ミニマルな本棚はさみしいのです
コラム810:ミニマルな本棚はさみしいのです
本をたくさん持って、悦に入っていた時期もあるのですが、たいした本ではないので、ミニマリズムにあこがれて、どんどん売ったり捨てたりしてきました。今では、リアルな本は数十冊しか持っていません。
でも、さみしいなあ。
多くの本をKindleなどの電子書籍で買うことが多くなり、持ち歩きも保存も、ものすごく楽になったのですが、本との出会いが変わってしまったように思います。
書店で、ふと手に取って、読むはずでなかったものに出会うとか、装丁の美しさに見とれるとか、ずっしりとした重みを感じるとか、恋しくなります。
例えば、いま、手元に若松英輔氏の『本を読めなくなった人のための読書論』という本の実物がありますが、その表紙のエンボス加工の植物の柄や手触りは素晴らしく、手に入れなければ分からなかった、と思うのです。
たまに、年代、作者、出版社によって、電子書籍が手に入らないと、「しかたなく」リアルな本を書いますが(古本多し)、本の重みを感じる経験も悪くありません。(昭和の評伝や哲学書などは古本にプレミアがついていて、とても買えません。電子化してほしいジャンルです。)
折衷案として、電子的に、触感や重み、デザインを伝えられるようにできないものでしょうか?と、SF的なことを考えるのでした。
もちろん、お財布にやさしい読書を目指したいのですが。無理かしら。
2024年5月22日
クララ