している事と、ガジェットと≪マシンナーズ・ギアフレーム≫を引き被った際に両方機能する事から3枚での採用です。
・罠の采配について
【炎星】を重く見つつ、第一回大会の為幅広い範囲を見れるようなカードを採用しています。≪聖なるバリアーミラーフォースー≫は過去レシピを見ても採用も多くなく、サイド採用もまばらなカードです。その為1本目からケアしてくるプレイヤーが少ないと予想しメインデッキから採用する事で、1:多交換が期待出来るカードと考え採用しています。実際の対戦や調整においても警戒される事がほとんどなく効果的に使えた場面が多かったです。
■エクストラデッキ
・≪No.106 巨岩掌 ジャイアント・ハンド≫の2枚採用
このカードは先攻でもプレイする機会があり、1枚目が突破された後の詰めの場面で使えるように2枚採用をしています。実際の対戦や調整でも使う機会はありました。他は特筆すべき点がない為割愛します。
■サイドデッキ
・≪聖なるあかり≫について
基本は対【ヴェルズ】に対するカードですが、【甲虫装機】【インフェルニティ】のような闇属性モンスター主体の他のデッキに対しても有効です。≪群雄割拠≫でない理由は≪群雄割拠≫だと成立した際の相手の≪ヴェルズ・オピオン≫をこちらがエクシーズモンスターで超えられなくなる為です。続くターンに繰り出される追加の≪ヴェルズ・ケルキオン≫召喚もケア出来る(※セットは出来ますが)為ガジェットの召喚から捲れる可能性が高くなります。≪群雄割拠≫は機械族統一の【ガジェット】と一見相性が良さそうに見えますが、≪ギアギガントX≫を超える攻撃力2301以上のモンスターを出してくる事がメイン戦術のデッキだとこちらの要求値があがるピーキーなカードと言う認識です。
・≪プライドの咆哮≫について
対【炎星】と【ヴェルズ】を意識したカードです。ダメージステップの順序から対【炎星】では≪炎舞ー天璇≫をダメージ計算前に使われた後の炎星下級モンスターを戦闘破壊可能です。また、このカードならではの利点として自分のガジェットモンスターが相手モンスターへ攻撃した際にも発動可能な点があり、このカードによって積極的なアプローチを仕掛けられる点も見逃せません。
・≪方舟の選別≫について
過去レシピや第一回熱波亭、第二回熱波亭の流れているレシピを見ても採用してるプレイヤーが全くおらず、密かに目をつけていたカードです。【炎星】の先攻≪炎星候ーホウシン≫+≪炎星師ーチョウテン≫サーチの動きが成立し、先攻2ターン目の≪炎星師ーチョウテン≫召喚の動きに対してプレイする3枚目の≪神の警告≫のような運用目的での採用です。召喚無効の為、≪炎舞ー天権≫や≪禁じられた聖槍≫を盾にした強気のプレイに対してもこれらのカードのケア範囲外から相手の後続を断つ事が出来ます。このカードの真価は【炎星】ミラーでこそ発揮しますが、【炎星】以外のデッキが使用する場合でも上記運用目的で採用出来たり、【ガジェット】のような同一種族の採用が多いアーキタイプに対しても有効の為【炎星】以外での活躍も見込めます。
②11/23第二回熱波亭使用構築
①のデッキを基盤とし、トップであろう炎星に寄せた構築にしました。
主な変更点は以下です。
・メインデッキの≪マシンナーズ・ギアフレーム≫≪マシンナーズ・フォートレス≫3枚ずつの増量
・≪二重召喚≫3→2枚
・≪禁じられた聖槍≫不採用と≪盗賊の七つ道具≫の採用
・メインデッキ≪激流葬≫≪奈落の落とし穴≫不採用と≪次元幽閉≫の採用
≪激流葬≫は対ゼンマイの為サイドデッキへ
・サイドデッキ≪増殖するG≫の不採用
・サイドデッキ≪オーバースペック≫の採用
・サイドデッキ≪スターライト・ロード≫の採用
・≪ナイト・ショット≫のメインデッキサイドデッキ合わせて2枚採用
・メインデッキの≪マシンナーズ・ギアフレーム≫≪マシンナーズ・フォートレス≫3枚ずつの増量
