わたしを救ってくれたもの
『寄り添い感』を感じる本が好きです。
私の書いた本は誰かに寄り添えたでしょうか。
『本が紡いだ五つの奇跡』森沢明夫さん著を読みました。
1冊の本に縁がある人たち、編集者、作家、ブックデザイナー、書店員、読者の話が書かれています。
編集者の津山奈緒さんが、作家の涼元マサミさんのデビュー作『空色の闇』を読んで、救われたそうです。
『「わたしね、涼元先生には、ミステリーじゃなくて、あの頃、わたしを救ってくれたような小説を、もう一度だけでいいから書いてもらいたいんだよね」
「なんか、分かります。ちなみに奈緒さんは『空色の闇』のどういう部分に救われたんですか?」
「うーん、それは難しい質問だなぁ」
「ざっくりでいいので」
わたしはひとさじのスフレを口に入れて、舌の上で溶かしながら、少しのあいだ考えた。そして思いつきをそのまま口にしてみた。
「もしかすると、あの物語のなかに通底している、いま、あなたがぼっちだとしても、心いつもわたしと一緒だからねっていう、『寄り添い感』みたいなものかな」
「寄り添い感……」
「うん。物語そのものと、キャラクターたちが、読んでいるあいだ中、ずっと寄り添ってくれるみたいな――、そんな感覚があったんだよね」
思いつきで口にした言葉にしては、「寄り添い感」という表現は、わたしのなかで腑に落ちていた。いちばん悲しいときに黙って側にいてくれる人みたいな、そういう感じだ』
私もいろんな本に救われてきました。
それはこの「寄り添い感」があったからかもしれません。
過去に作家さんの言葉に救われたことがありました。
先日そのこと書きました。
私も本を出版していて、読まれていないですけど、誰かに寄り添えていたらいいなと思いました。
私を救ってくれたのは本でした。
本に載っている言葉でした。
この本に載っている言葉にまた救われました。
ありがとうごさいます。
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