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管理ではなく「ケア」の視点でつなぐ。健やかな組織開発を目指す、クラシコムの取り組み

クラシコム人事の金です。2025年が始まりました。クラシコムもいよいよ100人体制を迎える中で、これまでの組織づくりを振りかえりながら少しずつ調整を行う1年になりそうです。

人事企画室では、採用から人事制度の設計・運用、マネジメント支援、労務管理に至るまで人事領域全般を担当していますが、それらすべてを「組織開発」の一環だと捉えています。

といっても、あまり変わった取り組みは行っていません。昨年、クラシコムの人事施策について取材をしていただく機会が増えたのですが、何か特定の施策によるBefore/Afterを語ることはとても難しいと感じながら、ではクラシコムらしい組織開発の特徴は何だろうかと考えてきました。

そこで見えてきたことが「ケアを大事にしている」という点です。今日はその「ケア」の視点で、組織開発の取り組みを振り返ってみたいと思います。


1. マネジメント:相互ケアが組織開発の立脚点に

クラシコムの経営・マネージャー陣

「ケア」といった時に、想起される場面の一つはマネジメント合宿です。

クラシコムでは半期に1回、全経営・マネージャー・人事が一同に集い、1日がかりで組織やマネジメントについて考える日を設けていて、その日を「マネジメント合宿」と呼んでいます。

ベースのコンセプトは温泉。1日が終わった後は、湯上がりのポカポカとしたあったまった気持ちになって、またそれぞれの現場で頑張ろうと思える場づくりを意識しています。

テーマ設定はその都度、代表の青木さんと人事で、最近気になることを話し合うところから始めます。といっても、何か特定のテーマで勉強会的に開催することはほとんどなく、「内省(自己理解)」と「共有(相互理解)」に重きをおいて場を設計しています。

昨年10月に行ったマネジメント合宿では、3年間の振り返りをテーマに開催しました。2022年8月にグロース市場へ新規上場し、N-1期から数えると丸3年が経つため、変化の大きかった3年間を丁寧に振り返りたいと思ったことが背景にあります。

会社・チーム・自分という単位で振り返り、それらを統合し俯瞰してみた時に、自分にとってどんな意味づけができる期間だったのかを言語化して共有するワークを行いました。

ワークそのものは至ってシンプルなのですが、参加者一人ひとりが、それぞれの葛藤や弱さも含めて自己開示しながら真摯に3年間を振り返るその姿勢に、心がぐっと動かされ、改めて皆へのリスペクトが深まる時間になりました。

ここで行われていたことは何だろうと考えてみると、「ケア」なのかな、と感じています。振り返って語ること、それを仲間に受け入れてもらうことが「セルフケア」になる。そして、お互いが、緊張感や競争を強いられる対象ではなく「サポートしあう仲間である」と感じられて勇気づけられる。そんな関係性を、私たちは積み重ねてきたのではないかと思っています。(ちなみに、このマネジメント合宿のコンセプトやフォーマットを全社員がリアルで集う全社会議にも転用して、昨年12月にも皆で振り返りを実施しています)

▼2024年12月のリアル全社会議レポート記事はこちら

マネジメント合宿は一例ですが、こういった深い信頼関係を土台にして「経営・マネジメントがワンチームである」ことが、今後事業がさらに成長し、組織がより大きく複雑さを増していく際にもコアの推進力になっていくと考えています。

2. 採用:チームを深く知り、ケアする機会へ

募集ごとにチームの雰囲気が伝わるよう写真撮影も行っています

クラシコムではこれまで年2回、定期採用と銘打って、複数職種の採用活動を行ってきましたが、この1年ぐらいの変化として、職種ごとに必要なタイミングで中途採用を行う形へとシフトしています。背景としては、各チームごとの人員がある程度充足していることや、新卒採用を定期的に行うようになったことがあげられます。

職種ごとに採用を行う良さは、該当チームのマネージャーや管掌役員とともに、今後の事業戦略やチームづくりについて、じっくりディスカッションしながら採用プロセスを設計できる点です。

採用の方向性のすり合わせからスタートし、メンバーへインタビューをさせてもらったり、採用イベントを企画したり、具体的な募集要項をすり合わせたり、選考プロセスの設計を一緒に行ったりと、ベースとなる採用手法は用いながらも、チームごとにオーダーメイドで工夫を重ねられるようになりました。

こういった工夫はより効果的な採用につながる意味でも大事ですが、それだけでなく、プロセスそのものが「チームをケアする機会」であり、組織開発につながると考えています。

