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貴船を歩いてみた
水は万物の命の源
京都の奥座敷とも言われている「貴船」(きぶね)、豊かな森と水に囲まれた場所に鎮座する古社が「貴船(きふね)神社」です。
その古社は水の供給をつかさどる「水源の神」を祀っています。
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こんにちは
さっそく、お話に入っていこうと思うのですが、
京都市は川に囲まれ、また地下水脈も豊富な場所で、そこから育まれた文化がある街だよね、というお話をさせていただきました。
そこで今回は京都の水にまつわる話の一つ、鴨川の水源と言われている「貴船」を訪ねてみたお話をしていこうと思いますので、お付き合いくださると嬉しいです。
それではどうぞ
■京都の奥座敷「貴船」
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「貴船神社」は京都市左京区鞍馬山のふもと、貴船町に鎮座している古社。
鴨川の水源の一つであり、木々に囲まれ真夏でも涼しみを感じられ、京都の夏の風物詩「川床」(かわどこ)で有名な場所、と言えばご存じの方は多いのではないでしょうか。
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初夏になるとここに川床が設置される
貴船神社の創建について明記するものは残っておらず、年代は不明ですが約1300年前には、社殿造替が行われたという記録もあるようで、その古さからも歴史の深さを知ることができます。
地域名と神社名に違いがあるのは、水源の神「タカオカミノカミ(高龗神)」が御祭神であり、清らかなも水が濁らないように、という願いからといわれています。
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貴船神社の起源については、貴船大神が御鎮座することになった伝説が社記に残されています。「国家安穏 万民守護のため 太古 丑の年の丑の月の丑の日に、天上より貴船山中中腹 鏡岩に天降れり」とあり、現在丑の日が縁日とされている所以でもあります。また別の伝説には、約一六〇〇年前に初代神武天皇の皇母である玉依姫命が「吾は皇母玉依姫なり。恒に雨風を司り以て國を潤し土を養う。また黎民(れいみん)の諸願には福運を蒙(こうむ)らしむ。よって吾が船の止まる処に祠(ほこら)を造るべし」と宣り給い、現在の大阪湾から船に乗り、淀川、鴨川、貴船川を遡り、水源の地として現在の奥宮に至りました。清水の湧き出る霊境吹井(れいきょうふきい)を見つけた玉依姫がここにひとつの祠を建てたのが、貴船神社の起源と伝えられています。
貴船神社は本宮、結社、奥宮と三社あり、参拝は【本宮→奥宮→結社】の順で参拝する「三社詣」が古くからの習わしとしてあるようです。
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さらに本宮社殿前にある石垣から溢れ出す水は「御神水」と呼ばれ、貴船山の湧き水です。
その水に浮かべ文字が浮いてくる、水占みくじ、は有名みたいでボクも試しにやってみました。
一つ一つの神社は、そこまで離れておらず十分歩いて巡ることが出来ますし、さすがに冬は寒いものの次へ向かう道中は自然に囲まれていて歩いていても気持ちの良いものです。
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まだまだ多くの見どころも言い伝えもある「貴船神社」ですので、ぜひ皆さんも自分の好きな季節に訪ねてみてください。
ボクももっと知りたくなりました。
■水はたくさん育む
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ここまでは観光ガイドっぽいお話でしたので、ここからは自分が感じたことを少し触れていこうと思います。
ボクがここへ来たのは鴨川の水源ってどんな所かを、体験して知る、ことです。
来た季節が冬ということもありましたが、バスから降りるとひんやりした空気がより凛とさせますし、森の中に身を置いた気持ち良さを感じさせます。
そして、なにより静かです。
聞こえてくるのは、川の流れる音と風で揺れる木々の音(たまに車)。
あとは自分の呼吸と足の音だけで、余計な音は削ぎ落されたように一つ一つの音や温度を強く感じて周囲の景色が際立ちます。
ある意味、とてもミニマルな感じです。
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こうした環境に身を置いてみると京都の水文化を支える源が貴船にあるんだなぁ、と始まりを知ることができます。
そう、清らかな水が山々から流れ出した先に、
野菜は育ち(京野菜)、資材が運ばれ(建築)、季節を楽しみ(川床、納涼床)、モノが作られる(工芸)、などなど。
考えていくと水(川)を根源に衣食住から仕事、まちが形成されていることが改めて感じられます。
あと個人的には思ったのが、
ボクの地元に似てる、です。
弊社(倉島木工所)があるのは埼玉県飯能市という場所で「奥武蔵」とも言われています。
そこは数十分車で走れば自然豊かな森と川がある地域です。
共通点は川上から川下に向かって人の営みが広がっていくこと。
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さらに以前に巡った場所を思い返してみても同じような特徴があったのを思い出します。
有名無名問わず、日本各地で似たような風景があるというのは人や街やものづくりが育まれていく、その一つの背景には水があって、不可欠な存在、であることなんだと思います。
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つい木灯籠に目がいってしまう
蛇口を捻ると出てくる、水、を意識するようになった自分にちょっとだけ成長を感じています。
また行きますね、貴船。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
ではまた。
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▼貴船神社について見どころがわかり易く載っているので行く前に一読すると参考になります。
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