【炎星】の≪立炎星ートウケイ≫≪暗炎星ーユウシ≫始め、炎舞永続の攻撃力バフがかかっていなかったり、≪炎舞ー天璇≫等のコンバットトリックが存在しない場合に下級の素の打点を超えられるのと、初動のガジェットを引けない場合の誤魔化しも兼ねて3枚ずつの採用にしました。
・≪二重召喚≫3→2枚
他のカードの採用をする枠の都合上減らしました。≪次元幽閉≫のような攻撃反応罠、ガジェットを1ターン守るカードの採用枚数を増やす事でそれらが実質的な≪二重召喚≫の役割も果たしており、減らしていてもあまり気になりませんでした。≪二重召喚≫はガジェットを引いていなければ機能しづらく、それ自体はレアケースではありますが、ガジェットのサーチ効果を≪エフェクト・ヴェーラー≫で妨害されたり、ガジェットの召喚に対して≪神の警告≫を発動される事も考えると決して少なくないシチュエーションではありません。単一の性能で考えれば延命や除去を行える罠カードを増やす方が理に適っていると思っています。
・≪禁じられた聖槍≫不採用と≪盗賊の七つ道具≫の採用
【炎星】と調整している際に≪禁じられた聖槍≫で守ったモンスターで相手の炎星下級モンスターを対処(除去)出来ないシチュエーションが多々見られた為、罠カード全般にケアが効く≪盗賊の七つ道具≫を採用しました。≪禁じられた聖槍≫ならではのコンバットトリックのメリットも捨て難いですが、上記シチュエーションを重く見て不採用としました。
・メインデッキ≪激流葬≫≪奈落の落とし穴≫不採用と≪次元幽閉≫の採用
≪奈落の落とし穴≫に関してはデッキ内の採用モンスターの大半が≪立炎星ートウケイ≫にも満たない事から≪立炎星ートウケイ≫始め先攻1ターン目に出された【炎星】の下級モンスターに対して無力で、且つ自身の効果から≪炎舞ー天権≫をセットされる事で容易にケアされたり、≪炎星師ーチョウテン≫から墓地の≪立炎星ートウケイ≫を特殊召喚し、≪炎星候ーホウシン≫特殊召喚までの過程に対して使いたいケースではこちらがアドバンテージを損する形となったり、≪水精鱗ーアビスリンデ≫以外に当てづらい【水精鱗】の存在だったり、≪侵略の汎発感染≫がメインデッキから複数枚採用されている【ヴェルズ】だったり、召喚特殊召喚時にアドバンテージを獲得していくモンスターの増加だったり有効的に使える機会が少ない上に後攻時に機能しにくい事もあり、不採用としました。≪激流葬≫は攻撃反応罠の増量を優先した結果、メインの採用罠の枠の都合上サイドデッキへ移しました。≪奈落の落とし穴≫とは違い、ガジェットで対処出来ない先出しされたモンスターを対処出来るものの、弱い使い方を強要されたり、≪炎星師ーチョウテン≫から≪立炎星ートウケイ≫を蘇生し≪炎星候ーホウシン≫成立の動きに対して発動しても≪立炎星ートウケイ≫のサーチ効果も相まってこちらが損をするような交換となったり、≪水精鱗ーアビスリンデ≫に対して発動しづらかったり、≪奈落の落とし穴≫と同様、召喚特殊召喚時や破壊された時にアドバンテージを獲得するモンスターの増加も相まって使いづらく感じました。自分の場のガジェットを巻き込む可能性もあり、アドバンテージ的には損をしていないものの「ガジェットを守るカードを増やす」と言う方針とも合わないカードであった為サイドデッキへ移しました。
・サイドデッキ≪増殖するG≫の不採用
このカードが効く環境に多いデッキは【ゼンマイ】【水精鱗】しかいない認識です。このカードは≪スカル・マイスター≫≪ソウルドレイン≫のような相手の動き自体を止めるカードではなく、あくまで相手の動きを牽制するカードだと思っており、状況にもよりますが、当然相手がドローを無視してプレイをしてくる可能性も大いにあり得ます。強力なカードですが、上記のような相手の動きを止めるカードや直接除去を行えるカードの採用を優先したい都合上抜けていきました。今後の分布や入賞レシピの構築次第では採用もあり得ます。
・サイドデッキ≪オーバースペック≫の採用
