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自分の居場所を見つけ、花を咲かせるために必要な要素の話

先日、本が好きな同期に連れていってもらった町の本屋さんに行った。
水色を貴重としたまるでカフェのような外観で、中はこぢんまりとしつつも本がびっしりと並んでいて、居心地の良い雰囲気。

店主の方が選んだ本が置かれているのだが、自分の好きそうな本がたくさんあった。その中で手にとったのがこの本だった。今回はこの本を読んだ感想や考えについて、noteに書いていきたい。

「闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由」(ジェーン・スーさん著)

登場する13名の女性たちは、きっと皆さんもご存じの方のはず

週刊文春「WOMAN」で連載されていたものが単行本にまとめられたもので、著名な13人の女性へジェーン・スーさんがインタビューし、それぞれの人生の物語や考え方、思いを知ることができる1冊である。

皆知っているか、少なくとも見かけたことのある名前の方たちばかりである。テレビで見るイメージや雑誌で見るイメージ、作品で見るイメージの限りでは、自分の居場所を見つけてそこで輝いている人たちばかりである。

お店でこの本を見かけていつものようにタイトルに引き寄せられる。手に取り、はじめの方だけその場で読んでみると、冒頭の「はじめに」部分で、こんなことが書かれていた。

 百聞は一見に如かずと言うが、女が自分の手と足で人生を切り拓いてきた話は、百聞すらままならないではないか。
 人は「知らないことはできない」と相場が決まっている。女にまつわるつらいニュースばかり追っていたら、女はこういうものだと思ってしまう。
(中略)
 なぜ、自分にはできないと思うのか。うまくいかないときにもめげず、腐らず、頑張った先で花を咲かせた女の話を、ほとんど知らないからではないだろうか。本当に、「そういう人は特別だから」なのか。あなただって、十分に我慢強いではないか。その我慢強さを、自分のために使ったことはありますか?たまには、自分の人生を手にした女の話に励まされ、項垂れていた頭が前を向いたっていいじゃない。

文藝春秋「闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由」(ジェーン・スー)
「はじめに」P3~4より

確かに…。最後の方なんで私自己犠牲・他者献身の塊みたいな人間だから、自分のために我慢したこととか、そんなに多くなかったかもしれないなと思い、ひとつひとつの言葉がグサグサと刺さっていた。

女性が「リアル」にどのようにして居場所を見つけるのか。これまでの社会で根付いている「女はこういうものだ」という淘汰されたイメージを払拭する居場所を。そしてその先で花を咲かせられたのはなぜなのか?

気になる。

私自身も、女性としてはマイナーな環境で過ごしてきたし、会社でも「女性進出のために」という役割を求められることが多かった。まさに、これまでにはなかった女性の居場所をつくる、もしくは増やすために働いてきたから、これからもそういう働き方をすることになるのだと思う。

でも、今のところ自分がそれを果たせてきた自信は全く無い。これからどうしていっていいのかも分からなくて、まさに今ぐるぐると悩んでいる。

だからこそ、私も皆さんがどうやってこの居場所をつかんだのか、それまでにどのようなことがあったのか、知りたい、と思った。

そして、ページをめくって13人の女性たちの人生を読んだ。

やっぱりそうか、、、と感じること以上に、「え!そんなこともあったのか」「実はそうだったの!?」と驚きを感じることの方が多かったかもしれない。「意外な一面」と片付けてしまうとそうなのだが、そんな言葉では片付けられない話がたくさんあった。

皆、それぞれステージは違う。
でも、自分が心惹かれたものや、自分の信念を貫くために、我慢して、努力して、そしてようやく自分の居場所で花開いた、、というところだったのである。

もう、感銘の嵐。そして同じ女性として生きる共感の嵐ももちろんある。女性としての固定観念や、世間からのイメージに振り回されながらも、みんな少しずつ、強く、確実に、自分の居場所を切り拓いていったのである。

