国民的アニメのテーマ曲とチンピラ氏
1998年の秋くらいの事だった。
息子を幼稚園に迎えにいった帰り道に
おやつを食べさせてしまおうと駅から近いファミレスに入った。
可愛い盛り付けのパンケーキを食べている幸せな時間に突然
鳴り響く国民的アニメのテーマ曲
青い丸っこいロボットのあれ。
店中の注目を集めた人が
「ハイ〇〇っ!はいっ!はいっ!」
と元気な声で店の公衆電話の小部屋へ
飛び込んで通話を続けた。
うぁヤーさんだ。
いかにもな格好をした下っ端っぽいヤクザだチンピラだ。
てか何あれ?
さざなみのように囁かれる疑問
ドラエホン?
え、何あの携帯ドラエホンていうの?
まだ携帯電話は出始めで
PHSもパラパラ出てた頃
このドラエホンはPHSで
NTTが販売を始めたもの。
ヤクザなんて格好つけてナンボの商売でなぜ国民的アニメのテーマ曲が
鳴り響くPHS
ニコニコと息子が
「あのPHS買う?あれにする?」
「いや買わないよ」
あ思い出した。
携帯欲しいなと色々資料集めたカタログにあったな。
あー居場所をFAXで確認できるんだった。
あの頃実用実験中とか。
だから持たされてたのか。
チンピラ氏ドラエホンを手に持ち
慌てて会計をする。
「230円でございます」
「領収書!〇〇興業」
コーヒ一だけ?それに領収書かよ。
この店に居合わせたお客さんは
彼を見かけるたびに
心の中で
「ドラエホン君」と呼ぶだろう事が決まった
町のどうでもいい歴史的瞬間。
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