対【炎星】用です。第一回大会の結果から【炎星】の≪スターライト・ロード≫の採用枚数が少なかったり、観戦している中で前のめりに攻めてきたり、このカードをケアしないプレイヤーも見受けられ、こちらの方が有効だと考え採用しました。フリーチェーン故タイミングを選ばず任意のタイミングで発動出来る強みがあります。
・サイドデッキ≪スターライト・ロード≫の採用
主な採用目的はサイド後こちらが選択権ある場合に後手からの≪大嵐≫をケアする為ですが、このデッキはエクシーズ召喚がメインのデッキなのでモンスターが高頻度で2体以上の横並べとなる展開になりやすく、≪激流葬≫≪聖なるバリアーミラーフォースー≫による複数破壊を他のデッキより受けやすいです。≪大嵐≫だけでなく、それらのカードに対しても発動出来る機会が多いと考えての採用です。
・≪ナイト・ショット≫のメインサイド合わせて2枚採用
様々なデッキのサイド後後手をやる中で相手の罠を超えられずに負ける事が多く、直接的な伏せ除去カードを増量したような形です。(ニュアンスは違いますが)チェーン不可の一文は強力で、先攻で置かれた【水精鱗】の≪アビスフィアー≫、【ヴェルズ】の≪侵略の侵喰感染≫の効果を使わせずに安全に除去可能な点は≪サイクロン≫には出来ない芸当です。このカードを発動されたプレイヤーは本命罠を抜かれにくくする為に多くの伏せカードをセットしてくる事が予想されますが、そのプレイには≪大嵐≫の裏目が発生する為、伏せ方を撹乱させる点も見逃せません。ただ、他のカードをチェーンされ、そのカードにチェーンする形で対象のカードを発動された場合は破壊出来ないことに注意しましょう。
③12/3 熱波亭3人チーム戦使用構築について
ここまで【ガジェット】を解説しておいて何ですが、チーム戦での使用デッキは【炎星】で元々決めておりました。勝敗結果を自分で消化出来る個人戦と違い、チーム単位での勝利が要求される故足を引っ張らない勝率の高いデッキ選択をする事がベストだと思っているからです。冒頭の環境デッキ評価にも記載をしておりますが、【炎星】にも様々なアーキタイプが存在します。その中でも、爆発的なアドバンテージをもたらす【3軸炎星】を最初に触りました。下記のようなデッキです。
構築の細かい解説については割愛します。≪炎星師ーチョウテン≫から≪立炎星ートウケイ≫を蘇生し、≪炎星候ーホウシン≫からレベル3炎星をリクルートする動きは成立すればかなり強力な動きである事は理解出来ました。先攻時においては盤面に2300打点+レベル3炎星モンスター+手札にはサーチした後続が控えており、この動きをされた側は続く後続を断たなければ敗着が濃厚です。しかしながら、回していくうちにこの先攻時の動きの≪炎星候ーホウシン≫の効果に対して≪エフェクト・ヴェーラー≫がクリティカルとなる問題点が発生します。また、成立後も一見磐石なように見えますが【炎星】ミラーの場合≪炎星候ーホウシン≫リクルート先が≪立炎星ートウケイ≫の場合、表示形式や相手の手札の持ち方次第では捲られる事が多々あります。具体的には加えた後続を止めるカード①、≪立炎星ートウケイ≫の張替え効果を止めるカードor張り替えた後の≪炎舞ー天璣≫を止められるカード②(+あれば盤面のモンスターを対処出来るカード③)です。先攻側の残り手札にもよりますが。先攻展開が成立しても特に【炎星】ミラーにおいては意外と捲られる事に気付き、先攻≪炎星候ーホウシン≫に特化した動きは動きに対して要求される枚数(組み合わせ)や発生するリスクと得られるメリットが釣り合わないと判断し、【3軸炎星】は選択肢から外しました。次に触ったのが【4軸炎星】です。
