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部屋との関係性:建具というものを考えてみた#08

こんにちは

今回は、建具というものを考えてみた、というテーマでお話をしていこうと思います。
これまで様々な視点で建具というものを見てきました。

で、ですね。
建具には障子、格子、板戸、ガラス戸などの種類がありますよね。

それらがなぜその場所に配置されているのか?

ということを考えていこうと思いますので、お付き合いいただきますと嬉しいです。

それではどうぞ


|建具には種類がある

一般的に建具って何?というと

・時節や用途で部屋を自在に変容させる。
・壁の役割をしている。
・可動して出入り口にもなる。

これらの役割しているのが『建具』と呼ばれているものだと思います。

伝統的な建築は、部屋に寝室やリビングといった用途の室名はついていません。

〇〇の間、的な感じです。
ですので、部屋の使い方は住み手によって様々。
しかし建具には、障子、格子、フスマ、板戸、ガラス戸などの仕様が存在します。

部屋と部屋との関係性
部屋と外との関係性
それぞれで建具の仕様を決めていた

それらが部屋とどう関係していて、どんな理由でその部屋に配置されているのか、どうやら住み手の意図が関係しているようです。

|旧小林邸

では、ここで一つの民家を例にみていこうと思います。

東京都立川市の川越道緑地古民家園内にある日本家屋「小林家住宅」(建築年代1852年江戸末期)で、茅葺き屋根の農家系の民家。

まず入口を入るとそこは土間です。
囲炉裏があったり農具が並んでいたりして、昔の民家らしさを感じます。

土間から部屋を見る

居間の方に目を向けると、建具が部屋との境に並んでいて、奥の方へと続いています。

手前から格子→板戸(障子入り)→板戸、一番奥の隣の部屋には襖と欄間(らんま)入りの床の間の部屋になっています。

旧小林邸
土間から奥の部屋までの建具の配置

格子は木が棒状に並んでいて、その隙間から対面を見通せる特徴があります。

例えば、格子戸を閉じていても来客が来た時には、気配を察知して対応が出来ます。
または、風も抜けていくので囲炉裏の煙や自然の風を循環させるための機能も合わせ持っています。

つまり格子の部屋は、来客時に取り次ぎ的な役割をする部屋(待機所的な部屋)、ということが言えます。

障子入り板戸
各部屋には外から光が差し込む

次の部屋は板戸です。
休憩する部屋、ではないかと思います。
格子に比べて板はより閉鎖の度合いが強めです。

旧小林邸の板戸には一部に障子が入っています。明り取りの機能もありますが、音や影から気配を感じる機能があるので閉めていても外の様子がうかがえます。
一時的な待機よりもゆっくり休む、そのような意味の部屋ではないかと考えられます。

前室
襖や板戸を閉じたら個室になる。

奥の部屋(前室)は、明りは障子からのみであとは、板戸や襖で囲われています。
より周囲との関係性を閉ざした、個室化、した部屋の特徴であることから、寝る部屋、としても使用されていたことが推測出来そうです。

また、欄間付きの一番奥の部屋は床の間があり、他の部屋よりも作りが込んでいます。

そこから読み取れることは奥の部屋が主人の部屋であり、格式の高い部屋であるという文脈です。

例えば来客の中でも大切な人であれば、この奥の間に通し応接室として使用します。

奥の間
入口は欄間や床の間となっていて
他の部屋と違って手が込んでいる。

旧小林家住宅を参考にさせていただきましたが、このように建具の仕様からその家の暮らしぶりが浮かんできます。

また日本の民家は、名もなき部屋、ではあるものの、時代が進むに連れて住み手の意図によって機能性を持たせた部屋に変化してきた、ということも見えてくるのではないでしょうか。

前室から土間を見る。
部屋は連続してるけれど、各々建具の仕様が異なっている。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

ではまた


▼旧小林家住宅について
ゆったりとした時間を過ごせるので興味がございましたら行ってみてください。



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