1人1人の感想を書いていくと終わりが無いのと、共通しているものが一番大事かなと思ったので、今回は共通点として感じた6つの要素を書き残しておきたい。

①自分自身のことをよく理解していること
自分の生い立ちや経験をかなり密に語っている人が多い印象。すなわち「自分がこんな人間である」というのをはっきりと分かっている人が多いということだろう。こんな人間だから、きっとやりたいことを見つけたときには自分の特徴に合うアプローチ方法を見つけられるのかもしれない。

②方向性(やりたいこと)がはっきりとしていること
うまくいっているときも、つらいときも、自分のやりたいことの芯が通っている。だからこそ自分を信じられるし、諦めずに進んでいる。今も立ち止まらずに走れている。

③必ずどこかで壁にぶつかり、それを乗り越えていること
幼少期の経験、仕事、生活、社会において何かしら皆壁にぶつかっている。でもその悔しさや惨めさをバネにして再起している。どん底を知っているからこれ以上は辛いことはないと思っている人もいるかもしれない。

④周りの人を良く見て、分析していること
周りの人の反応をきちんと見て、分析して、その上でこれからどのようにしていくのかを判断している。観察することで傾向が分かったり、やるべきことが分かったり、時には他言語の意味を理解できてしまったり。それはそれは。いろいろな分析を見せていただいた。

⑤自分に求められているものを理解していること
人からの評価や反応をきちんと受け止めて、周りの人を見て(テレビ番組だったら他のゲストを見て)自分の役割を判断できているのってすごく大事だなと感じる。ちなみにそれに応えるのか、そこを踏まえて期待とは違う形で役割を果たすのかは、もちろん自分の気持ちに沿っているかで決めている、ということも大事な要素として付け加えておきたい。

⑥自分のやりたいことを決して諦めないこと
昔ながらの女性像として求められていた「他社への献身」「自己犠牲」を全てとせず、あくまでも「自分のやりたいこと」に沿って皆生きている。自分以外の言いなりになっていない生き方が、とても素敵に感じられた。

果たしてこの6つの要素を見て、自分はどれくらい当てはまっているのだろうか。と考えると、一気に自信を失ってしまう気がする。
でも、まずこの6つを大事にできるようになれば、道は見えてくるかもしれない。

そう思っているところに、ジェーン・スーさんは「おわりに」でこうまとめてくださっている。

 彼女たちがここにいる理由は明らかだ。決してあきらめず、自分を信じたからだ。しかし、努力や根性だけの賜物ではないだろう。
(中略)
 彼女たちは地図羅針盤を持っている。そのふたつがあるから、信じ続けることも、あきらめないことも叶う。心の中に輝く北極星がある限り、自分を見失うこともない。

文藝春秋「闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由」(ジェーン・スー)
「おわりに」P267~268より

「地図」
自分自身の状況、周りの状況などを理解するためのもの、そして目的地の位置を知るためのもの。

「羅針盤」
行くべき方向を示し、導いてくれる、向かうための手段に該当するもの。

「北極星」
羅針盤と似ている部分もあるけれども、自分の向かう方向を確認するためのもの。必ず北にあるということで、迷わないで進むために必要なもの。

先ほど私が挙げた6要素は、この3つの例えにしっかりと当てはまると思う。この3つとなるものを手に入れられれば、きっと自分の居場所が見つかるということを確信できる内容だった。

もやもやしていた自分の道や未来に、少しだけ光が差し込んで、明確なものが見えるような気がする。

自分がどうしていきたいのかは、まだはっきりと分からない。

でも、これまでの自分を振り返って理解して、今の状況をよく調べて、周りの声や状況を聞いて、客観的に判断することはできるはず。

その中で、自分にとっての地図と羅針盤が見つけていきたい。

13人の皆さんと、皆さんの話を聞いたジェーン・スーさんの言葉には、女性として居場所を作っていくため、自分らしく生きるため、自分を信じてあきらめないための大事なヒントがたくさん詰まっている。

そして女性だけではなく。同じように自分の居場所を求めている全ての人たちにとっても、きっと響く内容であるはず。少しでも多くの方に、この本を読んでほしい。

そして、13人の皆さんとジェーン・スーさんが、ますますご活躍されることを願って。

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