≪立炎星ートウケイ≫の不採用に伴い、≪炎舞ー天璣≫へのアクセスが悪くなり、事故が目立つ結果に。安定感向上の為にメインデッキから≪レスキューラビット≫≪ブラッド・ヴォルス≫のギミックを入れましたが、≪レスキューラビット≫が≪エフェクト・ヴェーラー≫で無効にされたり、≪熱血獣士ウルフバーク≫で≪ブラッド・ヴォルス≫が蘇生出来なかったり、≪微炎星ーリュウシシン≫≪が≪炎舞ー天璣≫へアクセス出来なかったり、後手で機能しづらかったり、また≪微炎星ーリュウシシン≫の効果でセットした罠も≪炎舞ー天権≫をケアしたメイン1以外の除去でセットした罠カードが腐って意外と脆かったり、様々な問題点が浮き彫りとなりこちらも選択肢から外しました。そこで≪炎舞ー天璣≫へのアクセス手段を増やす為、再度≪立炎星ートウケイ≫を採用し、付随して≪炎星師ーチョウテン≫を枚数減らして採用した【混合軸炎星】を触ります。
最初に触れた【3軸炎星】と似ておりますが、レベル3の炎星モンスターのリクルートに特化した≪炎王の急襲≫を枚数を減らし、≪勇炎星ーエンショウ≫を複数枚採用する事でギミックの両立を図りました。≪勇炎星ーエンショウ≫を増やした分より安定感が増して非常に感触が良かったです。ただ、回していくうちにギミックの成立前に妨害を貰った場合等で炎舞カード自体へ触れられない場合の≪炎星師ーチョウテン≫が手札で浮く事が気になったのと、勝因の大半が≪立炎星ートウケイ≫≪暗炎星ーユウシ≫≪勇炎星ーエンショウ≫の2~3種類のモンスターの効果成立によるアドバンテージ勝ちである事に気付きます。そこで、それらのカードの獲得及びサポートするカードに繋がる≪強欲で謙虚な壺≫を採用し構築したらどうか?と構築の基盤が出来上がってきました。同時に【炎星】と言うデッキが「如何に≪炎舞ー天璣≫へアクセス出来るか」「如何に≪暗炎星ーユウシ≫のセット効果を成立させに行くか」の認識へと変わります。【炎星】ミラーに限らず、大半のデッキは≪暗炎星ーユウシ≫のセット効果や破壊効果が1~2回成立した時点でアドバンテージ面でも圧倒的な差になっている事が多いかと思われます。
上記基盤と戦術を意識してから調整を重ね、最終的に12/3 3人チーム戦に以下の構築を持ち込みました。
特筆すべき点は以下です。また【ガジェット】で採用していたカードでも、採用理由が違う場合においても記載します。
・≪熱血獣士 ウルフバーク≫の1枚採用
・≪勇炎星ーエンショウ≫の2枚採用
・≪立炎星ートウケイ≫の2枚採用
・≪炎舞ー天枢≫の2枚採用
・≪炎舞ー天権≫≪炎舞ー天璇≫の枚数配分
・メインデッキ≪デモンズ・チェーン≫3枚採用
・メインデッキ≪次元幽閉≫の採用
・メインデッキ≪盗賊の七つ道具≫の採用
・サイドデッキ≪昇天の黒角笛≫の採用
・サイドデッキ≪群雄割拠≫の採用
・サイドデッキ≪激流葬≫
・≪熱血獣士 ウルフバーク≫の1枚採用
記載したように基本は≪立炎星ートウケイ≫≪暗炎星ーユウシ≫でのゲームメイク及び勝利が多いですが、終盤詰めの場面や≪炎舞ー天璣≫での選択肢を増やす為に1枚採用しました。≪暗炎星ーユウシ≫では解決出来ない≪交響魔人マエストローク≫や≪発条機雷ゼンマイン≫等破壊耐性を持ったモンスターに対してのエクシーズモンスターでの解決が可能であったり、エクストラデッキの選択肢が増える分非常に良かったです。また起動効果なのも見逃せない点でレアケースではありますが、このカードが生存した場合墓地に対象がある限り毎ターン蘇生可能です。
・≪勇炎星ーエンショウ≫の2枚採用
メインデッキに1枚採用、またはサイドデッキに1枚採用や採用していないレシピも散見されますが、≪暗炎星ーユウシ≫と同様≪炎舞ー天璣≫を供給出来るカードである為採用しました。環境に多い【水精鱗】や【3軸炎星】を考えた場合にこのカードのトリガーとなる対象が多く安定感向上から3枚積みたいところですが、供給が相手依存の為3枚ではなく2枚採用に踏み切りました。記載したように、1枚目見えた時点でこのカードの2枚目を警戒しないプレイヤーも多く非常に良い采配でした。
・≪立炎星ートウケイ≫の2枚採用
徹底的な「安定感」を掲げている中で2枚採用に疑問を持たれるかもしれませんが、このカード自体は単体では機能せず、他に炎舞カードを持っていて初めて機能します。≪炎舞ー天枢≫からランク3エクシーズの選択肢も作れるように、且つ引きすぎないように2枚採用です。
