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学びの時間:建具というものを考えてみた 番外編

こんにちは

建具の業界には全国建具組合連合会という団体があります。
(有)倉島木工所も埼玉県の建具組合連合会を通じて関わらさせていただいております。
その組合主催の研修事業で、建築空間を見ながら建具を学ぼう、という勉強会が開かれました。

中央:白髪の人が建築史家 最勝寺靖彦氏

場所は以前noteでも紹介した東京都小金井市の小金井公園内にある江戸東京たてもの園。
講師は、建築の学校時代の恩師「建築史家 最勝寺靖彦氏」(今でも大変お世話になっています。)

で、ボクは教え子と建築建具業界にいることもあって、アシスタントとして参加させていただきました。

ということで、
今回は建具の勉強会に参加したお話です。
備忘録的な内容ですので、
時間が空いた時にちょっとのぞいてもらえたら嬉しいです。

では、始めますね。


■建具の勉強会

今回の研修会では、文化的な側面から建具のことを知ろう、というのが目的の一つ。

建築は多くの要素が複合されたもの、そうした中で建具はどのような役割を果たしていたのかを知り、技術面以外の視点を持つ、ことで建具の魅力を一般の方々に伝えるためであったり、製品を作るアイデアに繋がるようなキッカケづくりになれば、という考えが背景にある研修会です。

なぜ文化的な(暮らしぶり)視点なのか、と言いますと、視野を広げる、ためです。

高橋是清邸にて
実際に入っている建具と部屋の関係性をお話中

建築施工は細分化され多くの人が関わり、各分野の専門職が自分たちの担当工事を受けて作業をしています。
ですので、建築に関わる業者、職人さんが建築物を見学するとき、各々の分野(造り)を真っ先に見ようとする、クセ、があります。
決してそれがダメということではなく、その部分(造りや技術)を見ることは勉強になりますし、大事なことです。

しかし、今回の研修会の主旨から考えると、一旦その「クセ」を抑えて空間全体を見て、知って、体験しよう、という方に重点が置かれているところに違いがあります。

前川國男邸
伝統的な建築を見てから近代建築を見て、
建築家が空間と建具をどのように捉えたかを考えながら見学

先ほどもお話しましたが、建築は技術、文化、人、地域、環境、など沢山の要素が一つの建物に複合されています。そうした中で「建具」という側面は建築を取り巻く枠組みから見たら、数多くのうちの一つです。

建具に関わる人は技術や造りの側面だけではなく、沢山の側面があって一つ形を成している、まずそこに気づくことが大事だ、というようなことを最勝寺先生もおっしゃっておりました。

高橋是清邸外観

多くの側面(風、光、風景、音、などを調整し、生活をサポートしていること等、黒子的な役割)を知ることで建具の見方が広がれば、もっと建具の面白さを多くの人に伝えていける、ということだと思います。


■建具を考える人は、空間を考える人

建具は、空間を作る装置、と言われています。
と、なると建具を考える人とは、インテリアデザイナーだったり空間デザイナーという空間を設計する(考える)人言い換えられるんじゃないかなと思います。

もう少し言うと、どのような構成や配置、名もなき部屋(空間)にどのような役割を持たせ、どのように人が活動していくのか、そしてその時に建具はどのような仕様が最適で、どのような効果をもたらすと、より空間が活きていくのか、暮らしが快適になるのか

建具を考える人はそこまで踏み込んで考えて(設計して)良いとボクは建具を学んでいく過程で思うようになりました。

園内の農家
照明のない時代、暗さに対してどのように光を取り込むか、
その時障子や建具の役割はどうだったのか。
民家を見ると考えさせられることがたくさん。

また建具の形態は従来の四角いパネル型でなくても、枠の中になくても良く、障壁として空間を認識できるモノであれば、それは建具的なモノ

そうした柔軟な捉え方をするようになったのも、その陰には恩師の存在があったからです。
今回の勉強会のようにお会いする度に建具を通じて日本の歴史・文化・建築を学ぶ必要性を説いてくれます。

障子が通路と部屋の光の調整をするためにある。
豪華さに目が行くけれど、空間の機能を考える方に頭は向ける。

いつも感謝しています。
※最勝寺氏から学んだお話はまた別の機会にしたいと思います。

だいぶ偉そうにツラツラと綴ってしまいました。
でも実際はボクもまだまだです。
今回の内容を綴っているうちに自分自身に向けて話しているように思えてきました。

これからも学んでいきます。

勉強会では建具組合連合会ご関係者の皆さまにはお世話になりました。
とても良い時間をありがとうございました。
建具の勉強会に参加させていただいて、改めて日本の空間アイデアや文化の裏には建具が密接に関わっていたことを感じて、もっと知りたくなりました。

主役は住み手、
とすれば建具やその装飾は脇役・裏方としてシンプルにしつらうのも一つ。

それでは、この辺りで失礼します。
ここまでご覧くださりありがとうございました。

ではまた

▼最勝寺先生は日本の伝統的な民家や寺社仏閣の空間に見え隠れする文化や歴史の背景を研究し、書籍を出版しています。


▼「建具というものを考えてみた」マガジン

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倉嶋 洋介
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