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文学から富山に触れる場所:高志の国 文学館

こんにちは

GWに岐阜から富山のルートで回った建築探訪。

伝統的な地域のお話が続いたので、
今回は巡ったうちの一つ、現代建築を訪ねたお話をしていこうと思います。

訪ねた先は富山県富山市にある「高志の国文学館」という公共施設。
そこは存在感が際立つ建築とはまた違った、周囲の環境に溶け込んでいるような建築でした。

それでは、
少しの時間、お付き合いいただけると嬉しいです。

|高志の国文学館とは

富山市街地の中心にある「高志の国文学館」

実際に訪れてみると大通りから中に入った静かで穏やかな場所、という印象を受けます。
近くには、松川公園や富山城址公園に続く遊歩道的な道もあって自然を感じながら過ごせそうですし、気持ちの良い環境に囲まれた場所に高志の国文学館はあります

高志の国文学館

現在の館長(2代目)は富山県出身で女優・作家で知られる室井滋さんが務められています。

高志の国文学館 概要
2012年に開館した高志の国文学館は、1978年に建築された旧富山県知事公館の建物とその庭などを改修・増築して、整備されたものです。
旧富山県知事公館を「屋敷」、増築した展示棟を「蔵」、通路を「土間」として位置づけたコンセプトで設計されました。
旧知事公館の建物や緑豊かな庭園をできるだけ活用し、緑に囲まれた静かで落ち着いたたたずまいを創出しています。

基本理念
・富山県ゆかりの作家や作品をわかりやすく紹介するふるさと文学の総合窓口。
・文学作品のみならず、絵本、映画、漫画、アニメなど幅広い分野の作品を気軽に楽しみ学ぶ機会の提供。
・深く探求する・創作する・発表する刺激ともなる場の提供。

高志の国文学館ホームページより引用

高志の国文学館は企画展示の他、常設展示では富山県出身の作家や作品の魅力などを発信するエリアとなっています。

高志の国 文学館
大屋根の通路が特徴的

例えば、
映画監督は滝田洋二郎氏、本木克英氏、細田守氏
漫画家では藤子不二雄Ⓐ氏、藤子・F・不二雄氏
多くの人が作品を見たことがあるような方々が実は富山県出身だった、ということを知ることが出来ます。

親子スペース
ドラえもんの作者も富山県出身

地元富山の人もボクのように外部から来た人も、ここに訪れて文学という入口から富山という地域を知れる施設だと思います。


|曖昧な境がつくる「場」の連続性

では、
ここからはボクが見て感じたことを中心にお話をしていきたいと思います。
もう少しだけお付き合いください。

高志の国文学館を手掛けたのはC+A(シーラカンスアソシエイツ)
建築は富山県建築賞優秀賞(2013年)やBCS賞(2016年)などいくつかの賞も授賞していることでも知られています。


正面入り口から目に入るのは、建物入口の格子の大屋根。
大きく突き出した屋根はとても印象的で、床面には木洩れ日の光と影が映り込み、大屋根の下を通るだけで気持ちの良さを感じます。

メインアプローチ
木洩れ日が床面に映り込む

建物内に入っても、大屋根の格子(ルーバー)がそのまま屋内の天井となっていたり、外と内を分けている透明ガラスにより屋内に居ても周囲の風景が続いているように思います。

また、建物の北側にも入口が設けられているので通り抜ける「道」と捉えることも可能ではないかと。

館内
地場産の木材ルーバーが外から中へ続いている
縁側的に外を眺める
屋内に居ても外にいるような感覚に

さらに屋外に目を移すと実は高志の国文学館を囲う柵、塀が存在しません。
公道からそのままは違和感なく入ってこれる、よく考えると不思議な感じもしますが、塀がないことで周囲に溶け込む散策路的な景観を作っているように思います。

起伏のある庭
上り下りして歩くこともできる
敷地内に散策路のように道が横切る


そう、高志の国文学館を訪ねてみると自分が歩いてきた途中で見てきた自然の美しさ、聴いてきた音などのいずれかが途切れることなく連続していきます。
そうした屋内外にある繋がりを保つ構成が全体の連続する空間を可能にしているのだと気づきます。

地域との繋がりを感じるプロムナード(散策路)がここにはありました。

カガミの壁面
四季折々の風景を映し出す
壁は固定でも映し出す風景は変化に富む

富山市には富山県美術館ガラス美術館など有名な施設がありますが、静けさと穏やかさを感じる高志の国文学館にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

ではまた

心惹かれる

※現在の企画展、「風立ちぬ」で知られる堀辰雄氏の展示は6月3日までとなっています。



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倉嶋 洋介
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