・≪炎舞ー天枢≫の2枚採用
こちらも≪立炎星ートウケイ≫同様、「安定感」を掲げている中で疑問を持たれるかもしれませんが、≪立炎星ートウケイ≫と同じく単体では機能せずに他のカードと組み合わせが前提となるカードの為2枚採用です。基盤レシピの通り元々は1枚でしたが、調整していく中で炎舞魔法カードの素引きや≪暗炎星ーユウシ≫≪勇炎星ーエンショウ≫のセット効果が成立した際にもう1枚あったらな…というケースが稀に発生していた為2枚採用にしました。1枚でも問題なく運用は出来ると思います。
・≪炎舞ー天権≫≪炎舞ー天璇≫の枚数配分
最初は≪炎舞ー天権≫2枚≪炎舞ー天璇≫2枚の半々にしておりましたが、≪炎舞ー天権≫の「メインフェイズ1にしか発動出来ない」制約が重いシーンがあったのと、≪禁じられた聖槍≫や後述する≪盗賊の七つ道具≫のような補助カードを多くを採用している事もあり、≪立炎星ートウケイ≫のセットの選択肢を増やせるように≪炎舞ー天権≫を1枚にしました。実際の対戦では相手の≪精神操作≫に対して非公開のセットからこのカードを使用しましたが、大半がセットはしたものの有効的には使えませんでした。抑止力になっていたのかはわかりません。≪炎舞ー天璇≫は≪立炎星ートウケイ≫の場持ちを良くする目的と≪炎舞ー天権≫と違い発動タイミングを限定しない為≪立炎星ートウケイ≫と非常に相性が良く3枚採用でした。実際の対戦においても≪立炎星ートウケイ≫に≪エフェクト・ヴェーラー≫をプレイされ、このカードを合わせ引いてたお陰で相手の戦闘破壊を返り討ちにし返しで再度張替え効果を使って≪エフェクト・ヴェーラー≫をケア出来拾えた試合が幾つかありました。
・メインデッキ≪デモンズ・チェーン≫3枚採用
【ガジェット】の≪デモンズ・チェーン≫とは違い、このデッキでは効果無効で止めたモンスターを場に縛る事で今回の構築で枚数を増やしている≪勇炎星ーエンショウ≫の的を作れる事と、≪サイクロン≫の囮となれるメリットがあります。≪サイクロン≫で破壊されると妨害としては成立せず、心許ないかもしれませんが、メインギミックを≪炎舞ー天璣≫に依存している以上≪サイクロン≫を相手に消費させられれば結果としては御の字です。【ガジェット】でこのカードについて解説しておりませんでしたが、メインの理由は共通して対【炎星】において先攻で≪炎星候ーホウシン≫を成立させる動きの際に6枚目で後引きしても間に合って相手の後続を1枚断てるからです。上記動きに対して後攻から捲れる確率を上げる為と、幅広いデッキの先攻後攻問わず無難に使えるカードで且つ【炎星】が持つ≪サイクロン≫の弱点もカバー出来る事もあるから文句無しの3枚採用です。
・メインデッキ≪次元幽閉≫の採用
メインデッキに入っている主な相手の妨害カードが≪神の警告≫≪デモンズ・チェーン≫≪月の書≫のみであり、少し薄かった為このカードに白羽の矢が立ちました。他にも≪強制脱出装置≫≪激流葬≫のような他の汎用罠カードもありますが、【炎星】側に対する相手側のアプローチも考えてこのカードが現状最良の選択肢です。≪炎舞ー天璇≫をケアした≪交響魔人マエストローク≫の効果使用からの攻撃、【水精鱗】の≪水精鱗ーアビスリンデ≫、【炎星】の≪立炎星ートウケイ≫(≪炎星師ーチョウテン≫の蘇生効果もケア)、≪暗炎星ーユウシ≫を始めとしたレベル4炎星モンスター(≪熱血獣士ウルフバーク≫の蘇生効果もケア)、≪魁炎星王ーソウコ≫(墓地へ送られた時のリクルート効果もケア)と、環境に比較的少ないですがメインギミックで除去回避のカードを採用している【ヴェルズ】以外には刺さりやすく、メインデッキから採用しているレシピが全くない事で意表を突けて活躍しました。実際の対戦でも≪立炎星ートウケイ≫に対して攻撃してきた≪水精鱗ーアビスリンデ≫を除外し、ゲームが有利になりました。
