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迎え入れる言葉 - Kurasu Small Talk #6

Kurasu Small Talk
Kurasuメンバーたちのささやかな日常をお届けするシリーズ。他愛のない会話の中に垣間見えるコーヒーの魅力や、そこから生まれるCoffee Tipsなどをお届けします。

note読者のみなさん、「こんにちは」。

先日、Kurasuでは、バックオフィスのメンバーがカフェ店舗であるKyoto Standにゲストとして出勤しました。普段とは異なる「現場」を体験することで、それぞれの環境の違いと共通点を肌で理解し、社内コミュニケーションがいっそう緊密になる、そういう出来事がありました。

「こんにちは」に忍ばせる想い

バックオフィスメンバーがKyoto Standに立つその日、バリスタのAkaneさんから「どのお客様にも『こんにちは』であいさつをお願いします」という案内がありました。

なんでもないように見える一言ですが、実はここに、Kurasuが大切にしたいカルチャーの核心が表されています。

Kyoto Standにゲスト出勤したバックオフィスのBakerさんからSlackに寄せられた感想文。彼女自身も多文化的なバックグラウンドを持っています。現場の体験を経て感じた、Akaneさん(Slack文中「ねっぴ」)の一言の重要性を語ってくれました。

インバウンドが多い京都の街。その中でも特に利用者数が多い京都駅のほど近くにあるKyoto Standには、何年も通ってくれている地元の常連さんだけでなく、海外からKurasuを目指して来てくれたファンの方、たまたま通りかかってコーヒーを飲む方など、多様な人々が訪れています。

そんな環境の中、お店を訪れるお客様とバリスタの距離は、カウンターを挟んで、天気の話、コーヒーの話、京都旅行の話など、ちょっとしたスモールトークを交わす、そんな感じの距離。ほんの短い時間で、互いの日常が少し交わる、そんなイメージだと思います。

たかが一杯のコーヒー、されど一杯のコーヒー。この京都での時間を迎え入れる最初の言葉が「こんにちは」です。

「Hello」「こんにちは」何語で挨拶するのが正解?

国や地域の枠を超えて人・物・情報が行き来するようになったグローバリゼーションの時代。英語やスペイン語、韓国語など様々な言葉をお客様に合わせて使い分けることも、「接客」としては正解かもしれません。

でも、見た目だけでは、その人のバックグラウンドや気持ちを見通すことができないのも事実です。たとえルーツが海外であっても、日本生まれで日本育ちの人がいるかもしれないし、「こんにちは」と挨拶されることを期待して京都に来たお客様がいるかもしれません。

その中で、あえて標準を決め、多様なゲストを変わらず笑顔で迎え入れること。それをやり続ける優しさ、多様化する社会の中で標準を定める優しさというものがある気がします。

言語の壁を超えて、伝えたい気持ち

どんな人にも、まずは「こんにちは」と挨拶すること。それは、一つの誠意の示し方だと思っています。「郷に入っては郷に従え」とか「ここは日本だから」という考え方ではなく、見た目で判断せず、どんなお客様にも同じ気持ちで接するという姿勢の一部です。

もちろん、場面に応じて英語での対応もウェルカムですし、そもそも人と人とのコミュニケーションにベストな答えはありませんから、私たちも試行錯誤を重ねています。その中で、今のKurasuでは、最初のコミュニケーションとして「こんにちは」が最適だと考えています。

この日のAkaneさんの一言、そしてバリスタとして立ち続ける姿から、ゲスト出勤したバックオフィスのメンバーもたくさんのことを学びました。言葉選びに限らず、会話の温度や些細なニュアンスを大切にしている彼女から店舗に立つメンバーたちに、口伝で受け継がれてきた「こんにちは」のカルチャー。

「こんにちは」という言葉は、本来「今日はいい日和ですね」や「今日はご機嫌いかがですか」といった表現に由来しています。省略された部分に込められた良い意味も想像しながら、グローバリゼーションの波の中で、自国の文化に敬意を払い、ゲストを温かく迎え入れませんか。

Kyoto Standで実践されているこの小さなカルチャーが、現場からKurasu全体へ、そして世界へと広がることを願っています。胸を張って今日も元気に「こんにちは」です!