マネジメントとスタッフがどんな思いを持っているかを丁寧に知り、今後のチームの変化や事業上の役割を想像しながら、人事としてどんなサポートができるかを考えていくとても大切な機会です。

こんな風に、採用にじっくり時間をかけられるのは、離職率が低いことも作用しています。(直近3年間の離職率:2.3%)突発的な採用がほとんどなく、仮に急ぎで必要なポジションの採用が発生した場合でも、無理な採用活動にならないよう、社内外から一時期的なリソースの調整ができないか、業務の優先順位の見直しができないかなど、常に経営判断として「採用ありきではないソリューション」を検討してもらえることにも支えられています。

採用活動に丁寧に向き合いフィットする方に出会うための最大限の努力をすること。採用活動自体を該当チームにとって意義ある機会にできるように心がけること。そんなプロセスを経て入社した社員が産育休などのライフステージの変化を伴いながらも離職せず活躍し続けられる環境や風土を整えていくこと。そんな良い循環が育まれるよう、ケアし続けることを大事にしたいと考えています。

3. 労務:管理からケアへ

クラシコムでは、労務管理を人事企画室と経営企画グループの労務担当者で連携して行っています。内容は多岐に渡り、毎月の勤怠管理から給与支払い、入退社や産育休のフォローや手続き、様々な規定周りの整備・運用など。

いずれも正確で丁寧な運用が必要とされることばかりですが、こういった細部にわたる業務がケアにつながり、組織開発のタネになっていくことを感じています。というのも、個人やチームのコンディションが非常に現れやすいものだからです。

例えば、勤怠管理。クラシコムでは、平均残業時間が3.6H(24年7月期実績)と低いのが特徴ですが、月初に勤怠がしまった後、人事と総務の労務担当者で社員の勤怠状況を振り返る時間を設けています。

残業が多いスタッフがいるか、その場合、「⚪︎⚪︎の新規プロジェクトに今取り組んでいる」「先月こういう予期せぬトラブルがあり対応していた」など状況が見えているものかどうか。残業時間そのものよりも、人事として把握できていない何かしらの困りごとがないか、という目線で確認を行っています。

少し状況が気になる時は、マネージャーに相談をします。マネージャーの皆さんも丁寧に背景を教えてくださったり、メンバーと追加で1on1をしてくださることもあります。最近では、前もって状況を知らせていただくことも多く、現場と人事の双方で状況の見守りができているありがたさを感じています。

残業せずに働くことをアスリートの練習のようだと例えた社員がいましたが、本当にそうだなと感じます。何に時間がかかっているかを適切に振り返り、自身のスキルと業務上の課題の距離感を見積もり、そのギャップを埋めるために、個人で解決できるのか周囲の支援が必要なのかを判断する。それを本人もマネジメントサイドも丁寧に行っているからこそ、生産性高く残業せずに働く風土につながっていると考えています。

だからこそ人事も状況を丁寧に観察し、必要な支援を行っていくことを大切にしています。マネージャーと相談の上、個人やチームへアプローチすることもあれば、労務上の制度見直しにつなげる場合もあります。

このように、日々の労務管理はとても地道ではありますが、組織の体幹をつくっていく、大事なケアであり開発の機会だと捉えています。

ケアを磨く組織へ

クラシコムに転職したとき、クラシコムの社員は、ストレスコーピングがとても上手だなと思った記憶がありますが、今ではコーピングというよりも、日常的に「ケアを磨いている」ように感じています。

「どうすれば自分が健やかにパフォーマンスできるか」を、一人ひとりの社員が内省し誠実に向き合っていて、心からリスペクトの気持ちでいっぱいです。

また、メンバー同士やマネジメントからメンバーへと、周囲をケアすることも日常的に行われています。「周囲をケアする」というと、とても幅が広いですが、その際に拠り所となっているのが理念体系にある「正直・公正・親切」というポリシーと、「センシティブ・チャーミング・サステナブル」というフォームです。個人のパーソナリティや善なる気持ちに頼りすぎない、組織としての一貫性を持った「ケア」を私たちは磨いているような気がします。

▼クラシコムの理念体系について解説したCEOノートはこちら

個々の、チームの、組織全体の「ケアの試み」が健やかな組織と健全な事業成長につながっていくことを信じて、人事としては、今年も丁寧に観察を続けながら、クラシコムらしい組織開発を磨いていけたらと思います。

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