■読書感想 EV推進の罠 21-7-7
■読書感想 EV推進の罠 21-7-7
「EV推進の罠」
著:加藤康子×池田直渡×岡崎五郎
https://www.amazon.co.jp/dp/4847071077
大変勉強になりました。
最近SDGsとはなんぞや?
パリ協定とは?
脱炭素ビジネスとは?
テスラって何がすごいの?
など、EV化の流れがわかってなかったのでその背景を調べるために、どちらかというとEV推進派の情報ばかり集めていました。
そこで知り合いからおススメされたのもあって、こちらを読みました!
■印象的だったこと
欧州の狡猾さです。
自分たちに都合の良いようにルールメイクして、世界のトレンドを作る。
これが日本には全く出来ていないように感じます。少なくともこのEVや電力・エネルギー問題に関しては。
具体的にはまずCAFE規制で自動車のCO2排出ルールを世界に浸透せる。
そのルールを今度は電気自動車しか自動車作れないようなルールにしてしまう。「地球が危ないですよ!」とあおりながら。
ただし、このCAFE規制はEV化を推進するもので、走行中の自動車の排出量に限定しています。
ですので、EVを生産するときにCO2には触れられていません。
そこで世間からこの矛盾を指摘する声が上がりつつあるそうです。なぜなら、バッテリーを生産する際に大きく電力を消費するからだそうです。
すると、欧州はその生産時のCO2排出規制もルール化しようとしているそうです。LCAというそうです。
あれ?欧州というか、EV化に不利なのでは?と最初思いましたが、そこはさすがでした。
北欧諸国や、フランスは、自然エネルギーと原子力の割合が非常に高く、発電時のCO2が非常に少ないのです。
ここに目を付け、バッテリーはこれらの国で生産する。
一方で、EVは中国もすさまじい勢いがあります。世界のTOP20のうち、14社が中国です。中国TOPのBYDがワーゲンの株を上回ったとか。
そんな中国は自前で原料のリチウムも採掘できますし、バッテリーの最大の生産国でもあります。
しかし中国はこと発電においては部がわるく、まだまだ火力に依存しており、バッテリー生産には多くのCO2排出が必要になります。
本当にすごいです。欧州の自分に都合のよいルールを世界に浸透させる上手さ。
いかに大義をかかげるか?世論を巻き込むか。風潮を作るか。
そう言うことも非常に大切なことがよくわかりました。
他にも日本が宣言している
「2050年までに、2013年比CO2の80%削減」
について、当時の経産省の試算で、
「80%削減という水準においては、農林水産と2、3の産業しか許容されないことになる」
と冷静に算出された報告書がこちらです。
https://www.meti.go.jp/.../whitepaper/data/20170414001.html
2,3って、医療・教育。とかで終わり。もちろん、自動車産業・鉄鋼なんてのは全くダメ。ということですね。
自己矛盾極まりないですよね・・・
欧州は自分の都合の良いルールを作り、日本は自己矛盾を抱えてでも迎合して他国が勝手に作ったルールに従っている。
なんとなく、そうなんだろうなぁ。と思っていましたが、こういう本を読むとより具体的な事例を知り、よく理解できました。
この本は対談形式で書かれており、文章は平易でとても読みやすいです。雑誌を読む感覚でしょうか。
それとは対照的に内容は情報量たっぷりですので、SDGsや電力・自動車産業、その辺にご興味のある方はぜひご一読をお勧めいたします。
次は早馬さんが読まれていた、不都合な真実を読もうと思います。
そもそも温暖化=温室効果ガス
この前提を否定する意見も理解したいと思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/4299020987