・メインデッキ≪盗賊の七つ道具≫の採用
【炎星】ミラーにおけるサイドデッキから投入される≪好敵手の記憶≫≪しっぺ返し≫≪方舟の選別≫(≪方舟の選別≫は過去のレシピや当時のレシピも含めて自分以外に投入しているレシピは見られませんでしたが)等のメタカード、【炎星】以外のデッキでサイドデッキから投入される≪オーバースペック≫(【炎星】が採用するケースもありますが)、≪プライドの咆哮≫、メインデッキから想定される≪神の警告≫、≪聖なるバリアーミラーフォース≫≪次元幽閉≫のような攻撃反応や≪激流葬≫、対【炎星】における相手のまくり手段、妨害手段は基本的に罠カードでそれら全部のカードの裏目をまとめて解消してくれるカードです。このカードも≪方舟の選別≫同様、過去レシピや当時のレシピを見ても全く採用されておらず、意表を突けるカードでした。実際の対戦においてもドヤ顔で相手に発動された≪しっぺ返し≫に対してドヤ顔でこのカードを発動し返した時の相手の驚いた表情がとても印象的で、このカードを採用していて心から良かったと思いました。※事故っていたのと、結局≪しっぺ返し≫2枚目引かれて負けました。
また、【水精鱗】【ヴェルズ】のような≪サイクロン≫を打ちにくい対面においても非常に有効で、本命罠を見てから確実に止められる点や、それらの≪アビスフィアー≫≪侵略の侵食感染≫にも発動出来る点が魅力的です。
・サイドデッキ≪昇天の黒角笛≫の採用
【ヴェルズ】【ガジェット】を始めとしたシンクロモンスター、エクシーズモンスターで攻めてくるデッキに対して投入します。分布的にもそこまで多くない対面なので枠も1枠しか割いておりません。
・サイドデッキ≪群雄割拠≫の採用
【ヴェルズ】【ゼンマイ】のような種族がバラけているデッキに対してのメタカードです。≪ソウルドレイン≫もそうですが、【炎星】はメインギミックの都合上≪サイクロン≫≪砂塵の大竜巻≫のような直接的な伏せ除去カードを貰いやすいです。裏を返せばこれらの永続罠の通りが良くなる面もあり、逆に永続罠に的を絞れば≪炎舞ー天璣≫が通りやすくなると【炎星】と永続罠はデッキ単位での親和性が非常に高いので枚数を多めに割いていまです。
・サイドデッキ≪激流葬≫
【ガジェット】で記載したところと基本は変わりませんが、今回は【ゼンマイ】に対するメタカードとして採用しました。【ゼンマイ】以外でも効きそうな対面やETED等状況によっては入れる場合もあります。
結果は以下でした。
これだけの試合数なのにも関わらず、実際に使ったエクストラのカードは対【水精鱗】のET1ターン目で出した≪発条機雷ゼンマイン≫1回、対【水精鱗】と対【インフェルニティ】で出した≪No.106巨岩掌ジャイアント・ハンド≫2回、対【4軸炎星】で出した≪魁炎星王ーソウコ≫1回のみで勝因の大半が基盤通りの≪立炎星ートウケイ≫≪暗炎星ーユウシ≫≪勇炎星ーエンショウ≫によるゲームメイクでした。
優勝は出来なかったものの、自分の思考の答え合わせが出来た事もあり、非常に満足行く結果でした。
改めて組んでくれたチームメイトののごろう(@nogorou566)とイーグル(@eagle01023)ありがとう!!!二人が調整やアドバイスをくれなければここまで昇華出来なかったと思います。
5.今後の展開
このnoteの影響が出るかはわかりませんが、今回の大会の結果を踏まえて【炎星】【水精鱗】の構築も益々変化すると予想されます。または、新興勢力が出てくるかもしれません。ただ、しばらくはこの2デッキが衝突し合うのではないかと思っております。
ここまで長文となりましたが、読んで頂いてありがとうございました。
また、本記事執筆にあたり分布画像掲載の許可を快諾頂いた寒波亭(@kanpatei1103)様ありがとうございました。
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